シャープのオーディオブランド、オプトニカ。
オプトニカの名前の由来を調べたら、家電のステレオセット用に作っていた光電型カートリッジの光(OPTO)から、という説があった、本当っぽい。
家電メーカーのオーディオブランドの中でも知名度はともかく市場評価が無い。評価が低いのではなく、【無い】、売れてないから。三洋電機のオットーとどちらが無いかというかわいそうな現実。
ローディやオーレックスは一部評論家に上手い事やってもらってそれなりに衆目に触れる機会も多かったのに。
オーディオ評論家を評論してみる - 音遊び~オーディオのブログ
ブームに乗って増殖する評論家と雑誌の販売広告としての影響力(今だとユーチューバーとか、インフルエンサーとかかね?)を軽く見ていたのだろうし、設計者にとっては悔しい思いをした物もきっとある。
オプトニカはどうかなぁ。本当に真面目な良い物も有る???オットーでは良い体験済み。
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学生時代、バイト代でアンプを物色していた1980年ごろ、オプトニカのアンプはガウスのスピーカーを鳴らす為なのか癖が強い音だったらしく、単品コンポとしての雑誌の評価は散々な物だった。
それ以前には雑誌では新製品の紹介記事程度、秋葉原でも視聴機器の中に見かけた記憶がない。これでは欲しい物の候補にならないし、値引きが大きくても買おうと思わなかった。
強力なウーファー(PA用だと思うんだけど)の総輸入元になって「ガウス・オプトニカ」となる前のオプトニカ初期のモデルは、今見ると良い雰囲気の外観で仕様をみるかぎり他社同クラスに大きく劣るとは思えない。
けれどオーディオだからねぇ、使うならそれなりに音が良い物を選びたい。が、当時よりもネットで情報を得られる現在でも仕様以外の情報が少ない。
そうなると高級機狙いとなる。
それなりに良い物である筈だし、中古市場でもほとんど見かけないけれどジャンクでもソコソコ高値が付いているのは単なるノスタルジーではないのでは?、と、SM-2500以上の出来るだけ上位モデルを気長に探す。
これなら良いかなと思えるものを見つけたので勝負!
プリメインの最上級機種SM-4000MkⅡ、1975年当時115000円となかなかのお値段。詳しい資料はないが仕様はSM-4000初代と変わらないと思う。
外観は磨き込んだというよりは使用感が少ない印象で申し分なく綺麗。DC漏れがない事を確認し、まずは簡単に音出し、各スイッチ類のガリや接触不良も無い、上物。
そして例によって天板を開けて埃掃除。
全体にうっすらと埃はあったが50年近く前の物とは思えない綺麗さ。新しいハンダやトリマー(調整用半固定抵抗)と一部コンデンサーの交換歴等あるのでメンテナンスされているのは間違いない。しかしやみくもに全部のコンデンサーを変えた様子はないしカナブン色のコンデンサーも無い、電源のデカいコンデンサーはオリジナルの様だが液漏れも膨らみもない。パワトラは当然オリジナル。
まあ、当たりの個体だと思う。
外観デザインはすっきりしていてカッコいい。
が、安っぽいところが多くあってリアのスピーカーターミナルは安物のスピーカーについているような押して穴にケーブルを入れて挟み込むタイプ、各ボリュームはせっかくアルミ削り出しの物が付いているのに操作感が軽すぎて高級感は無い。
初代モデルだと、さらにトグルスイッチのレバーがエボナイトの黒で、、、ここは今となっては黒でも良いかも。使い勝手に関しては写真で見る限り初代モデルの方がヴォリュームとセレクターの大きさが違う等、解り易く使いやすそう。
機能面は良し悪しあるが、その後のトリオよりもスイッチの使い方は普通(笑)
2系統あるPHONOの1はMC/MM(負荷抵抗2段階)の3ポジション切替だが、スイッチがリアパネルに付いているので気軽にカートリッジ交換とはいかない。私の場合は外付けトランスを使うのでここは別に良いんだけどね。
PHONO2の方はリアパネルのスイッチでゲインを下げられる。これ、今の感覚だと不必要だけど、当時は出力の大きいカートリッジもあったようだし、自社の光電型が大出力だったりするのだろうか???
フロントの6.3mmピンジャックはヘッドフォンではなく、AUX2。RCAへの変換ケーブルを用意しておけば新しく買ってきたチューナーやCDプレーヤーなど繋いで確認できるので、私には便利。当時だと、マイクを繋ぐか、借り物のテープレコーダーを繋ぐとかかな?
