音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

Acoustic Solid Solid Machine その3 足とマウントベースと支柱の作成

 今回は金属加工を楽しむネタ。加工時の色々な音を楽しむ(笑)

 

 面倒な事に素材が揃っても加工しなければならない。

 穴を開ければ使えるけどそれなりの美観を求めたい。加工しながら色々と気付く事もあるので確実にのんびりと。

 

 個別合わせのアームベースはそれぞれに加工するとして、まずは加工工程を考えつつ足、マウントベース、支柱を作る。

 初期検討はこちら。

Solid Machine その2 ドイツクラフツマンシップを実感しつつ各部検証とアーム実装部品製作の検討 - 音遊び~オーディオのブログ

 

 前述の検討で少々いじってみるのも面白そうと考察した「足」、色々と決めたので製作。

 足受けは鋳鉄。スチールボール10mmを置き、先端には8mmで穴あけしたネジで本体を支える、とする。

 

 鋳鉄ベースは第一期にもらってきて使った鋳鉄製で検討を始めた。当時はこれの上に厚い合板をおいてプレーヤーベースにしていた。後に多数購入してアンプの下に置いたりしたところで徐々にオーディオ休眠期間に。産業用で安価、当時の値段は300円位だったような?壊れる物でもないのでガレージオーディオとなった今でもコンクリートの上に置いてラックのベース等に利用している。

 今回、TAOCに見た目の綺麗な既製品があるかな?と思ったが、スパイクとセットだった。スパイクの受け側だけなら形状もちょうど良さそう。最近売っている産業用は見た目が綺麗かなと思ったらこちらはそれほど進化していなくて(価格はそれなりに上がっていた)形状は持っている物よりも穴が小さ目の物しか見当たらなかった、今はボルトの先端を受けることが多いのかな?ウチの物はボルトの頭を受ける用でTAOCの受け側と見た目に形状が似ている。安ければ買うんだが、振動吸収性に大きな差はないだろうから手持ちの物で間に合わせることにした。

 

足の製作

 足受けはくぼみ部分と設置部分をマスキングしてサンドブラストで塗装を除去、くぼみ部分は鏡面仕上げ、といっても鋳鉄はどんなに磨いても鏡のようにはならない。そのままでは錆びるのでペイント、最初はターンテーブルマットと同じ赤系統のエンジにしようかと思ったが、目立つ色は冒険なので黒でペイントした。むき出しの部分はべたつかないシリコンスプレーで防錆。振動は鋳鉄に吸収されて熱に変わる、産業用は全体を削って仕上げていないので加工面以外はザラザラ、放熱により温度上昇を抑えられるという優れもの。って、そんなに熱は出ない、むしろオーディオ的には空気中の振動を受けやすいか?w ま、低予算で済ませたが色塗りが終わってみるとそれなりにカッコイイ。

 スチールボールはそのまま使う。光らせる事も可能だろうが充分に滑らかな表面だと思う。

 ネジは穴あけ。バリを軽くとってサンドペーパーで仕上げる。

 

 これで接触は受けの球面とボールの球面で点接触、ボールト穴の周囲で線接触。数学的には面積「ゼロ」なので振動は伝わらない。実際にはゼロはあり得ないけど、ま、スパイク同様でしょう。

 ココで球面にしたのはふとした思い付きからで足受けのくぼみにダンピングオイルを入れれば制振をいじれる(ほんとか?)。それと、個人的には尖った足というのがあまり好きじゃない、設置時にうっかりして受けから外れると床やラックの板に傷が付く、そうすると気分的に音が悪くなる!

 オイルの粘性を利用するなら尖ったスパイクよりもボールの方が効果を得やすい。以前スパイクの良さが解からなくて、解からないなりに調べて、「スパイクは動かないのではなく良く動いておさまりが早い」という認識でいる。

 「動かす」前提ならその部分以外は動かしたくない。ネジ山の遊びを無くしたいので薄い「ロックナット」も作っておいた。

 オーディオボード用に使うかも?で、2セット製作。

 そして余っていた工具を加工して「ロックナット回し」も。ネジが回しにくいと弄るのが面倒になる、各部組付けのM5の六角穴付きボルト用のレンチも付属のL型の物でも可能だけど、今回下側から留める取り付けベースでは使いにくかったので適した物を探しておくつもりだ。

 

 マウントベースと支柱。

 この2点は加工は単純なので簡単、大変なのは鏡面仕上げ。

 

 ベースの穴位置は支柱取付穴を1mm程内側にずらした。これは純正では支柱外側が1ミリ程はみ出て取り付けるようになっていて、面取りしてあるので実際にはベースに当たらないとしても見た目に好きではないから。

 ネジ穴内径は純正を測ると5.5mm。木工ならこれくらいだが、金属なら1本留めのネジなら0.2mm程度で充分だと思う。アームベース用に購入した工具のガイド穴径5.2mmに合わせておくことにする。使いにくければ拡大すれば良い。

 材料の横はバンドソーで切ったのだろう、刃物の目が残っているのでこれを馴らす方法を考える。

 フライスかベルトサンダーか?両方持っていない(笑)

 手で荒削りで刃物目を無くしてから、400/800/1200/2000と馴らしてからバフ掛け。ベースのアルミ板は角が尖っているので、純正品同様に面取りをしてから磨く。

