音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

 Solid Machine その2 ドイツクラフツマンシップを実感しつつ各部検証とアーム実装部品製作の検討

 「ドイツの科学は世界イチィィィィィ!!ジョジョの奇妙な冒険 第二部 シュトロハイム愛国心あふれるセリフ。

 そのドイツ製のプレーヤーを自分の物にするべく、考察している。今回は(も)長文です。

 

 仮に手元に有るアームベースを取り付け手持ちのアームを合わせてみると、当初の目論見通りアーム取り付けの自由度はとても高い。各部をネジ1本で固定するので回転させて位置調整できる範囲が大きい、それを可能なのはキャビネットが無い事が大きく貢献している。ガサツな固定方法の様だがメリットは大きい。

 カタログではアーム3本となっているが、上手くレイアウトすると4本取り付け可能と思う、けど、使いにくくなるだろうな。

 

 要するに余程変態的な物以外のアームは取り付け可能。メーカー純正でもアームベースは設定されていて、オルトフォン/他社用、SME用、、、、、2種類かよ!(笑)他社用ってざっくりしてるな!

 要望があればメーカーや販売店で対応しますって事です、きっと。

 しかし価格は気軽な物じゃない、1個なら買うけどいくつか使いたいアームがあるのに経済力が見合っていない私には作る方が現実的。ま、多少の加工はできるので使える物は作れるけど、美観は難易度が高い。Solid Machineはカタログの宣伝文句に「研磨技術」とある。バフ掛けは町で見かけるカスタムバイクのキラキラ光る部品なんぞとは

比べちゃいけない美のレベル。それなりの設備があるのだろうけど良い仕事ですよ、ウチにある道具で手作業は大変だよ、コレ、、、いや、同レベルにはできないかも?。

 検討しながら確認していくと、この各部ネジ1本で固定して、、、というのを可能にしているのは高い加工技術だという事も良く解る。作業工程なども考えつつ色々とみていくと部品を作るには「ここをこのレベルにするには、今ある機械だと、、、、」と加工工程を熟考し始めて計測の手が止まる。

 テーブルベース-アーム取付ベース-支柱-アームベース、この3点をネジ留め。その手前にはテーブルを保持するスピンドルもあるわけで、簡単に組み立てて精度が出せるのは加工精度を担保できる職人さんあってこそ、だ。

 日本でのオーディオ全盛期は電機メーカーに拠るものだったし、デジタル全盛の今では存在感が薄いけど、アナログレコードの時代は「機械」は重要だった。

 

 子細に観察してドイツの職人のおじさん(お姉さんかも?)に感心するオーディオ

 

 アームの取り付け位置はスピンドルから〇〇mmのところに直径○○の穴を開ける、というところまでは資料があれば簡単なんだが、高さの指定が無い(解からない)物が多い。

 そもそも部品を集めて組んであるプレーヤーシステムではだいたい同じような高さではある。A社モーター付きキャビネットにB社のアームを、などというのは諸先輩方は当たり前にやっていて、寸法が外れる物もあるだろうけど大体は専用アームベースがキャビネットメーカーから出ていたし、なければ汎用品を自分で加工して使うとか、特注で作る。街に大工さんがあふれていた高度成長期の日本では木工はさほど高価でもない。

 完成品のプレーヤーではテーブルの天面からアーム取付部の寸法は専用設計なのでかなり自由で、安く簡素なアームを高い位置につけていたり、オート機構やら電子制御やら重心を下げたいとかの理由で取り付け高さがキャビネット天面より低くめり込ませてあったりする。

 テクニクスのSL-1015の場合では、EPA-500の使いやすい高さ調整機構は調整範囲が大きくないので生かしきれる適正な高さにするために、アームベース天面よりも3mm程下げてセットしてある。こういうザグリは工具が充実してないと綺麗にできないので今回のような金属での自作では避ける。

 

 いくつかのアームの実装を実機で簡単に確認。S字パイプにカートリッジ(針折れのノブを付けてメラミンスポンジで大まかに高さを出してある)を取り付けて、治具として余生を過ごす傷だらけのレコードに乗せてみる。

 

 トーンアーム取付高さの検討

 ところが、今回1個だけあるオルトフォン用取り付けベース(先代309、JELCO製という噂の物用、15mm厚円形)で高さ確認すると、手持ちのアームの多くで、おそらく下げきれない。多くの単品アームは高さ調整可能なので低めにセットすれば使えるのだが、取り付位置が高すぎて下げられず尻上がりになってしまう。

 

 うーむ、オルトフォンの単品アームは低いって事だな。上への調整範囲は単純で大きそうなので、おそらく多くのプレーヤーに付けて使える、単品販売アームとしては組み合わせるキャビネットの制約が少ないので正しい。

