音遊び~オーディオのブログ

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アンプに重量は必要?バブル798比較 TA-F333ESR A-717 SU-V900 SU-V80 A-817EX などなど

 同じ様なアンプなら重い方が良い。

 本当か?

 

 今更、いや、中古でゴロゴロある今だからこの2年ほどの間に色々聴いた。同時試聴しているわけではないので音質の印象は寸評、独断。

 結論から書くと重さは絶対条件ではない。今時は軽いデジタルアンプで音を楽しむ人も多いから当然の結論。けれど、部品がぎっしりで重い(主に電源にお金かかってる)方が「強い」とは思った。中古相場は人気による差があるけど音質には人気程の差が無いと思うから「現状で良い状態の個体」優先だな。

 

 ざっくりとした一応の比較条件を。

 1980年代に入るとモデルチェンジのサイクルも早くサンスイなんて毎年新型になっていたので条件を決めないと対象が多すぎる。出力アップと共にどんどん重くなっていったバブル絶頂期、価格は定価79800円に固定して後継モデルでも値上げして以降の物は対象外とする。

 この798クラスを一気に重量級にした発端、1986年ソニー333ESXの18.6Kg(実測では19Kg以上といううわさ)を最低重量にしてライバル機の中で出来るだけ重たい物を集めてみる。

 1980年ごろでも高級機の片チャンネル8Ω100Wクラスで20Kg超えは多かった、これなら「上級機並みの出力と重量」という事になる。

 D/Aコンバータ内蔵機、ビデオ信号対応、多チャンネル対応機、こういう物は当時は価値ある付加機能だが、今となっては不要なので対象外、コストのすべてを2チャンネルステレオの音に使ったアンプに絞る。

 これくらい条件を絞り込んで、重量を調べてみるとそれほど多くない。

ソニー TA-F333ESR

 

ソニー TA-F333ESR プリメインアンプ 動作確認とメンテナンス - 音遊び~オーディオのブログ

 ソニーではTA-F333ESR(1988年)

 21.2Kg。ソニーは333ESXを突然18Kg超えで発売、その後も重くなっていくがシリーズでも20Kg超えはこのESRから。サイドウッド込みなので実質は20Kgを下回るかもしれないが。次の333ESGも798で20Kg超えだがESGはリモコン付きなので避けておく、高いしね(笑)

 シャシーが重いのであって、中身の部品が詰まっているわけではない。

 後の333モデルにも20Kg超えの物はあるが価格も上がる。

 ESX発売時に試聴した記憶がある。店頭試聴では333と555で音質は大差なく、当時の印象では333=607<555<<<707となって、それ以降情報更新していないので今でもそういうイメージ。

 今回のESRの音の印象も昔と変らずクリアーとかきれいな余韻よりも量感。低音は解像度が高いとかスピード感があるという物ではない。聴きやすく良くまとまっていてベンチマークのL-01Aと同傾向のふくよかな音だが、音粒の細かさや煌びやかさでは価格差が歴然としている。

 

パナソニック SU-V900

 

パナソニック SU-V900 プリメインアンプ 動作確認と音出し - 音遊び~オーディオのブログ

 パナソニック SU-V900(1989年)

 もっとも後発、後出しじゃんけんできる大メーカーの余裕。

 ソニーにチョイ負けの21Kgだがウッドパネルなしなので実質一番重い。シャシーも極一般的なので中身がギッシリ詰まっている。トランスは2個センター配置だし、カバーを開けると798とは思えない。

 前モデルのテクニクスSU-V80の方が出力が大きく軽い。このクラスにパナソニックブランドを浸透させるためのバーゲンプライスだろう。片チャンネル6Ω100w。前モデルよりもオーソドックスな顔つきにしたので見た目にあまり安っぽさは無いが、はめ込みツマミでヴォリューム軸が樹脂だったりと高級という程でもない。SU-Vシリーズの最終型。

 個人的にはSU-V10と同傾向(同じメーカーだからね)大きな不満はないが音がやや暗く余韻も全体に少したりない。が、同レベルの出力で10年で半額以下と思うと偉い!30センチウーファーでも余裕でこれは重さ(というか、電源、だね)のメリットか次のV80よりも重い低音がでる。

 

テクニクス SU-V80 プリメインアンプ 動作確認 - 音遊び~オーディオのブログ

 テクニクス SU-V80(1987年)

 13.5Kgと軽いのだが、たまたまあったので比較用に。

 シングルトランスだが、片チャンネル6Ω120Wと出力はV900よりも大きい。マイコン制御電子セレクタ(こういうの、要らない)でタッチスイッチが安っぽい。

 これは良いぞ!と思った1985年のパワーアンプSE-A100がニュークラスAA、その技術を、、、とあるので中身は実力派。な、はず。期待はした。

 低音の量感はV900に劣るが軽快で心地よい。全体の音の印象はV900よりも明るく中高音の余韻も綺麗ですっきりしている。聴きやすさならこちらかも?

