音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

Acoustic Solid Solid Machine その4 アームベースの作成

 アームベース製作にまでたどり着いた。

 

 今後違うアームを使う可能性はある、その際に困らない様、オルトフォンアームが付いていたのと同等のもの5枚(アームベースSTDとする)、オーディオクラフト用を5枚(アームベースACとする)、現在の主力アームも移設するかもしれないのでテクニクスEPA-500用2枚(アームベースTECとする)。

 アームベースSTDはオルトフォン以外にもデンオンやマイクロなどの20mm程の取付穴の物の多くに使える。取り付け穴とオフセットしてアーム位置を決めることは無いと考え、純正同等の取り付けスペースをとったが純正の丸の中に入ってしまう程度の小さな8角形。

 アームベースACはアーム取付穴径が大きい事とアーム側のベース径を考慮して少し長い。

 アームベースTECはアーム側ベース部分の径が85mm。特徴的な使いやすい高さ調整機構の代償でベース位置を下げる必要もある。正直使う事は無いかなとも思ったが、持っているんだからきっと使いたくなるに決まっている。デカイサイズになって見た目に重そう。

Acoustic Slid アームベースオルトフォン用を裏側から

 純正のオルトフォン用を観察すると、円形で裏側にセンター決めらしき穴がある。という事はこの径のアルミ丸棒を切り出した、という事かな?同心円状の切削目があるのでそういう事なんだろうけど、ウチの旋盤ではできそうにないし、できる自身もない、刃物も全然対応できない。

 

 なので、アルミ板を加工しての製作。

 3種類それぞれの寸法を決めたが長方形のままでは純正の丸に対して印象が違いすぎて今一つカッコ悪いと感じたので、少し凝って角を落として八角形にする事にした。

 

 12枚、中々に面倒だ。

 先ずは支柱への取付穴をあけザグリビットで六角穴付きボルトの頭が沈み込むように加工し面取りをしておく。これは単純簡単。

 

 八角形への加工方法は手持ちの工具を考慮しながらだいぶ検討した。

 デカいベルトサンダーを買えば磨きの下地にも使える!とか、バンドソー買っておけばオーディオだけでなく色々使えるな!等々悩んだが、今回旋盤の刃物など色々と出費がかさんでいるのに今後の使う機会の少なそうな物を物欲(工具好きでもあるんだよねぇ、困った事にw)で買ってはいけない。。。

 旋盤に中古で購入したエンドミルを付けて横フライスとして加工した。中古の刃物は安価だしアルミなので切削も楽、切り口は綺麗、正解の方法選択でした。

 

 どれも支柱への取り付け側は支柱の寸法を考慮して大きめに45度カット、前後がある形状になった。

 

 形状が出来たら仕上げ。鏡面でなく黒塗装で充分とも考えたが取り付けベースと支柱も磨いたし、一見問題ないくらいには綺麗にできたので磨きを頑張ってみた。

 多数あるので取り付けベース磨き時の工程を叩き台にして作業手順を決める。

 今回45度に切った部分よりも素材購入時の切り跡の方が荒いので下処理が面倒。サンドペーパーをサンディングブロックに付けて粗削り、面取り、ベビーサンダーの磨き用で馴らし、ハンドタイプのベルトサンダーに仕上げベルト、と手持ちの工具総動員。

 そしてバフで磨き。

 まあ、単純作業を黙々と、、、、、たまにはこういう事やるのもいいもんで、光ってくると楽しかったりする。けど、オーディオじゃないな、これは(笑)

 

 アームベース、最終磨きを残すのみ。

 単体では角度によって磨き傷が見えやすいけどアームを取り付けてしまえば見える面積は減るしこれくらいの仕上がりでも充分だろう。

 純正はもっと綺麗ではあるけど、脱脂して角度を変えて透かして見るとやはり傷はある。おそらく、防錆もかねてコーティングする事で拠り磨き傷が解からないようになっているのではないかと推測。

 製作したものに試しに車用のワックス(カルナバ蝋の柔らかい艶の物)を使ってみたら良い感じに傷が見えなくなる、とはいえ純正には劣る。

 市販されているコーティングでカチッとした艶の出る物を使えば質感も近くなりそう。

 もう少し磨きも追い込みたいと思い、ついバフを新調。まとめて最終磨きして洗浄してからコーティングしよう。

 部品としての完成は近い、アームの取付が楽しみになってきた。

 すべてのアームを知っているわけではないが3種類のアームベースと高さ違いの支柱の組合わせで、ほとんどのアームに対応できると思う。

 まとめてベースを作ったが手持ちのアームは数本。あきらかに在庫過多だけど、でも部品がたくさんあると音が良く聴こえる!

 

 なんでもこい!!!という安心感でこれからはアームの衝動買いが、、、増えちゃ困るな(笑)

Acoustic Solid Solid Machine その3 足とマウントベースと支柱の作成

 今回は金属加工を楽しむネタ。加工時の色々な音を楽しむ(笑)

 

 面倒な事に素材が揃っても加工しなければならない。

 穴を開ければ使えるけどそれなりの美観を求めたい。加工しながら色々と気付く事もあるので確実にのんびりと。

 

 個別合わせのアームベースはそれぞれに加工するとして、まずは加工工程を考えつつ足、マウントベース、支柱を作る。

 初期検討はこちら。

Solid Machine その2 ドイツクラフツマンシップを実感しつつ各部検証とアーム実装部品製作の検討 - 音遊び~オーディオのブログ

 

 前述の検討で少々いじってみるのも面白そうと考察した「足」、色々と決めたので製作。

 足受けは鋳鉄。スチールボール10mmを置き、先端には8mmで穴あけしたネジで本体を支える、とする。

 

 鋳鉄ベースは第一期にもらってきて使った鋳鉄製で検討を始めた。当時はこれの上に厚い合板をおいてプレーヤーベースにしていた。後に多数購入してアンプの下に置いたりしたところで徐々にオーディオ休眠期間に。産業用で安価、当時の値段は300円位だったような?壊れる物でもないのでガレージオーディオとなった今でもコンクリートの上に置いてラックのベース等に利用している。