 日本仕様Solid Machineではこのオルトフォンのアームがいわば純正装着となるのでそれに良い高さにセットしたのだろう。

 この高さ、手持ちではビクターJL-B44Hから外しておいたアームがぴったり。外観の意匠はともかくアームの構造は基本的に共通だし、オーソドックスなアームという点で共通点が多い。写真のデンオンはまあ何とかいける。

 

 日本ではオルトフォンジャパン扱いなのでアームもオルトフォンだけど、ドイツのメーカーURLではWTB370というアーム(英国のRegaのアームと似た雰囲気、現在の欧州の流行か?)が付いて売られている。

 やや重そうに見える太いパイプのストレート型で構造はオーソドックスではなさそう。カートリッジ交換などは簡単ではなさそうだがオルトフォンのアームよりも音質への興味は湧く。アーム外観は鏡面が多く雰囲気を合わせてありカートリッジはオルトフォンのMC-Q5らしきものが付いている、そのメーカー純正ともいうべき音はどうなのかも気になる。

 これからいろいろなアームを付けようとしている私がいえる事でもないけど、見た目の統一感はオルトフォンアームよりも本国仕様の方が統一感があってカッコイイ。

 ちなみに、2010年の日本版カタログには下位モデルの「システム搭載用」として見開きでWTB-211というショートアームの写真があるが、スタティック型という事しかわからない。写真で見る限り極シンプルなアームで仕上げは鏡面などではなく簡素化された物だろう。搭載モデルの仕様にも適合重量やオーバーハング等の情報はなく、「基本的にアームレスですがトーンアーム付きもあります」という扱いだ。多少の情報が無いと購入を検討しにくいでしょ?そこまで気にしないのかなぁ?でも、こういう物は案外と「普通に良い物」なんじゃないかと思うので、機会があれば使ってみたい。

 

 いくつかのアームで検討した結果、最大で10mm下げれば手持ちのアーム全部が無理なく取り付けできる。

 高さを下げたい、と、なると15mmもあるアームベースを5mmに。加工は楽になるし、アームの重量なんてたかが知れているから強度に問題ないし心配なら強度の高いジュラルミンや比重の大きな真鍮とかにすれば、、、、、

 

 いーや、違うだろ!分厚い方がカッコイイ!全体の雰囲気を壊さない為に重要だ。

 

 じゃ、「柱」を短くしよう。これは案外簡単。アーム交換時は高さの同じ柱を使う物同士となり自由自在とまでいかなくなるけど、頻度は低いだろうし妥協できる。

 

 

 取り付けベースは現在ロングショート兼用できる純正が2個。

 ロングアームはあまり使わないだろうからショート用を1個作れば3本アームに対応できるが設置スペースはショート専用の方が少なく済むので現実的。が、将来「ロングアームにローコンプライアンスのMCが最高!」という面倒な爺さんに成長できるかもしれない私の未来への希望の為、素材はロングのみ、ショートのみ、どちらでも3本にできるように用意。

 3本、付けることがあるかねぇ。付けられるんだから1回くらいやるか?

 

 柱は現在オルトフォン用が2本ある。これは当面は10mm短い物を3本で良いだろう。丸棒を切ってネジを立てるだけ、単純。後に必要なら寸法を合わせて作ればいいので素材は10本分くらい用意。

 

 アームベースの方は多様になる。

 まず、手持ちの物で一番面倒そうなEPA-500、アーム取り付け面積に合わせると円形では大きくなり見た目が大雑把になりそうだし取り付け自由度も下がりそうなので長方形(大)とする。

 オーディオクラフトにはサイズを合わせて同じく長方形(中)。

 円形はコストがかかるので元々のオルトフォン同様に取り付けできるデンオンやビクター等のオーソドックスなアームへの対応も長方形(小)。

 中、小は汎用として使えるだろう。

 素材は小5枚、中5枚。大2枚。これを付けるアームに合わせて加工する。

 

 それと、ベースの取り付けネジ、ついてきたものは2種類の長さなので、それぞれ20本ずつ。折ることはないだろうけど安いので。元は黒だけど、後述の足用の部品と同じスズコバルトにした。

 全体に鏡面仕上げでキラキラしてるのに、ここの留めネジだけ黒ってのはどうなんだろうと思うし、ね。

 

 

 アームベース製作の為の素材

 アームベース用は長方形で用意したが、カクカクしていて全体の雰囲気には合わなそう。できれば角を落として少し柔らかい雰囲気にしたい。

 金属素材の値段は重量が基本、分厚くて立派な物は高価になる。

 ま、でも余分に用意した。失敗するよ、きっと。備えあれば憂いなし、転ばぬ先の杖。

 

 そして、べつにこのまま使えるけど気になった「足」。

 設置してしまったら面倒になっていじらないと思うので、今のうちに考察。

 

