アメリカのスピーカーの音に特段の憧れはないが、気に入っているものもある。
使ったことがあるのは JBL ALTEC Electro-Voice BOSE INFINITY と比較的流通の多いメーカーばかり。
昔、オーディオ少年だった40年も前。
JBLのモニター系は大人気、Electro-Voiceはやや古い感じで、ALTECは超高価な物、BOSEは新進気鋭の庶民の物、INFINITYは新しいイメージのアメリカ製で他のモデルのようなそっけない仕上げの物でなく明るいウッド仕上げのお洒落な高級機。
東海岸の物はなんとなくメジャーではなくなってヨーロッパ製と置き換わっていき、西海岸の明るい音が人気があった、あの頃はざっとこんなイメージ。
最初のアメリカンスピーカーはJBLのコントロール1という小さい物。当時、BOSEの101が大人気で国内外各社からフォロワーが多数出てきた中の一つ。
購入時にはすでにコントロールLAという派生モデルが出ていて、BOSE101含めて比較視聴して実売価格が安くなってきていたオリジナルのコントロール1をサラウンドのリアスピーカー用に購入した。
音は気に入っていたので結構長く付き合い、ウーファーはエッジがボロボロになり純正で一度交換した。
その後も中古を買ってエッジ交換したりしていくつかのバリエーションモデルも使ったが、どうやら最初期のコントロール1が一番良い!ということになっている。正直、LAは音が明るいとか、違いはある。けれど、本質はこのクラスで良く出来た物なので、乱暴に言えばどれでもお買い得品、こだわるならバリエーションモデルを色々と聞いて選べばいい。
2020年現在もマイナーチェンジしつつ新品で売っているらしい、これはすごいことですよ。JBLが好きではないけれど、こういう物があるのはアメリカって凄いな、正しいな、と素直に敬意をはらいます。
JBLは人気も知名度も抜群だがコントロール1以外は試聴で良い印象がないので、その後も友人や先輩所有の物をなんとなく聴いた事がある程度。
モニター系よりも民生用モデルの方が好み、が、どうしてもJBLというわけではないので今は手元には何もない。モニター系は高音がきついイメージ。きちんと使い込めば印象も変わるのだろうけれど、第一印象でどうしてもこれだ!とならないので使いこんでいない。安価で出来の良いコントロール1が私にはちょうど良い。
ALTECは先輩が愛用していた。聴いてみたくなって38センチ同軸のオーソドックスなモデルを購入。能率が高く真空管のパワーアンプで朗々となる。新しい音ではなく解像度が高いとか緻密とかいう印象はないが、ボーカルは艶っぽく良く通る。
これはホーンによるものと思うが、私には少々高音サシスセソがきつい。楽器の音メインの人、この癖を魅力に感じる人にはパワフルで良く通るこの音はたまらないと思う。
Electro-VoiceはSENTRY500SFVを今も愛用している。
といってもサブスピーカーという扱い。
古めのレコードを聴くとき球のアンプで、とか、BGM的に空間を音で満たす、という使い方だととても良い。友人曰く「PAの音」だそうだ、まあ、そうかなと思う。
音は今となっては高解像度ではないが能率が高く量感があり使いやすい。元気に鳴るが高音はきつくないので日本のボーカル物もいける。そして、定位が広い、定位が悪いと表現すると弱点だが、空間を音で満たす(PAなんだろうな)使い方、お茶飲みながらどこかで気持ちの良い音楽が流れてるというような使い方には最高だと思っている。
最近の低能率で特性の良いものとは違う、こういう音もやはり気持ち良いのです。
そして、この形、この雰囲気はオーディオ小僧当時のあこがれでもある。最高にカッコイイ!!!と思うスピーカーの一つだ。
500SEVも同時所有していた時期があり、音質ではSEVの方が低音の切れが良く少し良いと思った。が、残したのはSFV。外観のカッコ良さを音質よりも優先したという、オーディオ的に悪い選び方だ(笑)
同じユニットで作ってあるので音質に大きな差はなく味付けが少し違う程度と思っていい。SEV聴いて好みならSFVも好きだろうし、嫌いなら嫌い。どちらもエレボイの音がする、ALTECやJBLではない音がちゃんとある。
最近は本国でも人気があるらしく、里帰りしているものも多いらしい。日本で良い500を買うには今が最後のチャンスかもしれない。
BOSE。なんと、BOSEは写真がない。それくらいの印象の物だということか。。。
家庭用では一時期101をコントロール1と並行して使った程度。音が好きになれずすぐに手放してしまった。この音が、車の中だとちょうどいいんだけどね。カーオーディオではお世話になっている。ユニット自体は見たところ基本は101用、ワイドレンジではないが中音域をきちんと出しているので聴きやすい。こういうところ、アメリカはきちんと押さえて演出する。
INFINITYはカッコいいなと思っていたので、偶然KAPPA90を見つけてしばらく使っていた。
なんというか、きれいで静かな音。低音が出ないわけではないが迫力はない。トールボーイ型とはいえなかなかの大きさなのに小型スピーカーの良い音に聞こえてしまう。誉め言葉とするならスピーカーの大きさを感じさせない音。全体の音に厚みがない感じで好みに合わず手放してしまった。
その後しばらくして入手したリファレンス10は価格が安いのに国産の同クラスとは異質な良い音、満足度の高い一品。Kappa同様の薄い音が、安価で小さいとなると小型機ならではの軽やかでクリアーに聴こえるから不思議だ。
小さなサイズだが高級感があり突板張りで仕上げもいい。高級感の演出ではウーファーフレームの化粧カバーの樹脂の黒が国産製品の樹脂の黒でなく、もう少し深みのある「まっくろ」なのが大きいと思う。 こういう演出、本当にアメリカは上手だ。
JBLというビッグネームの陰に隠れている感はあるが、家庭用としては価格も割安で良いメーカーだと思っている。Kappaとリファレンスではユニット構成も価格も違うが、音の質感が似ている、普及期から高級機まで帯域や解像度の違いはあっても音の印象は同じだろう。最新の物はわからないが、いろいろな音の物を作って「数打ちゃ当たる」方式だった一部のメーカーよりもモデル選びでハズレる心配は少ないと思う、きちんとメーカーの音があるのは好ましい。
少し古いものではエッジが問題だが、オーソドックスなウレタンエッジなので、外観が綺麗な中古を入手してエッジを張り替えれば、音も見た目も今でも一級品だ。
時々、マニアではない友人知人に機材選びの相談をされることがあるが、そういう時に勧めるならアメリカ製ではコントロール1かリファレンス10だな、自信をもってお勧めできる。
でかいサイズのアメリカのスピーカーを私に相談する人はいないだろう。好みが別れるだろうし価格も高い、お勧めしたものが好みでないと恨まれるかもしれない、「安くないんだから自分の耳で聴いてこい」というのがアドバイスだな(笑)