さて、京セラA710です。サブシステムの中では最新鋭。
A-910が欲しかったんだけど、極端に流通が少ないし、仕様で見る限りA-710がそれほど劣るとも思えなかったので。
思い出話から購入に至るまで。
1985年。ちょうど第1期オーディオが終わって機材を買い替える気が無い(予算も当然無い・笑)の頃にデビューしたアンプで「おー、京セラがオーディオに入ってきたかぁ」と、大手メーカーではなく他分野で実績のある会社が参入してきたことが嬉しかったのを覚えてます。
私はCD全盛期のアンプは興味が薄いのでまず買わない、けれど、この京セラはD/Aコンバータは内蔵していない、フォノのMC対応はヘッドアンプではなくMCトランスというのが中々に興味深い。デジタル全盛時にアナログをしっかり決めてくるのがいいな。
変に凝った回路とかではなさそうなのも良い。だからといって自分で修理することは無いと思うけど、構成はシンプルな方が音が良く長持ちする、と思っている。
そして、筐体の剛性や材質による音の変化を各社試行錯誤して作りこんでいた頃に、セラミックのトップメーカーが筐体にこだわって作ったというのも期待出来る。
購入前に気になった点は同時期のサンスイAU-D707Xあたりとスペックが似ている事。出力は少し小さいが、MC対応にトランス採用など構成が似ている。OEMの筐体違いだとやだなぁ。
実はサンスイのややブーミーにも感じる、低域の押しの強さ、「ほら、凄いでしょ!」な感じが好きではない。
サンスイ707系と良く良く仕様を比べると、パワーは少し小さく、ダンピングファクターははるかに大きく、MCトランスの仕様も(調べた限りでは)違う。
とはいえ1980年代中盤、CDで周波数特性上は低音が出るようになって、アンプは駆動力争いでケンウッドのシグマドライブやオンキョーのスーパーターボ(車か?マーチの速いヤツ?)、サンスイではXバランス、スピーカーも重く鈍いウーファーで低音であばれないように、、、とにかく低音、ビラミッド型のエネルギーバランス。アンプはフラットな物が良いのでこの時期の音が好きじゃない。
1990年ごろになると1980年ごろのエネルギーバランスに戻っていく。
京セラはどうなんだろうか?情報が少ないので、、、買ってみるしかない!
なんだけど、そもそも流通が少ない、故障品に手を出す気にもならない、修理済みというのも適当に部品交換して本来の音出なかったら目も当てられない。ただひたすらに当時のままの状態の良い物を待つ。。。。。海外ではかなり人気が有るらしく、探している間にも価格はどんどん高騰し、なかなか買えない。
で、オーディオ仲間から「ハードオフに在ったよ」と情報をもらったので現物確認して、予算と個体の状態と欲しい気持ちのバランスが取れてやっと購入。程度はかなり良い。
まずは使い勝手。
このところパイオニアA-0012を使っていたのでスイッチ類の使いやすさは同程度なのだが、ケンウッドL-01Aと比べるとすごく使いやすい(笑)。
気になったのは裏面のRCA入力の1と2の位置が、フォノとTAPEで左右逆な事。まあ接続してしまえば何の問題もないけど、よく確認して接続しないと表から操作する時に「あれっ?」となりそう。
フォノは1/2ともにMC(Hi)/MC(Lo)/MM切り替え可能、MMの負荷抵抗/負荷容量切り替えは無いが、どうしても必要ならパイオニアを引っ張り出すので問題なし。
CD、CDダイレクト、TUNER、AUXが2系統、それにTAPE2系統を加えるとライン入力が7系統もある。CDプレーヤー聴き比べ、とか、チューナー聴き比べ、など機材比べで遊ぶには便利そう。
レコード再生時、トーンコントロールなど使わなければ電源の控えめなランプだけというのは好みだ。
スピーカー出力は2系統、ダイレクトとノーマルとなっている。駆動力のいる3ウェイをダイレクトに繋ぎ、ノーマルにはセレクターを通して3セットの小型2ウェイを繋いだ。
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動作確認後追記。
ダイレクトは音が出っぱなしになるので、ノーマルに繋いだ音だけ聴きたい場合は接続を外さないといけない。あとでメインスピーカーへの配線を触りやすいように対策することにする。
トリオKA-9300も同様だった。ダンピングファクターを最大に生かし音質にこだわるとこうなるのだろうけれど、正直使いにくい。
本来使い込んで良い音を聴くための物、サブシステムでこのクラスのアンプを使って「使い勝手がなぁ。。」などどブツブツ言うのがわがまま。
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音質は、というと直前までパイオニアだったこともあるけれど硬質。
「欲しかったんだよバイアス」のプラシーボ込みだけど良いと思う。もう少し組み合わせ等確認しつつ使い込みたい。
CDでの試聴では低音の歯切れの良さが印象的。
低音はサブシステムのメイン(ややこしいね)スピーカーのウーファーの制動はこれまでで一番!切れの良さではメインシステムを凌ぐかも?