 振動をどうやって針先に伝えないようにしているのか?見たところ制振材などは使っていないので、テーブルやベースの振動の吸収減衰はアルミニウムの塊(の、重量)に任せるという事だろう。

 すべてを固定してしまうと、ラックからの振動すべてを力業で受けることになる。重くても外部からの影響で振動しないわけではない、どこかで伝えないようにするか減衰させるか、、、、、メーカー製一体型の良く出来た物ではキャビネットとインシューレーターを使って作り込み、制振と免震と防振を上手く収めている。

 

 では、キャビネットを持たないSolid Machineではラックを伝わる振動はどうだ?足はネジで高さ調整し足受けに乗せる。受けには乗っているだけ、ネジは固定されない。スパイクなどでもネジは固定しない物が多い、ネジの遊びがちょうど良い「逃げ」。

 この方法はSolid 「Machine」の名にふさわしくいかにも「機械」な方法だ。

 旋盤などの産業機械をコンクリート床に調整用のネジを受ける足受けを置いて設置し、ネジで高さ調整して水平をだす、方法は同じで足受けの材質が鋳鉄でなくアルミ製なだけ。必要にして充分、古くから機械の設置に使われている方法なので理にかなっている。

 ところが、だ、「Solid」 Machineのアルミの足受けの中にはフェルトらしきものが敷いてあって「Solid」じゃない(笑)

 外観は鏡面仕上げのカバーと受けでカッコよくなっている。

Acoustic Solid Solid Machine の足のネジ。奥が純正。

 足のネジを外してみると極普通の規格の六角穴付きボルト、この見た目だと三価クロメート白仕上げだな。六価はEU圏では使えないから仕方ないけど、色が白っぽく往年のユニクロとよばれた六価系のメッキよりも安っぽい、なのでカッコよく鏡面にしたカバーを載せているんだろう、ない方が音が良かったりしないのかね?ネジの上に載せておいた方が制振も期待できるのかな?

 ネジは「極普通の規格」ってのがいけないね。同規格の物を買えば「加工してあーしてこーして」と出来そうなことを考えてしまった。

 ネジの仕上げは近年流通の増えたスズコバルトメッキ、耐食性は昔のユニクロより劣るらしいが色合いが近く、、、古くなって色が変わった時も同じであって欲しいけど、どうかな?写真ではステンレスっぽく見えるけど実際見ると昔のユニクロネジの新品のような輝き。

 オーディオから離れたネタになってます、すみません。

 

 スパイクは興味なかったけど以前、JAMOのスピーカーの設置の際に色々と調べた。実はスパイクは固定ではなく動いて減衰という事らしく、それなら脳内がすっきりする。

JAMO Concert Ⅱ Concert Ⅶ - 音遊び~オーディオのブログ

 

 ちなみに、Machine Mini という今も日本販売されるモデルでは足はスパイクで、イメージとしては「Solid」だ。

 本国のURLを見るとこのシリーズは「Aluminum-line」といい、日本ではカタログ落ちしたSolid Machineが今もアーム付きでラインナップされているし下位モデルも多数ある。

 Solid Machine はスパイクではない足の一番小さなモデル、同シリーズでこれより小さい(=軽い)モデルは皆スパイクだ。充分な重量が無いからスパイクで、、、という事なんだと思う。スピーカーも小さい物ほどスパイク云々言ってる人が多いので、そういう事なのだろう。

 

 私はオーディオ機器の名前から勝手に妄想して夢を見る。

 「Solid」なんだからフェルト挟んだりしないでもっと「Solid」にしてやろう。

 ボルトを眺めたりしながらツラツラと考えて、現在の外観を大きく変えず、自分で出来そうな範囲の加工や部品調達で、更によくばって設置で少しは遊べそうな物にまで企みを練り込んだ。

 加工は単純だし材料のコストのアーム程にはかからない。ちなみに、スパイクにはしない。

 

 アームと足の素材の他に、補修部品としてのベルト等購入して設置する前に既に数万円。色々と出来そうなだけにやりたくなっちゃうのが危ない、脇道にそれても楽しいけど、目的である音を聴いて使い込む前に経済破綻で頓挫はいかがな物か?w

 そういえば日本にソリッドアコースティックスというなんとなく似た名前のヤマハ絡みの先進的(見た目が)スピーカーメーカーが過去にあったが破産している。気を付けよう。。。

 Acoustic Solid 聴覚の塊 なんだそりゃ? 確実な音響 かな、その会社の Solid Machine 固い機械???(笑)使いこなして音を楽しむところまで行きたい。

 

 まあ、当面必要な物は揃った。

 

 加工して作るの、面倒だなぁ。まずは「やる気」を貯めよう!