音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

ADC XLM ZLM MC1.5 カートリッジの話 その18

 ADCはアメリカの老舗だけど、日本での知名度は低いのではないか?

 

 アメリカのカートリッジといえばシュアーだろう。次にエムパイアかな?スタントン/ピッカリングよりも多分ADCの方が知名度が低い。古くはMM型だったが、IM型へ転向、たぶんシュアーの特許が絡んでいる。初期のMM型はイギリスのDECCAと並んで骨董品的に扱われ、「古き良き」にはこたえられない存在らしい。

 でも、今でも一時期のハイコンプライアンスの物ではないがカートリッジを売っていて、古いモデルに一応使える針供給もしていたような?

 どういう会社なのかは詳しくない、小さなメーカーでカートリッジ専業なんだろうか?別の物が主力製品になっていて、今でも需要があるからカートリッジの販売も続けているという事だろうか?

 

 私が使っているのは日本で比較的見かける事の多いXLM。70年代に入ってからデビューし90年ごろまで改良しながらⅠ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳと続いたADCの定番だが、アームは選ぶハイコンプライアンス

 柔らかな印象の音でヴォーカルが綺麗で艶っぽいので気に入っている。仕様では特性はフラットだが聴感では帯域バランスはややカマボコ、音粒は細かいのだが解像度を押し出すタイプではなく柔らかで綺麗な音、高音が変に主張することもない。

 Ⅱ、Ⅱインプルーブド、Ⅲと使ったが基本が同じモデルなので音色は同傾向。Ⅲになると余韻が増しワイドレンジに聴こえる。けれど、個体差かもしれない。

 軽針圧だが動きの良いアームを使うと音飛びに強く、サブシステムの古いプレーヤーでは音が飛ぶ反ったレコードをメインシステムのハイコンプライアンス用アームではフワフワと上下にアームが動きながら再生してしまう。

 ハイコンプライアンスゆえにダンパーがヘタっている物が多いので、中古は要注意。社外針ではこの音は出ないと思う、でるかな?

 今ヤフオクを見たら社外接合針(多分丸針)の物か針折れジャンクばかり、オリジナル針らしきものは1点だけだった。

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XLM2Improved

 

 ZLM

 音は上級機の音でさすが。今のアームでも良いけど、生かし切れていないと思っているので、別のアームを使い始めたら色々と試そう。

 これはできれば専用アームともいうべきLMF-1で聴いてみたい、けれどアームは中古で見たことが無いので無理だろうと思っている。

 

 MC/1.5

 1981年発売、知っている限りADCのMC型はこれしかない。出力0.9㎷と高出力MCの部類で、既存のユーザーにも使ってもらえるよう配慮したのかな。なんで1.5なんて半端な型番なんだろうと思う(笑)

 針交換用なのだろう、バルク品らしき新品が2000年以降に放出されたようで、一時期出回った。最近のMCカートリッジと直接比較すると、チタンカンチレバーに無垢ダイヤ楕円針、スペックでは安物ではない物が当時の定価以下なのでとてもお買い得だった。自重が軽く軽針圧で最近の物とは違うタイプだが、だからこその音もある。

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MC1.5

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MC/1.5の針 綺麗な角柱無垢ダイヤ

 

 アンプのMMポジションで聴く聴感ではややカマボコ型の特性、高音域は綺麗な音だがエネルギー感は少なく、ワイドレンジで高音が伸びやかというタイプではない。ヴォーカルはクリアーで程よい余韻、厚みも適度にあり上質だと思う、変に刺激的な音が無いので使いやすい。IM型のXLMよりは少し硬質。アームは軽量で動きの良い物を使わないと魅力は半減すると思う。

 最適負荷抵抗100Ωとなっていてインピーダンスマッチング用にトランスがあったはずだが中古市場では見かけない。FRの昇圧トランスに100Ωポジションがあるので通すと帯域バランスがフラットに近づいて感じるが、音の鮮度はやや落ちる。ケーブル等変えて使い込めば良さそうにも思うが、イコライザーアンプのS/Nが良くなった80年代以降の物ならトランスを入れない方が魅力的な音。

 

 

 ADCの音はアメリカのカートリッジで一番好きだ。

 

 忘備録

 交換針は

 RXL XLMⅡ/ⅡImproved用

 RSX XLMⅢ用

 RSQ XLMⅢImproved用

 RSZ ZLM用

 見つけたら買っておきたい。