音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

新旧対決! パイオニア A-717 VS A-150D プリメインアンプ

 先日のテクニクスでの比較が面白かったので、今回はクラス無視してのパイオニア編。

 

 A-150Dに続いてA-717を見つけてしまい、せっかくなので比較試聴してみた。

 

 さて、音はというと。

 学生時代のあいつはこういう音が好きだな。と、思う音。

 とにかくパワフル、クリアーだがややドンシャリ

 低音の歯切れは最近聴いたアンプの中では一番、音像がボワッとしない引き締まった物。ダンピングファクター「200」ってのは凄い。これはメインシステムのテクニクスパワーアンプ以上で、出力は劣るけれどこの力感は数値を納得できる物がある。ダンピングファクターは実際に聴かないと解らない目安程度の数値でケンウッドのシグマドライブ時代なんて全然信用できない(笑)と思ってたけどテクニクスとパイオニアはなんとなく整合してるな。

 ボーカルは歯切れが良くクリアー、口も小さい。高音のエネルギー感も強くキラキラ感がある。

 駆動力は充分で低能率のスピーカーでも音が貧弱になることも無い。

 MCヘッドアンプはクリアーだがやや痩せた音になるのでトランス外付けの方が良いと思う。MMもクリアーで余韻は少ないけれど特に不満は感じない。既にPHONOがオマケになっていることを考えると高品質。

 717の音を単体で聴いて文章にすると特に悪いところが無いようだけど、ひとつ前の上位機種150Dとの比較試聴となると、、、

パイオニア A-150D プリメインアンプ 軽メンテナンスで使い始める。 - 音遊び~オーディオのブログ

 

 力強さでは負けてない、というか上回っていると思う。けれど、余韻や艶っぽさという点では150Dが勝る。全体に717の方がガチっと硬く締まった音だが音粒は少し粗く音が消えるのが早い。

 音の形は良く似ている、低音の切れは717、響きは150D。中高音域は150Dの方が音粒が細かく艶があって滑らか。

 どちらかを選ぶなら、、、CDなら717も良いけどレコードも聴くなら150Dだな。

 まあ価格が違うけど、わずか2年でこの程度しか違わないものが出てきてしまう事がバブル当時の凄さを感じる。単体パワーアンプで探すと結構なお値段でないとこれほどの物は買えない事を考慮したら現在の流通価格はお買い得。

 映像と合わせての5.1チャンネルなどのフロントメインの左右2チャンネルを受け持たせるなら、これくらい音の消え方が早い方が違和感が無くて良いのかもしれない。そういう時代なんだろう、最上位のA-90D以外の上位モデルはビデオ端子も備えている。

 

 入手から音出しまで。

 

 A-717。1987年発売、79800円、中級機の下位価格帯であり販売数の多い主力価格帯でもある。

 この機種をベースに上位モデルがいくつかあるのだがvideo入力もDAコンバーターも要らない今の私にとってはA-717がベストチョイスという事になる。

 機種展開は下のURLの記事が良くまとまっていて解りやすい。

https://www.niji.or.jp/home/k-nisi/a-717.htm

 

 動作品という事で購入、まずは音出しして現状確認。

 

A-717 初期動作確認中

 PHONOの音が出ない、、、、、と、「PHONO EQ」というスイッチがある。これを押さないとイコライザーが動作しない。押したけど左の音が小さい。RCAの接触不良だった。そもそもレコードプレーヤーを持っていなかったのか?このスイッチは何故?と調べてみたら、わずかでもノイズの発生を減らす為とあった、イコライザーアンプはノイズの発生源扱いですか、そうですか、、、もう、それくらいレコードを聴かない時代という事だな。なんか、気に入らない。捨てようかな、いや、捨てないけどね。

 

 操作系はシンプルな方、トーン、バランス、ラウドネス、テープ切替、ダイレクト(トーンのバイパス)など一般的で、イコライザーのスイッチがある事を判っていれば戸惑うような使いにくさは無い。

