音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

パイオニア F-F3MK2 チューナー パイオニアは正直だ

 F-F3MK2 2009年49800円(税込)

 私の感覚だとこの価格は中級機だが、チューナー全盛期から30年が過ぎ製品数が大きく減ったこの時代ではどうなんだろう。シルバーの前機種F-F3のマイナーチェンジ、ピアノブラックの外観が高級そう。中身は同じなんじゃないかな、たぶん。

イオニア F-F3MK2

 先に感想を書いておくと表題の通りだ。

 道具としては良く出来た物で、私のようなスイッチいっぱいの時代の人間には戸惑う事の多い操作系だが存在が出しゃばることもなく聴くことを楽しめる。ピアノブラックの高級感にしっかりした筐体とインシュレーター、この時代のオーディオのポイントはそつなく抑えている。

 で、「3」だ。シリーズのアンプやCDプレーヤーは「6」「9」だ。数字が大きい方が高価=音が良い。

 「3」くらいの音ですよ、それが良いんです、チューナーですよ、皆さんそこまで求めます?、全盛期のトリオさんみたいにシリーズ内でアンプよりもチューナーの方が高価なんて今時ありえないでしょ、上司に怒られます、営業部も売ってくれないですよ、この位で妥協できるでしょ、ね、妥協してください。

 

 ゆるい購入動機と動作確認まで。

 

 シンセサイザー式はもう買わないと思いつつ普段使いの便利さと価格の安さにつられて追加購入。同シリーズのCDプレーヤーを使い始めたので、見た目の統一感を狙ったのと、サブシステムのいくつかのアンプに全部チューナーの音を入れておこうと思ったので音源を増やすために1台増やす(手持ちの物を繋げよ!)のが確実、チューナーは発熱の心配がなくシンセサイザー式になるとみな薄型で2台重ねて置けるのでラックも対応できる。

 

 同じシリーズのアンプやCDプレーヤーも割安感があるがチューナーは不人気オーディオの代表で当時の定価を考えると現在の中古相場は格安。

 届いてすぐに音出し確認、特に不具合はなく、外観は汚れていたものの軽く掃除しただけで新品同様といって良いレベル。ボタンの操作感は少し前に入手したCDプレーヤーよりもしっかり感があり、リモコンで操作できるので本体での操作をしていないのか、そもそもチューナー自体使っていなかったという悲しい現実の結果なのか。

 

 音が気に入ればそれで良いが、今回はいくつかの古い機種と比べてみる、要するに意地悪な比較だ。音は一聴した感じでノッペリ感があり良い物買ったぞ!というのは感じなかった。わざとらしいブワッと膨らむ古臭い音の方が最初の印象は良いかも。

 チューナーに限らず新しい機種は特性が充分に良いので、新回路構成で音が良い、とか、使いやすい新機能、とか、外観仕上げの良さとか、使いやすさとか、新機能とか、商品の売り文句に特性の良さを強くアピールすることは少なくなったと思う。

 

 私は電波系は解っていないのでチューナーの特性のそれぞれが何を意味するか正しく理解していないかもしれないので、単に与えられた数字の比較と思って欲しい、疑問はコメントでツッコんだりせず検索して解決してくださいね。

FM/AM チューナー「F-F3MK2」 FMチューナー部

受信感度 14.2dBf ,IHF
S/N比 76 dB (モノラル) / 71dB(ステレオ)
全高調波歪率(ステレオ) 0.6 % (1kHz)
ステレオセパレーション 45 dB (1 kHz)

 