 

新旧対決! パイオニア A-717 VS A-150D プリメインアンプ - 音遊び~オーディオのブログ

 パイオニア A-717(1987年)

 19.6Kg(おしい!(笑))

 前モデルはA-120D(1985年、82000円)14.2Kgなので、一気に重量を増やしている。

つまみ類は皆アルミ削り出しのネジ止め。一番お金かかってると思う。出力も文句なしのトップクラスで8Ω100W、6Ω120Wと8Ω表示もあり、古いアンプとの比較もしやすい。トランスは2個搭載、底板が分厚くペナペナしない程度には重いけど、中身が重たいという意味ではパナソニックと同等だろう。総重量ではパナソニックに負けているけど、ネジ留めのツマミ(って事はシャフトは金属)とか、全体の造りはこちらの方が高級感がある。

 特に低音のキレが凄く、メインシステムのパワーアンプを上回る立ち上がりの良さ。ややドンシャリ傾向。元気な音で、スピード感とキレの良さを重視する好みならこれが一番、ホームシアターで映画を迫力の音量で聴くなら最高だろうな、と思う。

 機能面では「PHONO EQ」というスイッチがあってイコライザー回路の電源を切ってCD再生時のノイズを減らす、、、

 古いパイオニアのA-0012と比べると時代の求める機能も音も変わった事を実感する。

 

オンキョー A-817EX プリメインアンプ - 音遊び~オーディオのブログ

 オンキョー A-817EX(1988年)

 20.3Kg。底面に補強を取り付けてあり、それを外して測った人に拠ると6Kg以上あるので「重量水増し」などといわれている。そのうえ、映像入出力があるので本来は今回の趣旨から外れる。直前の817XXは17.5Kgで、補強材は5Kg程度らしい。

 実質重量14Kg以下という事だが、シングルトランスだし元々これくらいが798アンプの重量。

 つまみはネジ留めで造りも良い。天板が電源と信号系基板で別れていてシールド効果を狙っていて重量以外のこだわりもさぼっていない。

 出力は大きいし、天板から覗くとLEDの赤と緑が光っている等の特徴的な回路を採用しているし、音も良い。流通価格が安いのが可哀そう。

 中高音の透明感はピカイチ、余韻も滑らかで美しい。この点はベンチマークのV10と01Aにも比肩できる。低音は綺麗だが量感少な目、でかいスピーカーで低音をドカドカ出すので無ければ798とは思えない上質な音。

 

 サンスイ607には以外にも18.6Kg超えの該当なし。

 18Kg超えなら、と、思ったが、それも無し。87年のα607iの16Kgが最重だった。以降の型なら18Kg超えもあるが価格が798ではなくなるので対象外。

 607は馬鹿売れしていてこのクラスのベンチマーク、重たいイメージだったが案外と軽量。707なら80年代後半には20Kg超えになる。サンスイは607と707の音の差が大きいので、新型が出たら旧型の707を値引きしてもらって(人気が有るので旧型もすぐに無くなるけど)買うのがお買い得だった。

 私の「サンスイはズシリと重いアンプ」のイメージは707の物だったんだなぁ。

 

 今回聴いた物はどれも楽しかった。

 アンプにも音の差があり、それが楽しかったがこのクラスになると「こりゃダメだ」という物はない。最もハズレのない機材だと再認識。

 

 当たりの中から好みの大当たりを探す、だね。

 

 

 ベンチマークにした参考機種を3機種。

 音のリファレンスには傾向の違う2機種。

 そして機能面で1機種。

 古いけどどれもプリメインアンプとしては魅力があると思っている。

 

 1979年、疑似A級の名機。

 SU-V10。疑似A級採用で始まるテクニクスVシリーズの最初の高級機、仮面ライダーに例えるなら始祖にして最強、不滅の1号。私的プリメインランキングの一方の雄。

 198000円、23Kg、120Wクラス。価格では798よりもかなり格上、機能も見た目もオーソドックスなアンプ。10年近い歳月を経て「安くて重くて良い」物になっているのかを検証するには良い比較対象でしょう。機能も構成も良く出来た、悪く言えば特徴のない逸品。

KA-9300故障、SU-V10 ふたたび - 音遊び~オーディオのブログ

 

 同じく1979年

 ケンウッドL-01A。私的プリメインランキングのもう一方の雄、価格は27万円。電源と電子系がセパレート(ある意味セパレートアンプ)と先進的で重量は両方合わせて27Kg、1Kg1万円。これも明かに格上だが100Wクラスなので比較対象にしてみた。見た目も操作系も一癖ある、音はふんわり系の凄くいいヤツ。

トリオ/ケンウッド L-01A 点検修理 - 音遊び~オーディオのブログ

 

 1977年頃の機種かな、パイオニアA-0012

 今回のバブル期のアンプはどれもMCカートリッジ対応だったが、MMカートリッジの負荷は変えられない。古いカートリッジで遊ぶならこれくらい古いアンプの方が充実している。音質もこの時代のトップクラス、過去の音も楽しませてくれる余裕ある高級機。

 価格は190000円、重量24.7Kg、120Wクラス。

パイオニア プリメインアンプA-0012 点検/修理 - 音遊び~オーディオのブログ