 今回、TAOCに見た目の綺麗な既製品があるかな?と思ったが、スパイクとセットだった。スパイクの受け側だけなら形状もちょうど良さそう。最近売っている産業用は見た目が綺麗かなと思ったらこちらはそれほど進化していなくて(価格はそれなりに上がっていた)形状は持っている物よりも穴が小さ目の物しか見当たらなかった、今はボルトの先端を受けることが多いのかな?ウチの物はボルトの頭を受ける用でTAOCの受け側と見た目に形状が似ている。安ければ買うんだが、振動吸収性に大きな差はないだろうから手持ちの物で間に合わせることにした。

 

足の製作

 足受けはくぼみ部分と設置部分をマスキングしてサンドブラストで塗装を除去、くぼみ部分は鏡面仕上げ、といっても鋳鉄はどんなに磨いても鏡のようにはならない。そのままでは錆びるのでペイント、最初はターンテーブルマットと同じ赤系統のエンジにしようかと思ったが、目立つ色は冒険なので黒でペイントした。むき出しの部分はべたつかないシリコンスプレーで防錆。振動は鋳鉄に吸収されて熱に変わる、産業用は全体を削って仕上げていないので加工面以外はザラザラ、放熱により温度上昇を抑えられるという優れもの。って、そんなに熱は出ない、むしろオーディオ的には空気中の振動を受けやすいか?w ま、低予算で済ませたが色塗りが終わってみるとそれなりにカッコイイ。

 スチールボールはそのまま使う。光らせる事も可能だろうが充分に滑らかな表面だと思う。

 ネジは穴あけ。バリを軽くとってサンドペーパーで仕上げる。

 

 これで接触は受けの球面とボールの球面で点接触、ボールト穴の周囲で線接触。数学的には面積「ゼロ」なので振動は伝わらない。実際にはゼロはあり得ないけど、ま、スパイク同様でしょう。

 ココで球面にしたのはふとした思い付きからで足受けのくぼみにダンピングオイルを入れれば制振をいじれる(ほんとか?)。それと、個人的には尖った足というのがあまり好きじゃない、設置時にうっかりして受けから外れると床やラックの板に傷が付く、そうすると気分的に音が悪くなる!

 オイルの粘性を利用するなら尖ったスパイクよりもボールの方が効果を得やすい。以前スパイクの良さが解からなくて、解からないなりに調べて、「スパイクは動かないのではなく良く動いておさまりが早い」という認識でいる。

 「動かす」前提ならその部分以外は動かしたくない。ネジ山の遊びを無くしたいので薄い「ロックナット」も作っておいた。

 オーディオボード用に使うかも?で、2セット製作。

 そして余っていた工具を加工して「ロックナット回し」も。ネジが回しにくいと弄るのが面倒になる、各部組付けのM5の六角穴付きボルト用のレンチも付属のL型の物でも可能だけど、今回下側から留める取り付けベースでは使いにくかったので適した物を探しておくつもりだ。

 

 マウントベースと支柱。

 この2点は加工は単純なので簡単、大変なのは鏡面仕上げ。

 

 ベースの穴位置は支柱取付穴を1mm程内側にずらした。これは純正では支柱外側が1ミリ程はみ出て取り付けるようになっていて、面取りしてあるので実際にはベースに当たらないとしても見た目に好きではないから。

 ネジ穴内径は純正を測ると5.5mm。木工ならこれくらいだが、金属なら1本留めのネジなら0.2mm程度で充分だと思う。アームベース用に購入した工具のガイド穴径5.2mmに合わせておくことにする。使いにくければ拡大すれば良い。

 材料の横はバンドソーで切ったのだろう、刃物の目が残っているのでこれを馴らす方法を考える。

 フライスかベルトサンダーか?両方持っていない(笑)

 手で荒削りで刃物目を無くしてから、400/800/1200/2000と馴らしてからバフ掛け。ベースのアルミ板は角が尖っているので、純正品同様に面取りをしてから磨く。

 純正は面取りの形状を見るとベルトサンダーで鳴らしてからバフ掛けしているように思う。

 ショート用3個と純正同様のロング兼用1個、磨いて光っていく工程で中々の時間を楽しめたが、まだ、もっと、の状態。

 もっと光を!なオーディオ。

 

 このマウントベースの本体への取付けは、自重の他に支柱、アームベース、アームとカートリッジ、ぶら下がるアームケーブルなどもあるだろう、これらの重量を下側からM5ネジ1本で固定というのは少々細く感じる。が、ネジ自体の強度(規格上の)は組み上げ後にアームベースに体重をかけても破断するような事はない。壊れるとしたらアルミ製の本体のネジ山だね。

 普通には壊れることはないけれど、もしもネジ山が壊れたらヘリサートを入れるかM6に加工し直せは良い。ネジ山修理まで考察すると、、、M5とM6なら変更しても見た目がそれほど大きく変わらない。M6で壊れるとヘリサート加工でM6をキープした方が見た目の印象を換えないで済む。アップサイズでの修理ではM7は一般的ではないのでM8となるだろう、大きくなるためこのプレーヤーでは問題ないけど場合によってはスペースの都合で修理不能だったりもするし見た目も大きく印象が違う。

 脱線して壊した時の修理まで考察すると、必要にして充分なM5の選択には「より安心できる未来」がある。良品バイアスをかけた前向きな幸せ考察。

 

アーム取付ベース左上だけ純正品 支柱は全て製作品 もう少し磨きたい

 

 支柱は3種類、アルミの丸棒から作る。

 こちらも鏡面仕上げは見える部分だけで上下は鏡面ではない。純正品は高さ50mm、径は実測34mmだが2個ある支柱には微妙な誤差はある。
 準備したアルミ丸棒は35mm。

 芯ブレで現役引退してからの余生をウチで過ごしている昭和の旋盤でもこの程度の長さならなんとかいける。

 長さ(高さ)は決めた寸法で切り出すだけだが±1mm程度の誤差は最終的にアーム取付後の調整で吸収できるので気楽。中心での全長は良いとしてブレがあると、「1本の円周上で長さのバラつきが無いか?(アームベースが傾く)」が気になる。純正を測ってみると0.05mm程の違いはあった、まあこれくらいは全然問題ないだろう。自作品もせめて0.1mm以下には収めることに。

 

 旋盤で穴開け鏡面仕上げまで済ませてから希望長さに切り端面を仕上げる。

 純正のネジ穴は貫通している。長く加工して穴あけして複数連続して切り出すのが加工が楽そうだがウチの旋盤で長い穴を問題ない精度で中心に開けることができるかどうか?