 PHONO入力は1系統だがMC対応、スイッチの切替は「MC SUBSONIC」「MC」「MM」「MM SUBSONIC」、サブシステムのレコードプレーヤーはそれほど良いアームを使ってないので、サブソニックフィルターは必須と思っているからありがたい(メインシステムのプリアンプには無い)が、独立したスイッチで無くなっているのは斬新。

 MUTEスイッチは「-∞」要するに音が出ない。これは必要かねぇ、スピーカーの切替で音を出なくするのとは違うところで信号を切っているという事かな?「-20db」の方が使い道があるような?

 入力は充分な数で、テープが2系統、ADPT(アダプター、外付けのイコライザーなど用だな)が2系統でADPT1はTAPE3と兼用、ADPT2はジャンパーで接続してありプリーメインの連結。

 CDとPHONOの2系統だけが金メッキだが、PHONOでは左チャンネルに接触不良があって動作確認中の音が小さく、入力RCA端子をグリグリやったら正常になった。

 他にはモードの切替とスピーカーBに接触不良が少々。これは様子見。

 

  DC漏れは無し、基本動作はOK。

 掃除の為に開けてみる。中は埃だらけ、弄り回された様子は無く安心。

 

 価格は安いのだが物量は物凄い。カバー留めるネジが銅メッキで「こりゃ凄い、けど意味ないだろ」と思ったら上や横の樹脂のスペーサーを介して留めるネジは普通に黒かった、少し安心。後姿の見た目を演出するパフォーマンス、って事だね。

 前面の丸いツマミはすべてネジ留めの贅沢さだが、ヴォリュームはシャフトを介して操作するのでフィーリングに高級感は無い。

 

カバーを水洗いしておき、丁寧に内部の埃を掃除しながら各部観察。

バイアスは自動調整?、調整用半固定抵抗は見当たらない。DCバランスも見当たらないので自動か?メンテナンスフリーと考えると優れもの、故障している物があるのが不思議に感じてしまう。

 

A-717 程よく埃だらけで安心

 ヒートシンクはシンプルな形状、出力の割には小さ目に見える。ドライブ基板のパーツの配置はぱっと見左右対称に見えたけど良く見ると配置は完全対称じゃない、そこまでやらんで良いって事だね。2個のトランスは同じものかと思ったら品番が違う、配線の出方が違うとかなのかな?そこまでやらんで良いのに。

 出力段はトランジスターでパラレルP-P。多分FETよりも安いのだが個人的にはFETよりもトランジスタの音が気に入っているのでこれで良い。

 小信号部分はシールドケースの中でヴォリュームやセレクターもその中に納まりリモート操作。ヒートシンクとの間隔も充分にあるし、信頼性、安定性という意味では手慣れた感じを受ける。

 持つときに左側が重いけど、A-150Dより左右の重量バランスが良いのはレイアウトだけではなく箱の重量も影響してるか?

 

A-717 下側からの眺め

 

 底板を外してみる。底板は分厚く銅メッキしてあり、外してもペナペナすることは無い。ネジは皆銅メッキなので、単なるパフォーマンスにしてはやり過ぎ感が、、、。

 足は中ほどに1個追加して5個、周辺の4個と同じものだがアルミの化粧カバーは無い、少しはコストダウンしてる(笑)

 

 入手したサービスマニュアルによると、電源電圧の違いやバージョンの切替をジャンパー線や抵抗/コンデンサーで行っているようで、仕向け地向けに別仕様で作り分けるのではなく設定で変更するようになっているようだ。

 これより10年後くらいにDVDプレーヤーでリージョン違いをジャンパーで変更している物があり改造した覚えがあるけど、このころから世界仕様は始まってるんだね。

 

 バブル真っただ中だから元は取れたのかもしれないけど、これが当時ナナキュッパは安すぎる。