初めての「その3」です。
カートリッジとスピーカーは音が大きく変わるのでネタがいくらでもある。
その2までは注意点や難しさばかり書いてきたけれど、その3では
「まあ、こんなもんだよ」
という、スピーカーを必要以上に難しく考えなくて良くなる、ゆるーい点を書いておこうと思う。
エッジ交換して修理する時に最も大切なのは「欲張らない事」です。
例えば、ウーファーのコーンとボイスコイルのセンターがあっているとは限らない。その場合は張り替えるエッジを接着剤を付ける前に合わせてみると同心円にならず、外周とフレームの隙間が少し違ったりする。
まだエッジ交換を始めて間もない頃に、これを「経年変化による歪み」と思って、「矯正した方が良い」という考えでエッジを僅かにずらして同心円になるように張ったことがある。張るときにはもちろんコイルが干渉しないことは確認したのだが、、、しばらくしたら干渉するようになってしまった。
エッジを指で軽く抑えると干渉しなくなるポイントがある。古いスピーカーでウーファーの取り付けは上下逆にすることも可能だったので、干渉しない方向で取り付けて直るかと思ったら短期間では直らなかった。
エッジ交換初めての失敗となった。
私はあきらめが良い。片方不良として症状を明記し、時間をかければ直るかもしれないが直らないかもしれないジャンクとしてヤフオクに出したら購入してくれる人が現れてくれた。ちょうど同型ユニットのエッジ交換を考えていたそうで、気長になじませるとの事、良かった。
ここで、自信喪失しつつ、色々ネットで検索。どうやら古いユニットでは「歪み」ではなく最初から「だいたいこんな感じ」の物も多いらしい。日本製よりもアメリカやヨーロッパの物の方が誤差が大きいようで、でもそれが音質に影響してるのか?なんか問題あるか?
日本人は細かすぎるんだよ! ということだね。
もちろん同心円でピシッ!!!としてると見た目に綺麗だ。
だが、それを目指すのではなく、目の前にあるユニットが最も動きやすいように修理するのが正解。
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2024.01.09 追記
この記事はアクセスが多いので情報を追加しておく。
こういった失敗の経験があったので、古いオルトフォンはすんなり直すことが出来た。
ウーファーエッジの外周がフレームとあってなくてカバーするリングも無く剥きだしなのでサランネットを外せば一目でわかる。
国産機だと安っぽいなと思うけど、オルトフォンだと「まあこんなもんだろ」と思えてしまうのはある意味「舶来信奉」なのかも?
otoasobi.hatenablog.com**********************************************************************************************
普通はやらない方法で張り替えたが結果として上手くいって動作も不満がない例をあげておこう。
リバースエッジの張替え例。
リバースタイプはサイズがあまりない、今回も適合するものはなく普通のウレタンエッジを逆張りすることにしたが、コーン紙側は角度が逆になるので、地道に手で押さえながらやってもウニャウニャと歪が出そうだった。ネットで検索しても同型機の張り替えた物は内側がウニャウニャしていて見た目にジャンクっぽい。綺麗そうなものは逆ロールでなく貼っているものもあり、元が逆ロールと知らなければ見た目にはこちらの方が良いが、できればオリジナル形状を目指したい。
そこで、勝負!
エッジの内側の耳を一度切り取って裏返して使ってみた。かなり時間もかかったし面倒だったけれど、見た目にはなかなか綺麗に仕上がった。
写真で比較してもこちらの方が良いとおもう。オーディオは見た目も重要だからね。
あとは耐久性だが、再接合した所は動作中に動くところではないので大丈夫だろう。
問題なく音は出ているし、正面から見たらパッと見では解らない程度に仕上がった。
こんな乱暴な方法でも、ポイントを押さえれば音はきちんと出る。スピーカーはカートリッジに比べると「でかいので誤差が大きく大雑把で適当に」作られているのです。
エッジだけでなく、凹んでいる物を良く見かけるセンターキャップ、これもエッジ程種類は多くはないが、いくつかのサイズがアルミや紙で供給されている。オリジナルと寸分違わず同じ、という事でなければ交換できる。
JBLやアルテックの人気ユニットの中には「リコーン」といってエッジどころかコーン紙をボイスコイルごと一新する部品が出来ている。そこまで変えちゃうと元の音と同じかどうかは怪しいがそれでもちゃんと音は出るし、基本構造が変わらなければそれなりに良い音がすると思う。どうしても使いたい、違いがあっても楽しめる!くらいの人気モデルでなければココまでやる必要はないし、やる人もいないだろう。
こうやって人気モデルは生き残り、良い物として評価が普遍となっていく。
最終的な出来上がりをきちんとイメージして工程を熟考すれば失敗しにくいし、これは無理そうだと思ったらヘタに挑戦はしない。
直せそうならば往年の名器も復活させることができるし、修理も楽しめるなら安価でも実力機はあるので修理して楽しみ、聴いて楽しめる。
初めてやるなら16から20センチがやり易い。接着剤の乾くスピードは一緒なので大径ユニットは作業速度が速くないと失敗の原因になる、工程を覚えて手馴れてからの方が失敗しない。逆に小さいのも作業しにくいので案外面倒だ。
幸い?なことにこの16-20センチというのは小型なため邪魔にされて捨てられることもなく、CDやアンプが壊れてもスピーカーは音が出るので残存数は多い、エッジが切れた物はハードオフやヤフオクで格安だ。
エッジはヤフオクでピンポイントで特定の機種用を出品している人がいたり、アマゾン等通販でも「汎用品」としていくつかのサイズを売っている。
私のお勧めは古株のFUNTEQ(ファンテック)さん。
品ぞろえが多く、自社で張替え作業もやっているのでノウハウも蓄積されていて、材質や部品(エッジ)や接着剤選びに困ったとき、色々とアドバイスもいただける。
このところ依頼された物で数セット張り替え、自分用にも長らく探していたモデルの満足できる状態の物をとうとう買ってしまった。
スピーカーは当分買わない予定。でも、手頃なのを見つけるとつい。。。