 不安なので1個ずつ加工、40mm程度なのでこれなら使用上問題ない。純正のネジは内側全部に切ってあるかと思い竹串で探ってみたが22ミリほどの深さまでしかない。が、ウチで低い物を作る時は全ネジにしてしまおう。

 注意点は芯ブレがあると端面が円錐状に出っ張るので組付け時に外周が当たらなく固定時の当たりが悪くなる事。純正をストレートエッジで確認すると、わずかにすり鉢状になっている。加工時の最後に端面だけ追加工して対応することにする。

 穴あけ、磨き、切断。これを製作する数繰り返すのだが。。。。。

 アルミなので次の加工で使う部分にはチャックで咥えたところに傷がついている。ウチの旋盤の爪は一般的な「硬爪」なので当然といえば当然。

 傷が付かないようにシムを挟んでみたが、磨くときには高速回転させるのでしっかり咥えるとやはり凹む。サイズがあれば「コレクトチャック」、又は「生爪」という専用の爪を作って使うのがおそらく正解なのだが、それに対応する旋盤ではないしチャックを買い替えて、、、、、いくら使うんだ???

 傷が付いた部分は外径を削って次の加工に入る、純正が34mm径程なのも同じ理由かな?

 問題は切断面の仕上げ。既に磨いてある部分を加えるのは嫌なので手持ちの物で出来そうな方法を考察。片側からできる加工をできるだけ進めておいて、反対側の切断面だけの仕上げなら強く咥えなくても出来そうなので咥えるときの簡易な物で磨いた面に傷が付かない様にはできそうだ。

 三分割の爪ガイドを鉄パイプ加工にゴムを貼って製作。切削後に長さのバラつきを確認すると0.1mm以下には充分に収まり精度も問題ない、中々に上手くいった。

 タップを立てて磨けば完成。

 

 純正品の鏡面仕上げはバフ目も目視でほとんど見当たらず丁寧で質が良い。が、見えない部分は仕上げていないしマウントベースでは隠れていた面の輝きが綺麗だが、露出しているところは使用に伴い白っぽく艶が落ちているのが解る。これは全部作ってからコーティングで劣化防止しておこう。

 鏡面仕上げは音質云々ではなく美観の為と判断できるので、深く考察せずに純正同様見えない箇所は鏡面仕上げをしない、疲れるから(笑)

 とはいえ純正よりもだいぶバフが荒い。アームベース製作後にもう一度仕上げバフをやっておこう。

 

 

 バフは終わりがない、プチプチ潰すような無我の境地に落ちてしまうので程々に。

アンプに重量は必要?バブル798比較 TA-F333ESR A-717 SU-V900 SU-V80 A-817EX などなど

 同じ様なアンプなら重い方が良い。

 本当か?

 

 今更、いや、中古でゴロゴロある今だからこの2年ほどの間に色々聴いた。同時試聴しているわけではないので音質の印象は寸評、独断。

 結論から書くと重さは絶対条件ではない。今時は軽いデジタルアンプで音を楽しむ人も多いから当然の結論。けれど、部品がぎっしりで重い(主に電源にお金かかってる)方が「強い」とは思った。中古相場は人気による差があるけど音質には人気程の差が無いと思うから「現状で良い状態の個体」優先だな。

 

 ざっくりとした一応の比較条件を。

 1980年代に入るとモデルチェンジのサイクルも早くサンスイなんて毎年新型になっていたので条件を決めないと対象が多すぎる。出力アップと共にどんどん重くなっていったバブル絶頂期、価格は定価79800円に固定して後継モデルでも値上げして以降の物は対象外とする。

 この798クラスを一気に重量級にした発端、1986年ソニー333ESXの18.6Kg(実測では19Kg以上といううわさ)を最低重量にしてライバル機の中で出来るだけ重たい物を集めてみる。

 1980年ごろでも高級機の片チャンネル8Ω100Wクラスで20Kg超えは多かった、これなら「上級機並みの出力と重量」という事になる。

 D/Aコンバータ内蔵機、ビデオ信号対応、多チャンネル対応機、こういう物は当時は価値ある付加機能だが、今となっては不要なので対象外、コストのすべてを2チャンネルステレオの音に使ったアンプに絞る。

 これくらい条件を絞り込んで、重量を調べてみるとそれほど多くない。

ソニー TA-F333ESR

 

ソニー TA-F333ESR プリメインアンプ 動作確認とメンテナンス - 音遊び~オーディオのブログ

 ソニーではTA-F333ESR(1988年)

 21.2Kg。ソニーは333ESXを突然18Kg超えで発売、その後も重くなっていくがシリーズでも20Kg超えはこのESRから。サイドウッド込みなので実質は20Kgを下回るかもしれないが。次の333ESGも798で20Kg超えだがESGはリモコン付きなので避けておく、高いしね(笑)

 シャシーが重いのであって、中身の部品が詰まっているわけではない。

 後の333モデルにも20Kg超えの物はあるが価格も上がる。

 ESX発売時に試聴した記憶がある。店頭試聴では333と555で音質は大差なく、当時の印象では333=607<555<<<707となって、それ以降情報更新していないので今でもそういうイメージ。

 今回のESRの音の印象も昔と変らずクリアーとかきれいな余韻よりも量感。低音は解像度が高いとかスピード感があるという物ではない。聴きやすく良くまとまっていてベンチマークのL-01Aと同傾向のふくよかな音だが、音粒の細かさや煌びやかさでは価格差が歴然としている。

 

パナソニック SU-V900

 

パナソニック SU-V900 プリメインアンプ 動作確認と音出し - 音遊び~オーディオのブログ

 パナソニック SU-V900(1989年)

 もっとも後発、後出しじゃんけんできる大メーカーの余裕。

 ソニーにチョイ負けの21Kgだがウッドパネルなしなので実質一番重い。シャシーも極一般的なので中身がギッシリ詰まっている。トランスは2個センター配置だし、カバーを開けると798とは思えない。

 前モデルのテクニクスSU-V80の方が出力が大きく軽い。このクラスにパナソニックブランドを浸透させるためのバーゲンプライスだろう。片チャンネル6Ω100w。前モデルよりもオーソドックスな顔つきにしたので見た目にあまり安っぽさは無いが、はめ込みツマミでヴォリューム軸が樹脂だったりと高級という程でもない。SU-Vシリーズの最終型。

