エッジ交換する際の適否を書いておこう、依頼を受けたときに個別に説明するのでなくココのコピペで済む(笑)
1980年頃までの物は大体直せると思う、最近は1990年代の物も修理するけれど、構造にも拠るがエッジ交換してそれなりの音を取り戻せるのはこのあたりの年式が限界なんじゃないか?
古くからオンキョーはウレタンだが、1970年代でも高級機には2層構造の物を使っていて、小音量時の動きの良さを持ちつつ大音量時の暴れが出にくい(個人的解釈、メーカーの蘊蓄はカタログ見るのが面倒なので割愛)という特殊なものだ。
最近の薄く軽量で触ると弾力のあるウレタンエッジならばオリジナルに遜色ないと思う。が、オリジナルの完全動作品は現存しないから直接比較はできない、私の記憶の中の音との比較では特に劣化を感じない、という事で。
パイオニア、JBL、エレクトロボイス、この辺りは私が張り替えた物は特殊な形状ではなく特に懸念はない、劣化していたら張り替えて使った方がボイスコイルをダメにする心配なく音量を上げられて安心。張替えるのが当たり前、主なモデルには適合するエッジが用意されているので部品調達の苦労もない。
概ね手作業でエッジを張っていたユニットは交換は容易だと思っていい。
こうして書いていくと、古いスピーカーは直しやすくて音質の変化も少なくて良い、結果として長く楽しめるようにできている。JBLの30センチクラスなども家庭用機は1990年ごろまではウレタンだった、単純な形状なので簡単に張り替えられる。
1990年頃からはエッジに歪みが出ないようにエッジの外側のフレームに接着する部分に紙のリングが予め張り付けてあるようだ。製造工程ではコーン紙に張る時も変形しにくいし作業性は良いと思う。フレームに貼るのももちろん作業性は良い。
この時期のものだと、紙のリングを剥がしてしまうとエッジとコーン紙の高さに違いが出るので、フレームの化粧リングを付けたときに内側に隙間が見えたりする。
場合によってはコーン紙を押し込む方向に常に力がかかるので、エッジの形状が綺麗でなくなったりもする。こうなると音に大差はなくとも美観が悪い。
よく見なければわからないが、一度見てしまったら気になる。私は子細に観察して残せるものはできるだけ残すようにしている。
それと新しめの高級機はセンター出しがシビアになると思っている。16-20センチクラスでの比較だが、古い物の方がクリアランスが広いのだろう、新しい物の方がボイスコイルが干渉しない位置を出す難易度が高いと感じる。
多くの場合は元がラバーでもウレタンに変えた方がユニットの求める条件に合わせやすい。どういう意図で元がゴムエッジなのかを考慮すれば失敗しない。
単純な形状のゴムエッジの物は最近では家庭用でも多いようで、低能率だけれど特性をよりフラットにでき低音を出しやすい。しかし、あまり低能率のスピーカーを好きではない私の場合は高級感は感じない、小さなサイズで無理してるな、と。
PA用スピーカーは音量が小さいと動きが重くぼやけた音だけれど、大きな音になると良い音に聴こえる。これを小さく能率の低いスピーカーを使って家庭用としてやっているという事だと思う。
メーカーが使うエッジは材質が何であれ理由がある。それはコストだったり耐久性だったりだけれど、高級機の場合は音質も吟味しているだろう。
1990年ごろから増えた小型高級機のラバーエッジはよく見るとそれ以前のラバーエッジとは違っている物も多いようで要注意。
過去に修理した物を例にラバーエッジを考察してみる。
テクニクスのSB-MX100Dの物。
エッジ云々以前にユニットを取り外すのが大変で、これ以上面倒なものは修理したくない。私は分解したので「修理可能」だったけれど、オーディオ仲間に工程を説明したら「それは普通は修理不可能」といわれた(笑)
エッジの話でした、単純な形状のロールエッジではなくコーン紙側の角度が急で外側に向かってなだらかなカーブだ。SB-MX30も同様。市販のモテッとした一般的なラバーエッジよりも薄い。
しかし、SB-MX70、SB-MX200Dは通常のロールエッジで、材質は布にラバーコートの様だ。
MX200Dは3ウェイでもっと大きいウーファーなので低音だけ受け持てばいい。MX70も軽快で良い音だと思うが音の質感はMX200Dのようなものはない。
MX100Dでは小径で低音を出す為にコーン紙が重いが、中音域を犠牲にはできないので小振幅しやすいようにこんな形状にしたのかもしれない、MX70の軽快感はないがMX200Dに遜色ない中音の煌びやかさがあり、音量をあげると低音もこの大きさとは思えない出方をする。
MX30のエッジはなぜかな?単純なウレタンエッジでも良いように思うが、ユニットは安いがそれなりの音をエッジに求めた???実際、案外と良い音だった。
MX100Dでは、以前張り替えた市販ラバーエッジでは繊細な音が出なかった、これは形状よりも動きの悪さが原因だと思う。仕方なく再度ウレタンに張り替えると繊細な音が出るがボリュームを上げると低音がやや暴れる感じがする。ユニットは外さず(大変なので)上向きにしてロール部分にラバーコートで解決、重低音以外はMX200Dに肉薄する。
それ以降、ゴムエッジは使っていない、貼る前にエッジに予めラバーコートして使っている。最近ではシリコーンの薄く軽量なエッジがあるようだけれど、柔らかすぎるとウレタンエッジとは違ってどうにもならないだろうから避けている。
オンキョーのウーファーについていたリバースタイプのラバーエッジなのだが、これも単純でない。平らな形状の物を張るとコーン紙側の耳が下に引っ張られるのでRが緩くなり外側の方がRがきつくなるはず。ちょうど上記のテクニクスを裏返した形状で、これもやはり薄い。
おそらくはどちらも専用品、メーカーがある程度の数を生産するならばこういうこともできる。
修理するなら同じように直したいが、エッジが入手できないなら仕方ない。過去の経験から何とかなっているが、初めてのユニットでコンプライアンスを決めかねるならば動きの良いウレタンで張って、結果をみてラバーコーティングでコンプライアンスを下げる方向に調整するのがリスクが少ない。張った後でコンプライアンスを上げる事は出来ない。
再張替えは可能だが仕上がりはどうしても落ちるし、箱やユニットに傷を増やすかも?というリスクもある。
最新のスピーカーは小型化が進んで、より低能率になっている。エッジに限らず細かなところを煮詰めているので、安物と高級品では同じような大きさでも価格が50倍とか、正直、わけわからん(笑)
なので、最近は考える。
エッジ交換してそれなりの実力を発揮できそうか?現実的にユニットを箱から外せるのか?直せるとして、直す価値があるようなものなのか?
考えるけれど、エッジ交換だけで使えそうな安い物を見つけるとつい買ってきてしまう。聴いてみたいだけ、直してみたいだけ、欲しいわけじゃないんだけどなぁ~~
そういうのも趣味です。その3もあります。