中音域はヴォーカルが前に出るタイプではなく硬質な中に煌びやかではないが余韻が出ているし、高域はこれも煌びやかではないが済んだ音で嫌みは無い。
エネルギーバランスは低音寄りと感じている。
小型のスピーカーで聴くと低音が良く出ることがメリットにもなり、これはこれで良い。
アナログレコードでは少し神経質に変化が出る。
使い込みたい、のは、MCカートリッジでは低音がかなり強調され好みから外れてしまう、ここは何とかしたい。今使ってるレコードプレーヤーやカートリッジの粗がハッキリと出ているようなので、試行錯誤する余地があるという事。
MMの古いラインコンタクト針の物で聴いていると極端に低音が強調されなかったが、普段使いにしているMC(ハイインピーダンスで受ける物)になると低音が強すぎる。ローブーストスイッチON(そんなの付いてない)かと思うくらい。これはケーブルの影響大かな。
このMCは元々低音の強いピラミッド型のエネルギーバランスで、その特徴が強く出てしまっている。
トーンコントロールは低域高域ともに周波数切り替えできるのでここで調整すれば問題ない、けれどアナログでは音の鮮度が落ちるのが解ってしまうのでできれば使いたくない。
エネルギーバランスはさておいて、MCの音はクリアーでかなり良い。イコライザー回路だけでなく内蔵トランスも良いんだろう、解像感は確実に手持ちのサブアンプの中でトップだと思う。
今つないであるプレーヤーは1975年ごろの古いベルトドライブのフルオート機で純正装着はオーソドックスなMM、直出しのRCAケーブルは太目だがMM用。アームはミディアムコンプライアンス中心であまりハイコンプライアンスには向かない。
もっと良いプレーヤー使ってやれ!って事だが、サブシステムなので。
と、ここらへんでメインシステムで同じレコードを聴く。確実に良い音がする、そりゃそうだ、でなきゃ困る。耳のリセットですな。
サブシステムの良し悪しも解ったところで、色々と考える。
ローインピーダンスのMCカートリッジを試したいがミディアムコンプライアンスまでとなると手持ちではオルトフォンMC10か、これだと高域はやはり弱く感じるか?
アントレーの改造品があるな、これは以前高音がやや強く感じたから相性良さそうだ。
今まで使わなくなっていたものを引っ張り出して楽しめそうだ。
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追記
後日、音量を上げて確認していた。
ガリは無いとのことで購入したが、電源投入時にバリッ、と音が出る。
ボリューム調整時、他、各スイッチ類操作時にも大きなバリ音がする、スピーカーが心配になるくらい。
私は古いアンプを多数使っているのでガリに対する許容範囲は広いけど、この音量だと出力リレーさえ持たないDCアンプであることを考えると今後が不安。
保証期間内なので、修理してもらうか、返品か、、、
そして返品が決定。惜しい気もするけど、あきらめも肝心。
返品不可なら修理するつもりで保管して、、、って、トリオKA-9300も修理待ちなのに、きっと直さないで別な物を買ってしまうだろう、保証が有るならじたばたしない。ヤフオク購入じゃなくて良かった。
今回のA-710、外観はとても綺麗なので誰かがメンテナンスして残っていくでしょう。
最近購入のプリメインアンプ、出っぱなしのオリジナルで当たりが続いていたんだが、、、
手持ちのアンプを引っ張り出して楽しもう。
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