 個人的にはSU-V10と同傾向(同じメーカーだからね)大きな不満はないが音がやや暗く余韻も全体に少したりない。が、同レベルの出力で10年で半額以下と思うと偉い!30センチウーファーでも余裕でこれは重さ(というか、電源、だね)のメリットか次のV80よりも重い低音がでる。

 

テクニクス SU-V80 プリメインアンプ 動作確認 - 音遊び~オーディオのブログ

 テクニクス SU-V80(1987年)

 13.5Kgと軽いのだが、たまたまあったので比較用に。

 シングルトランスだが、片チャンネル6Ω120Wと出力はV900よりも大きい。マイコン制御電子セレクタ(こういうの、要らない)でタッチスイッチが安っぽい。

 これは良いぞ!と思った1985年のパワーアンプSE-A100がニュークラスAA、その技術を、、、とあるので中身は実力派。な、はず。期待はした。

 低音の量感はV900に劣るが軽快で心地よい。全体の音の印象はV900よりも明るく中高音の余韻も綺麗ですっきりしている。聴きやすさならこちらかも?

 

新旧対決! パイオニア A-717 VS A-150D プリメインアンプ - 音遊び~オーディオのブログ

 パイオニア A-717(1987年)

 19.6Kg(おしい!(笑))

 前モデルはA-120D(1985年、82000円)14.2Kgなので、一気に重量を増やしている。

つまみ類は皆アルミ削り出しのネジ止め。一番お金かかってると思う。出力も文句なしのトップクラスで8Ω100W、6Ω120Wと8Ω表示もあり、古いアンプとの比較もしやすい。トランスは2個搭載、底板が分厚くペナペナしない程度には重いけど、中身が重たいという意味ではパナソニックと同等だろう。総重量ではパナソニックに負けているけど、ネジ留めのツマミ(って事はシャフトは金属)とか、全体の造りはこちらの方が高級感がある。

 特に低音のキレが凄く、メインシステムのパワーアンプを上回る立ち上がりの良さ。ややドンシャリ傾向。元気な音で、スピード感とキレの良さを重視する好みならこれが一番、ホームシアターで映画を迫力の音量で聴くなら最高だろうな、と思う。

 機能面では「PHONO EQ」というスイッチがあってイコライザー回路の電源を切ってCD再生時のノイズを減らす、、、

 古いパイオニアのA-0012と比べると時代の求める機能も音も変わった事を実感する。

 

オンキョー A-817EX プリメインアンプ - 音遊び~オーディオのブログ

 オンキョー A-817EX(1988年)

 20.3Kg。底面に補強を取り付けてあり、それを外して測った人に拠ると6Kg以上あるので「重量水増し」などといわれている。そのうえ、映像入出力があるので本来は今回の趣旨から外れる。直前の817XXは17.5Kgで、補強材は5Kg程度らしい。

 実質重量14Kg以下という事だが、シングルトランスだし元々これくらいが798アンプの重量。

 つまみはネジ留めで造りも良い。天板が電源と信号系基板で別れていてシールド効果を狙っていて重量以外のこだわりもさぼっていない。

 出力は大きいし、天板から覗くとLEDの赤と緑が光っている等の特徴的な回路を採用しているし、音も良い。流通価格が安いのが可哀そう。

 中高音の透明感はピカイチ、余韻も滑らかで美しい。この点はベンチマークのV10と01Aにも比肩できる。低音は綺麗だが量感少な目、でかいスピーカーで低音をドカドカ出すので無ければ798とは思えない上質な音。

 

 サンスイ607には以外にも18.6Kg超えの該当なし。

 18Kg超えなら、と、思ったが、それも無し。87年のα607iの16Kgが最重だった。以降の型なら18Kg超えもあるが価格が798ではなくなるので対象外。

 607は馬鹿売れしていてこのクラスのベンチマーク、重たいイメージだったが案外と軽量。707なら80年代後半には20Kg超えになる。サンスイは607と707の音の差が大きいので、新型が出たら旧型の707を値引きしてもらって(人気が有るので旧型もすぐに無くなるけど)買うのがお買い得だった。

 私の「サンスイはズシリと重いアンプ」のイメージは707の物だったんだなぁ。

 

 今回聴いた物はどれも楽しかった。

 アンプにも音の差があり、それが楽しかったがこのクラスになると「こりゃダメだ」という物はない。最もハズレのない機材だと再認識。

 

 当たりの中から好みの大当たりを探す、だね。

 

 

 ベンチマークにした参考機種を3機種。

 音のリファレンスには傾向の違う2機種。

 そして機能面で1機種。

 古いけどどれもプリメインアンプとしては魅力があると思っている。

 

 1979年、疑似A級の名機。

 SU-V10。疑似A級採用で始まるテクニクスVシリーズの最初の高級機、仮面ライダーに例えるなら始祖にして最強、不滅の1号。私的プリメインランキングの一方の雄。

 198000円、23Kg、120Wクラス。価格では798よりもかなり格上、機能も見た目もオーソドックスなアンプ。10年近い歳月を経て「安くて重くて良い」物になっているのかを検証するには良い比較対象でしょう。機能も構成も良く出来た、悪く言えば特徴のない逸品。

KA-9300故障、SU-V10 ふたたび - 音遊び~オーディオのブログ

 

 同じく1979年

 ケンウッドL-01A。私的プリメインランキングのもう一方の雄、価格は27万円。電源と電子系がセパレート(ある意味セパレートアンプ)と先進的で重量は両方合わせて27Kg、1Kg1万円。これも明かに格上だが100Wクラスなので比較対象にしてみた。見た目も操作系も一癖ある、音はふんわり系の凄くいいヤツ。

トリオ/ケンウッド L-01A 点検修理 - 音遊び~オーディオのブログ

 

 1977年頃の機種かな、パイオニアA-0012

 今回のバブル期のアンプはどれもMCカートリッジ対応だったが、MMカートリッジの負荷は変えられない。古いカートリッジで遊ぶならこれくらい古いアンプの方が充実している。音質もこの時代のトップクラス、過去の音も楽しませてくれる余裕ある高級機。

