音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

パイオニア A-150D プリメインアンプ 軽メンテナンスで使い始める。

 パイオニアA-150D、1985年に118000円の中級機。

 またアンプを増やしてしまった。

 

 少し前にサブシステムに新しめ(といっても1980年代前半)の音を使ってみたいと思い、A-0012の予備機としてA-200を購入して失敗(笑)

パイオニア A-200 プリメインアンプ GET!失敗したけど被害は最小限 - 音遊び~オーディオのブログ

 仕様を調べた結果、トップモデルの200に再挑戦するのではなく、お買い得品の多い2番目のモデルのマイナーチェンジ後を狙ってみた。

 

 今回は蘊蓄を後回しにして、本題から。

イオニア A-150D

 

 音質評価は主観、買っちゃっいましたバイアスがかかっているので高評価前提。

 この音はパイオニアらしくない。悪口ではなく、音の傾向の変わり目なのだろう。

 パイオニアの高級機はM4もA-0012も優しく音楽を楽しませる。柔らかな量感の低音に綺麗な中高音、高級機であれば音がぼやけているという事ではなく、音の良くないレコードもそれなりに聴かせてくれる耳への刺激が少ない音で、長い時間音を聴いていても疲れない、家で使うオーディオとして良い物だと思っている。

 A-150Dは解像感が増して、低音が締まり中高音も力強くなった。

 細い弱い音ではなく、贅肉が少ない筋肉質な音という感じだろうか、音の悪いCDやレコードを再生すると粗というか悪い音もそのまま出そうだし、カートリッジの音を比べる時などに「差」の解り易い音だと思う。

 力強いが押し出しの強い音ではなく、昭和の表現なら「ヴォーカルの口が小さくなった」輪郭のはっきりした音。どこかの帯域が主張することは無くフラットに感じるので、アナログ向きとかCD向きといった、何かを狙った音ではなく使いやすい。

 

 プリアンプ部分は前モデルと大きく変わっていないはず。楽しみにしていた内蔵MCトランス、良いです。

 イコライザーはこの年代になるとある意味行くところまで行っているので、パイオニアに限らずこのクラスのアンプで悪い物はなく、全帯域での力感が均一で帯域が広く歪み感はない。

 MMに入力抵抗/容量の切替は無いけれど、常用する機能では無く古いカートリッジで遊ぶのでなければ必要ないのでシンプルで良いと思う。

 MCでは前段にトランスを使っていて負荷インピーダンス切り替え(3/40Ω)ができる。これまで使っていた外付けMCトランスを通すよりも、内蔵トランスを組み合わせての音の方が鮮度が高くあっさりした音だが音場もやや広い。3Ω負荷で使う普段使いのオルトフォンの音に不満が無いのはありがたい事で、サブシステムで使っているMCカートリッジには充分な性能だと思う。

 

 先日のA-200の音の記憶(少ししか聴いてないけど)と比べてみる。

 音の傾向が違うので甲乙つけがたい。数が売れない為モデルチェンジしなかった高級機と3年後にビッグマイナーチェンジした中級機、A-200の柔らかく豊かな音の魅力は捨てがたいが、A-150Dの音は私のメインシステム寄りで少し新しい時代の好きな音だ。

 1985年当時秋葉原の店頭にアンプを買いに行く、あれこれ店頭試聴するとパイオニアの新製品150Dは締まった音でパイオニア良いなと思う、そこで200も聴いてみたら高級感ある優しい音、新製品の150Dと値引き幅の大きくなった200とは実売価格が大差ない、これは悩む。。。当時ならば、A-150Dの新しい音が魅力的かな。

 これからレコードを聴く人にはアナログ系の出来が良く低能率なスピーカーにも充分なパワーでお勧め。

 

 到着から使い初めまで。

 

 小さ目の梱包で到着、A-200の記憶が蘇り不安。

 パイオニア売る人はしっかり梱包する価値が無いと思ってるんだろうか?梱包材は廃品利用と連絡が有った、それは気にしないが梱包はしっかりして欲しい。

 段ボール箱ではなく、箱を壊して巻き付けて箱状にしたという状態。前後パネルにはテープの芯や段ボールをたたんだものでボリュームやリア端子類を守ってあり前後左右方向の破損は無い。

 が、下の緩衝材がエアキャップ一枚と外箱のみ。取り出して平らな場所に置くと少しぐらつく。底板が歪んで足がめり込んでいた、場所は左後ろが大きく数mm、左前も少々。トランス3個が左側後ろ寄りだからねぇ、納得できる壊れ方(笑)底板以外、外観は汚れはあるものの傷も無く綺麗。

 まずは簡易動作確認、そうか、「ガリ無し」の商品説明は「メインボリュームにはガリ無し」って事だな(笑) でも、動作そのものは問題なし、ランプ切れもない。

 まあ動くならこれくらいは直して使おう。

 

 悪い評価をつけて報復されるのもばかばかしいなと思い、相手には梱包についての苦言を連絡をしただけ。

 

 まずは開けて埃とりと足の修理。

 

 A-150D 上からの眺めとプリ基板

 天板を外してもカバーのないトランスと基板の裏側が見えるくらいでそっけなく寂しい(笑)その中で緩やかなカーブを描いた放熱フィンだけが異彩を放つ。

 プリ基板にはMCトランスが結束バンドで留めてある。金具作ってシャシーに留めるよりも配線長は短く出来るし良いんだろうけど、樹脂の専用ブラケットとか、、、

 