スピーカー端子が3系統あるのはとっかえひっかえする私には嬉しいところ。
トーンコントロールは低域、高域共にターンオーバー周波数を3段切替で、ディフィートもできる。私はあまり使わないのでディフィートしたままになるだろうけど、当時の日本家屋では設置場所に合わせて色々と便利に使えたと思う。
サブシステムにセットして音出し。
音はトランジスターアンプの典型的なもので癖はない。パイオニアの柔らかさ、サンスイの力強さ、ビクターのふくよかさ、そういう古参のオーディオメーカーが音を造り込んだ感じはない、まだ「メーカーの音」という制約も無かったのか、悪く言えばアピールポイントがないという事でもある。
個人的にはこういうスルッと出てきた音は好ましい。この音の印象は疑似A級以前のトリオやテクニクスにも近いと感じる。
音のカタチとして思い出したのは伯父からサンヨーのホームステレオシステム(1970年頃の物、家具みたいなヤツ)をもらってきて、チマチマいじって音出ししたときの音。中高音が良く透り「おーっ!」と思ったが今の音に慣れていると少々わざとらしくも感じる。小出力アンプなので音量を上げると歪んでキンキンやかましかった(笑)
パワトラはシングルP-Pでまだメタルキャン、これでなければダメという人も多い。時代の音、という事か。
このアンプも良く透る中高音だがサンヨーのステレオよりもずっと上質。まだDCアンプではないので超低域までしっかりという物ではないけれど歯切れの良い気持ち良い低音。
押し出しの強い音ではなく全域で軽快なハッキリした音。音をパワーとスピードで別けるならスピード型。
透明感のあるクリアーな音は好きなので、これはこれで「有り」だ。
イコライザーは帯域が狭い感じもなく音が良いと思う。高品質部品を採用して真面目にEQ精度を上げているので少し後の時代の高級機とも変わらない性能なのだろう。
MCヘッドアンプはオマケとしては過不足ないが特別良いものでもない。DL-103ならそれなりの音が出るが低インピーダンス低出力のオルトフォンMC20では良さは感じなかった。
個体差だろうが、左右のレベル差がある。小音量時のほうが解りやすくボリュームのギャングエラーと思ったが、増幅度の左右差も少し有るようだ。
シングルP-Pなので素子のバラツキが解りやすいのもあるだろう、選別されてないのかな?でも、ダブル/トリプルP-Pにはない素直な音が有る。
運悪くサブシステムの設置場所は左の方が音を反射する物が無く開けているので、より右を強く感じる配置になっている。
小音量時ではバランスツマミで5分以内、よく聴く音量では2分程だが右の音が大きい。これはヴォーカルの定位で解かるが楽器主体だと気づかない程度、入出力共に左右入れ替えればほとんど気にならないだろうな、と考える、けど面倒だからやらない(笑)
左右バランス調整はなぜ付いているのか?? こういう時の為だ、大らかに使おう。
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2023.1.5 追記
結論から書くと、増幅度の左右差は無いようだ。
メインシステムのプリアンプのメンテナンスを行った後で、このアンプのAUX入力に繋いで動作確認をした。
プリアウト出力なので入力レベルが小さい為小さ目の音で音出し確認後に、オプトニカを3時の位置にまでボリュームを上げた、全開で良いのだろうけどなんとなく少し絞っておく、弱気な私(笑)
直したプリアンプの方に注意が集中していたのと、視聴位置がアンプの直前なので解り難かったのだが、ある程度確認が進んでいつもの視聴位置で聴くと、左右の音量差が気にならない。
テスト中のプリアンプの音量を上げてオプトニカを9時以下まで絞ると左右音量差が解るが10時を超えるとほとんど解らなくなり、1時の位置では全く解らない。
-20dbのミューティングスイッチが付いているので、小音量時にはミュートしてボリュームは大きくして使おう、その方が音のぼやけも減る。
ガレージオーディオでは比較的音量が大きいので最近入手したアンプではギャングエラーが気になる物は無かったが、今回は良くわかる、という事で。
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今つないでいるスピーカーでいつも聴く音量では歪んでやかましくなることはない。が、当時としては高出力とはいえ70W+70W、今時の低能率大型スピーカーには役不足だろうな、同時代の良く動く高能率のスピーカーで軽やかに音を出したい。
価格も違う純A級のエクスクルーシブM4と比べるのは無意味だが透明感にはなんとなく共通点を感じる、M4も出力は小さいので使い方は似てくるだろう。
幸いサブシステムのメインスピーカー(1970年代の古い3Way)との相性は良い。
一緒に使っているやや新しめの小型低能率スピーカーでは高音が耳に当たる機種もある、元々そういう傾向の音のスピーカーの癖をそのまま出すという事で、アンプ側に癖が少ないともとれる。
手持ちのスピーカーではエレクトロボイスのセントリー500が一番相性が良さそうだけど、これはメインシステムの方に繋いであるので、きちんと繋ぎ変えるのは凄く面倒だなぁ、設置場所は変えずに長~いスピーカーケーブルで接いでみるか?
古い音。でも良い音。満足。