 価格は190000円、重量24.7Kg、120Wクラス。

パイオニア プリメインアンプA-0012 点検/修理 - 音遊び~オーディオのブログ

パナソニック SU-V900 プリメインアンプ 動作確認と音出し

 パナソニック SU-V900。1989年、79800円、21Kg。

 パナソニックブランドの始まりの頃のアンプで、テクニクスとブランドを使い分けしてるけど、それぞれの機種が狙う購買層ごとにラインナップしていて住み分けは曖昧、特に中級クラスは機種も価格もオーバーラップし複雑。

 

 このSU-V900は激戦価格帯に大メーカーならではの後出しジャンケンで投入した、新ブランドを印象付けるための採算度外視お買い得モデルと感じる。

 

SU-V900 パナソニック

 カバーを外してレイアウトを見ると整然とギッシリ詰まっている。

 フラッグシップ(?)の上位機種SU-MA10にはDAコンバーター内蔵で価格差約3万円だが今となっては中古市場価格でそれほどの差は無い。

 DAコンバーターは要らない、フェイスパネルはシャンパンゴールドで当時の高級機っぽいMA10も良いけど、オーソドックスなブラックフェイスのV900も悪くない。トランスは双方OFC巻き線だが容量の少ないV900の方がカバーはカッコいいw。仕様を見る限りパワーアンプ部分は同じっぽいので、個人的には筐体内にデジタル回路の入っていないV900の方が好み。

 

SU-V900 清掃後

 まずは各機能の確認、酷いガリは無いが、MM/MC切り替えのMC側は位置ずれがあり、操作時に強く回し切ると接触不良が出る。他、動作に問題なし。DC漏れもない。

 天板を掃除の為に開けてみると、中は案外と綺麗な状態でエアーで埃を払っただけ。

 整然とレイアウトされた部品は高級機のそれのようで手慣れた印象。

 MM/MC切り替えを直そうと確認したらスイッチのシャフトが樹脂で、これがねじれて少し変形しているのが原因、この頃からのテクニクス/パナソニックはこういう部品のコストダウン?が今後の誇張の原因かも?互換性のある金属シャフトの物が見つかれば交換するのが大正解、とは思うけど、案外ないんだろうねぇ。

 

 音はベンチマークのひとつであるテクニクスのSU-V10に比べて音粒が少し荒く感じやや鈍く音が暗いところが有る印象だが良く似たバランスの良い音だ。

 低音の解像度と駆動力はこちらの方が上か?中音域の余韻や艶はやや少なく、個人的にはじっくり聞く音が多いのでV10の方が好みだが最近のテンポの早い音源を聴くならこれくらい音の消えが早いのも良い。高域は自然、もう少し煌びやかさが欲しいと感じたのは寸前まで使っていたアンプとの比較のせいもある。

 癖の無い音でスピーカーを選ぶこともなさそうだしパワーも充分、普段使いのアンプとしては申し分ない。

 

 

 良く出来てると、愛着は湧きにくいか?

レコードの為のオーディオラック WAKATUKI ちょいメンテ

 オーディオ○○好き。の○○の中にはアンプとかスピーカーとかCDプレーヤーとか色々入る、私の場合はそこにラックも入る。

 

 今まで使って良かったと思うのはSONYの1970年代のヤツ(機材入替しないなら一番好き)、WAKATUKI(見た目が好み、弱点はある)、次点でHAMILeX質実剛健の良品)

 TAOCのオーディオボード(古いヤツ)は好き、ラックも使ってみたいと何度も検討はするけど4本パイプ柱とスパイク?はアナログ回帰して重量級機材が増えた今では躊躇する。後で書くけどぐらつきが同じようならWAKATUKIのままで良いかな。

 私は機材の入れ替えが多いので棚板高さ設定は楽にしておきたい。パイプ交換式は分解しないとできないのが面倒だしオプションで柱買うのもお金かかる、古いモデルでは製廃しているだろうし、更には供給されている物でも柱の色が選べないとの情報もあった。予算を気にする私向けじゃない高級品だ、と、検討するたびに分不相応と思ってしまう。他にもパイプのラックが海外製など色々あるけど、同様に選べない。

 

 学生時代は機材にお金かけて高級ラックは買わなかった。でも機能は求めるので当時(たぶん)多かった重量ブロックと21mm合板に色を塗って。

 畳の部屋にこれを置いていた。カッコ悪いけど懐かしいなぁ(遠い目)

 

 ラックの予算も少しはとる今では(今でも中古しかw)カッコ良いラックにも目がいった。

 スパイク3本足のヤツとかガラス板のヤツとか、サブシステムには今時のお洒落ラックも使った。が、レコードプレーヤーをサブでも使い始めたらアンプを触るだけで音を拾ってしまうので入れ替えていく。CDでは気にならなかったけど。

 安いレコードプレーヤーと古い重いアンプが原因な訳で、まともなプレーヤーを使って軽量な今時アンプを使えば、、、ラックの為の機材にするのは本末転倒、そもそもガレージにオシャレラックは似合わない(笑)

 見た目云々なリスニングスペースではないけどメインシステムでWAKATUKI使い始めてからは統一感もあるので徐々にWAKATUKIが増えている。

 

 WAKATUKI以外ではこれは良いぞ、と思っているのでソニーネタ。

 第2期アナログレコードプレーヤー使い初めの頃に使ったソニーは今も大事にしている。ガラス扉(スモーク)付き、重厚感ある濃いめのウッドで天板と底板正面にアクセントで少し明るめの木目でツートーンカラー、、、

 ガレージには場違いなので今は事務所内で本棚兼用として使っている。

 これに使っている木が好きなのだ、爪で弾くと固くやや重みのある「コッ」と澄んだ音色で響き少なく音消えが早い、良い音である、なんとなく伝わるだろうか?

 この音が出るって事は良質なオーディオ機器、いや、こういうのは楽器か(笑)

 横板は薄く華奢にも見えるけど強度は充分、それがそれ自体の硬さで勝負できる天然木、贅沢だよ、これは。。。

 中古購入時にはネット上に情報があったのだが今は見つからない。うろ覚えだがアフリカ?の広葉樹だった記憶で身近では樫の木みたいな物。もしかすると象牙の様に今では国際的に取引禁止なので、ネット上の情報さえも消えてしまったのか???