 A-150D 底板を外して歪み修正

 底板を外して、足も取り外してから修正。

 薄いパンチングメタルを一部クリアランス確保で成形しただけの物でA-150Dのシャシーが特に安っぽいとかではなく、ごく一般的なもの。

 平らな物の板金は実は難しく叩いてグニャグニャになると悲惨だ。

 凹んだ場所の周囲を観察し平らな物で挟んでプレスで3トンくらいかける、これを細かく数か所やって概ね平面にしてから、残った歪を最後に叩いて全体が緩やかに反った形にまで修正した。取り付ければ綺麗に平らになることを確認して終了。

 アンプの電気回路やレコードプレーヤーの歪も叩いて直るならやってみるんだが、電気は見えないからなぁ(笑)

 もう少し分厚い鉄板なら歪みにくいし、板金も楽なんだが、、、、、ちゃんと梱包してればそんなもの要らないでしょ?って事だな。

 

 A-150D 下からの眺め

 

 リアの入出力端子を磨いて、外観は拭き掃除。

 動作確認では入出力共に問題なし、DC漏れも無く基本的な状態は良さそうだ。細かく確認していくとモードの切替とトーンコントロールガリが目立つが、使っていなかっただけのようで動かしていたら問題ない程度に解消、楽で良かった。

 底板と天板を取り付けて終了。

 

 下からの眺めはパワトラが左右に6個づつ。このクラスでは贅沢に見えるトリプルプッシュプル、疑似A級とはいえハイパワーなので発熱が分散するのは安定性では有利だろう。回路的には並列にするだけなので実装の違いだけで周辺回路のコストはあまり変わらないと思うな。もしかすると、ハイパワーのトランジスタを4個使うよりも中くらいの物を6個にした方が部品代は安かったりする?

 

 パワーアンプ部分はマイナーというよりもフルモデルチェンジ。

 電源トランスを3個使ったり、このクラスでは贅沢なトリプルプッシュプル構成にしたりと、スペック的に宣伝のしやすい構成。シールドケースのない小さ目のトランス3個の方がシールドケースに入った複数電圧出力のでかいトランス1個よりも実は安いのかも?

 

 CD主力の時代を反映して入力セレクターにCDが増設され、PHONO入力は1系統になるがMC入力に、巻き線が少なく(周波数特性が良い)昇圧比が小さいトランスを使って少しゲインを稼いでからハイゲインイコライザーで、という旧型で凝った部分は残してある。旧型でも上位のA200ではトランスは使っていない、実は本気のローノイズヘッドアンプを作るより小型トランスの方が安く同レベルのS/Nが出せるのでは?

 リアの入力端子はPHONOが一番上にあるが、フロントパネルのセレクターボタンはCDが一番上。まあ、時代って事なんだけど、なんか切ないねぇここは。

 

 優雅な曲線を描いた放熱フィンは他社でも見るけどこの時期だけ?薄い多数のフィンは冷却効率高そうだし軽量、薄いので振動による共鳴は???などど、今時の余計な蘊蓄で思ってみるが、当時でも既に振動などは考慮されてるだろうし生産時に試聴しない筈もない、曲面にしているので剛性は大丈夫だろう。後々使われていないのは、重たくごついフィンの方が重さがアピールできるし安い、って事だろうな。個人的にはこのフィンの形が「あー、凝った成形が出来ちゃうんだよね、今の日本は」って感じで好き。これ、軽量だから材料少ない分部品代としては安いのかも?

 

 あちこち、安く作れてるんじゃないかという意地悪な見方をしてみた。

 何か秘密が無いとこの金額でこの内容はできないと思ったけど、どう見ても価格以上に見えてしまう。パイオニアのアンプは他社よりもお買い得な中身の印象が強いけど、これはアンプでは他社におされていた時期の起死回生でいつも以上にコストをかけたのかも?

 

 もちろん、中級機なので格上のA-200のようなコストはかかっていない印象の部分はある。トロイダルトランスのセンター配置や銅メッキシャシーの採用は無く、レイアウトは向かって左に電源系が集中していてズシっと重く持ちにくい。むき出しの素っ気ないトランスも安っぽく見える。

 重量は16.6Kg、1年前デビューのライバルであるソニー555ESⅡやサンスイD707Xよりも少し軽い。オンキョーもパイオニアもビデオ入力付く前のモデルは軽めで、その分価格は1万円程安い(笑)

 同年デビューのサンスイは20Kgを超えるし翌1986年にはソニーがなんと26Kg!重量至上主義が幅を利かせてくるのでこのタイミングで軽いアンプは失敗だった、当時店頭で持ち上げてみて候補から外した者(私か?w)がどれだけいただろう。底板とフレーム重くして分厚いフィンの放熱板使ってトランスにシールドカバー付けて、せめて20Kgオーバーにしておけばウエイトハンデ無しにこの音質で正面から戦えたのに、、、、、。

 

 店頭で見慣れないアンプを見つけると、仕様を調べる前に持ち上げてズシっとしてれば興味が湧く、というのは私だけ???