 純正は面取りの形状を見るとベルトサンダーで鳴らしてからバフ掛けしているように思う。

 ショート用3個と純正同様のロング兼用1個、磨いて光っていく工程で中々の時間を楽しめたが、まだ、もっと、の状態。

 もっと光を!なオーディオ。

 

 このマウントベースの本体への取付けは、自重の他に支柱、アームベース、アームとカートリッジ、ぶら下がるアームケーブルなどもあるだろう、これらの重量を下側からM5ネジ1本で固定というのは少々細く感じる。が、ネジ自体の強度(規格上の)は組み上げ後にアームベースに体重をかけても破断するような事はない。壊れるとしたらアルミ製の本体のネジ山だね。

 普通には壊れることはないけれど、もしもネジ山が壊れたらヘリサートを入れるかM6に加工し直せは良い。ネジ山修理まで考察すると、、、M5とM6なら変更しても見た目がそれほど大きく変わらない。M6で壊れるとヘリサート加工でM6をキープした方が見た目の印象を換えないで済む。アップサイズでの修理ではM7は一般的ではないのでM8となるだろう、大きくなるためこのプレーヤーでは問題ないけど場合によってはスペースの都合で修理不能だったりもするし見た目も大きく印象が違う。

 脱線して壊した時の修理まで考察すると、必要にして充分なM5の選択には「より安心できる未来」がある。良品バイアスをかけた前向きな幸せ考察。

 

アーム取付ベース左上だけ純正品 支柱は全て製作品 もう少し磨きたい

 

 支柱は3種類、アルミの丸棒から作る。

 こちらも鏡面仕上げは見える部分だけで上下は鏡面ではない。純正品は高さ50mm、径は実測34mmだが2個ある支柱には微妙な誤差はある。
 準備したアルミ丸棒は35mm。

 芯ブレで現役引退してからの余生をウチで過ごしている昭和の旋盤でもこの程度の長さならなんとかいける。

 長さ(高さ)は決めた寸法で切り出すだけだが±1mm程度の誤差は最終的にアーム取付後の調整で吸収できるので気楽。中心での全長は良いとしてブレがあると、「1本の円周上で長さのバラつきが無いか?(アームベースが傾く)」が気になる。純正を測ってみると0.05mm程の違いはあった、まあこれくらいは全然問題ないだろう。自作品もせめて0.1mm以下には収めることに。

 

 旋盤で穴開け鏡面仕上げまで済ませてから希望長さに切り端面を仕上げる。

 純正のネジ穴は貫通している。長く加工して穴あけして複数連続して切り出すのが加工が楽そうだがウチの旋盤で長い穴を問題ない精度で中心に開けることができるかどうか?

 不安なので1個ずつ加工、40mm程度なのでこれなら使用上問題ない。純正のネジは内側全部に切ってあるかと思い竹串で探ってみたが22ミリほどの深さまでしかない。が、ウチで低い物を作る時は全ネジにしてしまおう。

 注意点は芯ブレがあると端面が円錐状に出っ張るので組付け時に外周が当たらなく固定時の当たりが悪くなる事。純正をストレートエッジで確認すると、わずかにすり鉢状になっている。加工時の最後に端面だけ追加工して対応することにする。

 穴あけ、磨き、切断。これを製作する数繰り返すのだが。。。。。

 アルミなので次の加工で使う部分にはチャックで咥えたところに傷がついている。ウチの旋盤の爪は一般的な「硬爪」なので当然といえば当然。

 傷が付かないようにシムを挟んでみたが、磨くときには高速回転させるのでしっかり咥えるとやはり凹む。サイズがあれば「コレクトチャック」、又は「生爪」という専用の爪を作って使うのがおそらく正解なのだが、それに対応する旋盤ではないしチャックを買い替えて、、、、、いくら使うんだ???

 傷が付いた部分は外径を削って次の加工に入る、純正が34mm径程なのも同じ理由かな?

 問題は切断面の仕上げ。既に磨いてある部分を加えるのは嫌なので手持ちの物で出来そうな方法を考察。片側からできる加工をできるだけ進めておいて、反対側の切断面だけの仕上げなら強く咥えなくても出来そうなので咥えるときの簡易な物で磨いた面に傷が付かない様にはできそうだ。

 三分割の爪ガイドを鉄パイプ加工にゴムを貼って製作。切削後に長さのバラつきを確認すると0.1mm以下には充分に収まり精度も問題ない、中々に上手くいった。

 タップを立てて磨けば完成。

 

 純正品の鏡面仕上げはバフ目も目視でほとんど見当たらず丁寧で質が良い。が、見えない部分は仕上げていないしマウントベースでは隠れていた面の輝きが綺麗だが、露出しているところは使用に伴い白っぽく艶が落ちているのが解る。これは全部作ってからコーティングで劣化防止しておこう。

 鏡面仕上げは音質云々ではなく美観の為と判断できるので、深く考察せずに純正同様見えない箇所は鏡面仕上げをしない、疲れるから(笑)

 とはいえ純正よりもだいぶバフが荒い。アームベース製作後にもう一度仕上げバフをやっておこう。

 

 

 バフは終わりがない、プチプチ潰すような無我の境地に落ちてしまうので程々に。