 ネットで見つかったソニーのラックカタログでは1974年はもっと古い雰囲気、1979年は似たような雰囲気だが側板が分厚いデザインに変わっている。エスプリブランドの始まりが1978年、スリムで高級な機材との統一感も感じられるが1年だけしか売られていないのか?強度不足で仕様変更したとは思えないので材の安定供給が無理だとか高い価格設定のせいで売れなかったんじゃないかと推測。

 ヤフーオークションでも同じものは全然みなくなった、このブログを書きながらオークションを見てみたが最近の落札相場の履歴には出てこない。きっとどこかで大事に使われているんだと思う。

 ラックをネタにするとは思っていなかったので写真無し、仕様が気になってきたのでそのうち探してみよう。機材の仕様探しよりも難題かな?

 宿題を作ってしまうオーディオブログ。

 

 ココでやっと今回の本題。

 

 Solid Machineの導入に合わせてシステムレイアウト大変更を企んでいる。

 新品ラックを自由に買える訳ではないのでいくつか選択肢を用意、その中のひとつを見つけて購入。

 WAKATUKIのNW-8010という比較的流通の多いモデルで、オープンタイプ、1列、天板含め5段。今回は珍しく(たぶんオプション)のキャスター付き、下の方に小傷有。

 が、このモデルの弱点を指摘しておくとNW-8040等の2列タイプに比べるとごつい見た目の割に横方向の力には歪み(揺れ)が大きいと思う。見た目に同様な剛性感だが裏板が縦だけで小さい事が原因。柱は前後方向への長方形で棚板は凝った金具でロックできるので組み立てれば前後方向はOKなのだが。

 横剛性は外板と2列の中板が非分解で裏板も一部あるソニーや、横板が分厚い1枚で出来ていて裏板もあるHAMILeXには劣るけれど、機材の入れ替え時に横から手を入れて配線をいじれるなど使いやすさは優れる。見た目は気に入っているし、機材入れ替えの多い私にはメリットの方が多いかな。

 木工用ボンドたっぷりつけて柱を組めば良さそうだが、「分解すればコンパクトに輸送できる」というメリットも考慮すると非分解にするのは勇気が必要。

 裏板とかX金具とか、脱着できる補強の追加、考えてみるか。宿題、増えたなw

 

 運び込んだら即メンテナンス、こんなデカくて重い物をこまめに動かすつもりは無いから一度設置したら絶対やらない自信がある(笑)

 全体的にはこれまで入手した中でも1,2を争う綺麗な状態なので小傷が残念。

 けれど「キャスター付けてゴロゴロ動かすからどこかにぶつけるんだよ!」と前の持ち主に怒ったりはしない。オーディオ冬の時代にこんな立派な物を買って綺麗に使って私に回してくれた先輩!ありがとう!

 ついでに。重たいので動かし易いように棚板を外そうとしたらダボが緩んで出っ張っているのでロックが引っかかって外れない。仕方ないので横柱緩めて、、、ココの固定ネジもいくつかがユルユル。これは決して組み立てた人の手抜きではなく運搬中に緩んだに違いない!全部同じように緩んでないのは運搬中の振動の分布が均一でない私の車のせいに違いない!

WAKATUKIのラックのキズ補修

 木目シートの剥がれには割り箸を薄く削ってできるだけ奥まで木工用ボンドを入れてからテープで固定。ぶつけて膨らんでいるところはテープ固定前に当て布をしてハンマーで慎重に叩いてできるだけ平らに。欠けているところはパテ(最近のは性能良い)で補修。キャスターはもちろん外す。

 乾燥後にはみ出たボンドやパテを良くキレるカッターナイフで丁寧に成形し、傷の大きさによりオイルステインや家具用タッチアップペイントで色を入れて目立たなく補修。

 

 WAKATUKIのこのシリーズは下の袴部分と上の棚板で木目の濃さが違うので、タッチアップペイントは2色用意して調色しできるだけ近い色に、赤味や黒味は中々合わないものだけど色の濃さ(暗さ)を合わせると普段使いで気にならない程度にはできる。

 それとやり過ぎない事かな。昔小さ目のスピーカーでやった(やってみたかった)けど分解して下地を整えて木目シートを張り替えれば新品みたいな状態にまでできる。労力に見合うかどうかは個人差あり(笑)私はもう二度とやらん。

 気にならない程度に傷が目立たなければ良しとする。

 

 WAKATUKIの補修をするたびに思うのだが重たい。パーティクルボードの密度が高い。突板やシートの貼られていない天面の木口で判断する限り「高密度パーティクルボード」を宣伝文句に使っているテクニクスのスピーカーよりも明らかに密度が高い。

 最近はMDF使う物が増えてるけど水濡れに極端に弱いし軽くて好みじゃない、合板やパーティクルボードの方が好きなんだよねぇ。既に若月製作所が無いのがとても残念。残ってるものを大切にしよう。

 

 いきなりラック見つけていじってるから、カートリッジの比較試聴もプレーヤーの部品造りも進まない。なんだかやる事間違ってるような気がしたので、ながら聴きなのに贅沢にメインシステムでCDかけてやったぜ!

 音のための作業で音に集中できなくなるオーディオ(笑)

 

 補修が終わったら全体を綺麗に拭いて導入準備完了。

 補修が終わっても使うのはまだ先、ガレージ床に置くための台座も作り直さないと!

 

パイオニア PD-T07HSLimited CDプレーヤー PD-Tシリーズとレガートリンクの仲間たち

 CD信号面を上にしてターンテーブルに乗せるのが特徴のシリーズ。後期のモデルからはレガートリンクも特徴、このシリーズは複数を長らく愛用していた。

 

 中古で安価だったT04の音に可能性を感じて、T05、T06、T07A、T07HSLimited と使って、T07HSLLimitedは複数所有し長い事楽しんだ。孤高の最高級機09には至らず、残念。

 

 価格だけでなく時代で音質は違うので好みもあるからこれが一番というものでもないけど、個人的にシリーズ最終モデルのPD-T07HSLimited(1996年、22万円、限定2700台、限定感は少なめw)最高。この最終モデルはバランス接続が無く、ほとんどの機材をRCAで使う私には良かったけど、バランス接続でやっていたらひとつ前のT07Sの方が最高かも?

 レーザーディスクで光ディスクの技術があったパイオニアはCD初期から存在感を示していて、PD-Tシリーズ以前のモデルのファンも多い。私は当時学生でCD専用に高級機を買う事は出来ず、映像への興味もあってパイオニアのデカくて重い複合機でCDを聴いていた。

 

イオニア PD-T07HSLimited

 

 まず蘊蓄。レガートリンクってなによ?