 比較機種

 パイオニア F-26 1980年頃の高級モデル 135000円

S/N50dB感度 mono:3.5μV(新IHF、16.1dBf)
stereo:40μV(新IHF、37.2dBf)
実用感度 mono:1.8μV、新IHF 10.3dBf
SN比 mono:86dB
stereo:83dB
高調波歪率
Wide mono: 0.05%(20Hz)
0.03%(1kHz)
0.03%(10kHz)
0.04%(15kHz)
stereo: 0.06%(20Hz)
0.05%(1kHz)
0.1%(10kHz)
0.25%(15kHz)
Narrow mono:
stereo:
0.15%(1kHz)
0.3%(1kHz)
キャプチャーレシオ Narrow:2.0dB
実効選択度 Narrow:75dB(300kHz)
ステレオセパレーション
Wide: 55dB(1kHz)
50dB(50Hz~10kHz)
40dB(20Hz~15kHz)
Narrow: 50dB(1kHz)
イメージ妨害比 120dB
IF妨害比 120dB
スプリアス妨害比 120dB
AM抑圧比 65dB
サブキャリア比 75dB

 

 Lo-D FT-420 1975年 4連バリコンの中級機 45000円

実用感度 1.7μV(IHF)
3.0μV(S/N 50dB、mono)
40μV(S/N 50dB、stereo)
S/N mono:73dB
stereo:68dB(13.6kHz、LPF使用)
高調波歪率
mono: 0.2%(100Hz)
0.15%(1kHz)
0.2%(10kHz)
stereo: 0.3%(100Hz)
0.25%(1kHz)
0.5%(10kHz)
キャプチャレシオ 1.0dB
実効選択度 80dB
周波数特性 20Hz~15kHz +0.2 -2dB
セパレーション 50dB(1kHz)
38dB(50Hz~10kHz)
イメージ妨害比 85dB
IF妨害比 90dB
スプリアス妨害比 100dB
AM抑圧比 52dB
キャリアリーク抑圧比 65dB

 

 今と昔ですべて同じ基準で測ったデータなのかは不明。

 受信感度は良く、「古い高級機以上」と、思ったが、「S/N50db」とかの条件表記があるので比較して良いのかどうか?「新IHF」同士でも「実用感度」と「受信感度」ではなにがどうなのか判らん。私はそこまで数値に興味が無いので、気になる人は同じ基準で測るなどして無線系に造詣の深い人が細かく研究しているはずなので勉強してみてください。

 音質面では残念ながら30年以上前の中級機より歪率やセパレーションが劣るという少々残念な結果。音質の好き嫌いはともかく数値上は上回っていて欲しかったな。音がノッペリして感じたのはセパレーションなのかな?これの5dBが案外と大きな差なのだろうか?

 雑音少ない選局ができるけどそれだけで良いのだろうか?

チューナーの変更、音質と受信感度 - 音遊び~オーディオのブログ

 ブログのチューナー関係で最初に書いたこの記事の前半の一文「カーオーディオのように受信できる物もいくらでも作れるのだろうけれど、、、、」を、実感する事となった。ストレスなく使えるけど、家庭用オーディオ機器としてはやはり感度だけじゃないと思うけどねぇ。

 

イオニア F-F3MK2

 ほぼ密閉なので汚れは無いだろうけど中が見たかったので開けて軽く掃除。

 基盤は大きいが真ん中あたりがポッカリと空き部品が付いていない。写真右上がチューナーユニット。カロッツェリアのカーオーディオと同じだろうな。こんなに小さいのに感度良好、技術の進歩は素晴らしい。

 基板には「FF6&FF3 DAB MAIN B’D」とあるので上位機種のF6と共通基盤なのだろう。そちらはチューナーユニットじゃなく沢山部品が付いてるのだろうか?

 って、検索してもF6というモデルが見つからない。海外モデルとして見つかって、東欧のサイトでは高級機として中古でも高値だったが、日本では販売しなかったという事らしい。

 

 なんにせよ使いにくいのでリモコン探して買った、本体より高い(笑)

 それでも使いやすくは無いけど、そうそう選局するわけではないのでとりあえずOK。道具として不満は無いのでサブシステムの音源のひとつとして使用中。

 なんとなく少し切なくなる買い物でした。