 

 CDは規格で20Hz-20KHzの録音再生帯域で、これは当時規格を決めた人たちが人間の可聴帯域をこれで充分カバーできるとして決めた物。ちなみに録音時間が74分とアナログレコードLP両面よりも少し長いのはカラヤンの意見でベートーヴェン交響曲第九を途切れなく聴くためといわれているけど、実際の演奏では60分台らしい。

 もう一回り小さく10Cmでは当時は無理だったんだろうな。11Cmでなんとかいけるけど、12って数字は1ダース、ヤードポンド規格の国では分母、なじみが良い、これでいこう!(妄想です)

 製造工程の不良率下げるために余裕もって74分、後に同じ大きさのままで少しデータ密度上げて80分。

 

 商品化するには「規格」は大切でシンプルな規格(曖昧でもある、後付けでドルビー付けて録音しても古い機械で周波数特性はともかく音はでる)のカセットテープは世界を席巻したが、民生用ビデオテープでは規格が乱立しユーザー側は混乱する。

 V2000「でかいけど高規格、PALに対応できる画質の良さ、カセット規格制定の雄フィリップスらしくひっくり返して使える、個人的にはこれが世界標準になれば良かったと思う」

 ベータ「VHSより高規格でテープも小さいが製造技術はより高度で当時発展途上国のメーカーが採用を躊躇した」

 VHS「ベータの一年遅れで発売、技術力に劣る発展途上国メーカーも巻き込み一大勢力に」

 当初はベータがリードしたが巨大なアメリカ市場に「安く」売るには簡単に作れる方が良い。最も「造りやすい」VHSが安価なため、ダビングエロソフトによって普及競争に打ち勝つ。パソコンもインターネットでエロ画像見放題というのが爆発的普及の理由の一つだし、エロは侮りがたい。

 8mmビデオで規格統一され、デジタルビデオとなり、メモリー記憶容量が増えて

テープはいらなくなり現在に至る。

 

 大きく脱線した。規格絡みはソニーのネタで書くべきだったな。

 

 この「ビデオテープ負け組」のソニーとフィリップスが組んで「カセットのようなみんなで楽しめる物を!」でデジタル音源を規格制定したのがCD。フィリップスだけでも良さそうだけど大きさで失敗した経験から、カセットで活躍しウォークマンで既に知名度は「世界のソニー」の小型軽量化の「技術の目」は必要だったろう。

 レーザーピックアップで信号面を読む技術はパイオニアレーザーディスクで既に市場に出ていてそちらがアナログ信号であることを考えるとデジタル信号の方が読み込み自体は楽だろう、後は信号の規格を決めるだけ。読み込みエラーが半分くらいあっても強力な誤り訂正回路で補完して音が出るらしい。当時考えうる最高のものが出来た。

 規格が決まれば仲間を増やして作って売ればみんなハッピー。あまりにも普及したので、MDと違い今でもハードウェアがあるしSACDなどどいう上位規格が出来たり、広い意味ではDVDは映像対応派生規格ともいえる、こちらは高画質版(ブルーレイ)で少し規格割れが出たものの、12センチの光ディスクはなんやかやで音声映像共に生き残っている。

 

 発売後、短期間にその良さは周知される。低音の再生はアナログレコードの比ではないし、針がゴミを拾うパチパチ音は無く、カセットテープよりも広帯域、S/Nも良い、選曲も簡単。振動にも案外と強く、舗装路を走る車でも使える。「小ささ」ではソニーディスクマンウォークマンユーザー層を取り込むし、オーディオ好きにもシステム内にあるのが当然のメディアとなる。量産、価格低下、普及、更に価格低下、ドンドンン普及。。。

 

 で、ひとしきり普及して色々と試した頃にうるさい人が言い出すわけだ。

 アナログの方が良い。と。

 規格で捨てたところにはパイプオルガンの重低音がある、倍音成分がある、と。

 私も現実はともかくアナログレコードの規格は周波数制限が無いので精度がどんどん上がっていけば無限の可能性がある、とは考える。ディスクの材質や針の精度やアーム等々、現在の最高の技術で作れば100KHzくらいいけるんじゃね?いってどうする?

 

 このCDでは出てこない可聴帯域外の音成分を可聴帯域の音から「合成」して足してやる、というのがレガートリンク。面白いな、と思った。

**********************************************************************************************

2024.03.29 追記

レガートの意味:(legato) 演奏用語。音と音との間を切れ目なくなめらかにつなげて演奏すること

 録音信号波形は、デジタルは細切れ、アナログは連続。上手いネーミングだと思う

**********************************************************************************************

 

 当時CDプレーヤーをとっかえひっかえしていて、安いPD-T04の音はショボいけど耳に当たる嫌なところが無くふくよかさがあるな、と、ソニーナカミチにはない良さを感じた。そしてどんどん上位モデルに手を出し、07HSLimitedに行きつく。

 当時はCDプレーヤーはそろそろ終わりの時代、CD専用機は売れ筋ではなくマイナーチェンジは04→04Sと07→07A→07S→07HSLimitedと全モデルがアップデートされていない、Limitedが限定なのも、案外と高級機需要があるから作って売ってきたけど、初期モデルデビューから6年、いくら何でも引っ張り過ぎ、実質「我が社の最後の高級CDプレーヤーだよ」ってのが現実だろう、買う方も解って買うし、テクニクスなんてもっと前から高級機は受注生産だった。

 

 この合成して作った音を追加して「良い音」を作り出す方式は世代を重ねるごとに、より洗練されて自然に感じるのでもう少し後の時代のDVD対応のターンテーブル方式でない高級機でも少々劣る部分もあるけどこれでいいな、と思えてしまう。

 パイオニアでは07HSLimited同様のレガートリンクSがDVDプレーヤーでも採用されていて、CDのオマケで付いてくる今では絶滅規格のCD-Vや最近ならオマケDVDなどの音楽を聴くためにパイオニアのDVDプレーヤーDV-S9(1997年、定価19万円)も使っていた。ターンテーブル方式じゃないけど、でかくて重くて高級オーディオ機のような造りだけあってCDプレーヤーとして使っても音が良い、ふわりとした広がりの「わざとらしさ」はPD-T07HSLimitedよりもこちらの方が控えめに感じた。DVDは国や地域ごとにリージョンコードがあり海外版のDVDソフト(エロじゃない、念のためw、映画もアニメも海外版の方が日本よりだいぶ安かった)は認識しないのだが、海外向けモデルと基本的の共通なのでリージョンフリー化はわずかな配線追加で改造する事が可能で改造後に長い事使っていた。

 オーディオ機器とは違ってAV機器で5.1チャンネルが当たり前になった時期には2チャンネルAV機器なんて旧モデルでしかない、でかくて重くて低機能(笑)リージョンフリーでない事も理由なのか中古市場で安価だったのだが、最近ハードオフで見かけたら動作品はだいぶ値上がりしてた。。。

 

イオニア DV-S9 でかくて重くて銅メッキシャシー

 楽しかったな。

 

 アナログ回帰して楽しんでいる今では「CDの音がつまらない」と言われ始めた頃のパイオニアなりの回答だと思っている。

 1990年頃にアナログの音源をCDにした物を楽しむには良いけれど、CDの時代の音が熟成されてきた音源だと、余韻がわざとらしくもある。CD専用機としては徐々に別のモデルを使うことが多くなり、今ではPD-Tシリーズは皆手放してしまった。

 

 サブシステムで今も使っているDV-AX5Avi(2005年20万円)ではレガートPROとなっている。

 DV-S9以降複合機はずっとパイオニアなのだが、レガートリンクの採用が無くなったのに改めてレガートPROとして復活し、DV-AX5AviではOFFもできるしモードも選べる。音質の良いCDならばOFFが良いけど、古いCDでは上手く使えばより楽しいし、映像付きの場合はそちらに合わせて選べるので便利。SACD対応のCD専用機でも同様の物の様だ、ちょっと気になる。

 デジタルエフェクトならば過去のレガートリンクとは回路は違うと思うけど、音をいじるという広い意味では同じだし、CD専用機最後の世代として今も人気が有るPD-Tシリーズでのイメージを上手に利用しようという事だろう。

 実際に使ってみると、正直なところPD-T07HSLimitedほどの音粒が細かい余韻という良さはない(確かアナログ回路にA級アンプ採用とか、やり過ぎ感たっぷりだったはず)が、音場を広げる(ぼやけさせる、ともいう)効果が選べるというのは所詮エフェクトと考えると便利な方が良い。そして「OFF」時の音がすっきりと解像度も高く不満はない、不人気で売れなかった高級機だがCDプレーヤーとしての基本性能は価格なりにきちんとしていると思う。

 

 

 次のマルチメディアプレーヤーもレガートPRO搭載機かな?

パイオニア PL-1200 PL-1250 PL-1800 ダイレクトドライブ黎明期のレコードプレーヤー

 表題の時期のパイオニアのレコードプレーヤーは「音が良い」イメージだ。

 

 カートリッジによるところも大きいのだがキャビネットがしっかりしている。

 

 パイオニアのプレーヤーでは元々ベルトドライブ時代のPL-25Eを安価に入手し、トーンアーム交換できるように改造して遊んでいた。マイクロのMA-101(MR-611用の相当品)やビクターのJL-B44用のアームにソコソコ良いカートリッジを付けると、元々の古く小さなレコードプレーヤーとは段違いに良い音が出たのだが、オーディオクラフトAC-3000MCを付けてみたら全然生かせず、、、、流石にキャビネット役不足です。

 面白かったから良いけど(笑)

イオニア PL-25E トーンアーム換装品

 

 PL-25E改で2年ほど遊んだろうか。同時期の上位機種、PL-1200をカートリッジ欲しさに買ったら軽整備で使えたので使ってみると音が案外と良い。

 次にPL-1250を買ってきたらこれはもっと音が良く、、、、、

 どちらもモーターは「普通に」良く出来た物だが、某メーカー製のFGサーボ機よりも使い勝手は良く33.3、45のそれぞれの回転の微調整がある。一度設置して調整すればLP/EPを替えた時も神経質に回転調整する必要はない、ストロボもあるので気になったら触る程度。トーンアームは極普通だが過不足ないし、何よりキャビネットが重く爪で弾いても打音が響かない。1250はマットも良い。

 弱点はインサイドフォースキャンセラーが破損している物が多い。

 完動品ならばPL-1200/1250の2機種も今では中古市場で中々に高値になり、それにつられてかジャンクでも案外と高価になっている。

 

 PL-1800(1976年、カートリッジレスで9万円)は美しいピアノブラックのキャビネットに魅かれて使ってみた。単品で販売しているモーターとアームをオリジナルキャビネットに収めた高級機で、この時期の完成品プレーヤーの中では一二を争う好きなデザイン。

 

イオニア PL-1800 ピアノブラックが素敵

 が、入手してみると、仕様が尖っているのでつぶしが効かない。

 アームが軽量ハイコンプライアンス向けでカートリッジが合えば価格以上に良い音がするが、適合範囲が狭い。比較的軽針圧の物中心に色々試したがグレースF8Eやテクニクス205C2など使いやすいMMでは標準以上ではなく、MCでは相性が良いと思えるものは無かった。オルトフォンのVMS20MK2やADCのXLM等IM系では綺麗な音が出る。

 指定針圧の低いもの以外は今一つだったが針圧だけでなくカーボンパイプとのマッチングもあるようで、スピーカーでもカーボン振動版は好きでないのだが、私はカーボンとの相性が悪いのだろうか?

 一度音を決めて、そのまま使えば良いのだがカートリッジをとっかえひっかえしてサブシステムで遊ぶには適さない為手放してしまった。

 

 PL-1250/1800ではブチルゴムのターンテーブルマットが秀逸で音がやかましくない。この材質のマットはJP-501/701として単品販売もされ、マットで音が変わるという楽しみの始まりだろう。

 その後の時代にはカチッとした音のゴム質がより硬質な物が使われるが、この柔らかいマットの音の魅力も色褪せていない、私は今でも同様の物を愛用して気分で交換している。

 

 これ以降のクォーツロックDD時代ではエクスクルーシブ、、、は買えないけどPL-70は欲しかったなぁ。当時買ったプレーヤーの対抗馬のひとつでした。

 

 

 フルオート機のPL-380Aは今もお気に入りだし、オートリフトアップ付きのPL-50Lをサブシステムにどうかな?