音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

テクニクス SB-MX7 SB-MX30 SB-MX33 SB-MX50 SB-MX70 SB-MX100D SB-MX200 SB-MX200D

 テクニクスのSB-MXシリーズ。

 

 最初に入手したのはSB-MX200、そしてハマる。

 気に入るとハマる(笑) そしてそのシリーズを聴いてみたくなる。

 

 今までに聴いたものを忘備録として。音質評価は主観。

SB-MX7         ¥59,800(1台、1987年10月発売)¥55,500(1台、1989年改定)

SB-MX30     ¥24,000(1台、1991年頃)

SB-MX33     ¥30,000(1台) MX30の後継? スペイン製

SB-MX50     ¥50,000(1台、1991年頃)

SB-MX70     ¥66,000(1台、1992年頃)

SB-MX100D ¥125,000(1台、1992年頃)

SB-MX200    ¥250,000(1台、1988年頃)¥232,000(1台、1989年改定)

SB-MX200D ¥300,000(1台、1991年頃)

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MX200 本体にはSBとは入らない

 まずはきっかけのMX200

 それまでに聴いたテクニクスのスピーカーは音が好きでなかったのに、これは印象が違って

「これをメインに使い込もう」

 と思ったテクニクスでは初めてのスピーカー。

 当時アンプはテクニクスSE-A100をメインに使っていたので同じメーカーの相性の良さもあるかもしれない。

  解像度の高い音で、アンプの差もカートリッジの差も良く解る。定位も良い、ボーカルはビシッと小さくでてくる。

 良いアンプと組み合わせると、CDプレーヤーやカートリッジの音の粗探しが簡単にできる。カートリッジは時代に合わせて使うとか、ジャンクレコード用にするなどの使い道があるが、CDプレーヤーは粗が解ってしまうと気になって使わなくなる。気に入っていた機種を数台持っていたが、傾向の違う2機種だけ残してどんどん手放した。。。MX200のせいだ(笑) ま、どれもソコソコ人気があったのでアンプ用の資金になって助かった。

 リファレンスとして使う間アンプをグレードアップしていき、MX200D購入後も比較しつつ並行使用してアンプとのマッチングなどを楽しんだが別のスピーカー購入に伴って売却。MX200Dがリファレンスになった今でも「こういう音はMX200の方が良かったな」と思い出す。

 

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MX33 ツイーター周囲にフェルトはなくカバーも一体成型の樹脂。コストダウン。

 写真を見て記憶をたどると次はSB-MX33だったようだ。

 音は全体に線が細く高音がややキツイ感じ。オーディオではなくラジカセの高級版という音で好みではなかった、当時オンキョーやパイオニアも使っていたので、傾向の違う音のスピーカーとしてしばらく使っていたが、印象はあまりない。

 好みの音という事でもないのでMX50が手元に来た時点で、MX33は手放してしまう。

 のちにSB-MX30のマイナーチェンジのようなモデルで、日本製でなくなった初期のモデルだと知る。音決めが日本人でないことが良い場合も悪い場合もあるということだな。

 

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MX50 MX200とそっくりだが並べるとチープ

 SB-MX50

 入手したMX50はエッジがウーファー、スコーカーともに切れていたので格安だった、両方ともエッジ交換したけれどエッジ代が本体の5倍以上(笑)

 音は小音量でもそれなりにバランスが良い。MX33がラジカセならこちらはシステムコンポくらいな音。音の厚みや煌びやかさをMX200と比べるとすごく軽く薄い音だが、帯域のバランスは似ている。安物のアンプでそれなりに音が出る。当然差はあるけれど高いアンプにしてもそれほど良くならない。

 見た目が似ているMX200と並べて設置して、サブスピーカーとしてBGM用に使っていたけれど、すぐに飽きて売ってしまう。エッジを交換したのに。。。

 

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MX7 美品だった

 次はMX7だった。

 世代としては1つ前、見た目も一世代前のオーソドックスな3ウェイ。

 アンプが欲しくてまとめ買いしたセットについてきた。綺麗で使用感は少ないもののウーファーエッジが少々硬化して音のバランスが高音寄りでやや耳に当たる感じだったけれど、鳴らしているうちに低音の量感も増してきて帯域バランスも良くなった。

 これが侮れない。MX200に比べると音は薄いが解像度はかなりな物で価格では考えられないバランスのとれた音だ。これはこのクラスの傑作の一つだと思う。

 けれど、見た目も音も素直、各社がしのぎを削っていて押し出しの強いモデルが多かったこの時期のこのクラスではあまり売れなかったんじゃないかな。

 密閉型なので低音域は癖がなく制動は効いているけれど歯切れよく鳴るタイプではない。ショップの店頭で聴くとバスレフの物の方が元気に聞こえちゃうので、質感は高いけれど特徴のない外観と相まって目立たなかっただろう。

 感心するのはこの時期のテクニクス、ジャンク屋で見るシステムコンポ用などを見てもアルミのフレームの腐食が少なくきれいなものが多い。ダイヤトーンなどは腐食だらけで箱がきれいでも買う気が起きないのだけれど、こういうところはさすがの品質だ。

 もう30年前の主流中級クラス、このタイプはヤフオクでも案外と安いのだが最近(2020年)MX7は高値がついている。

 保管するには少々デカイ。最初のMX100D購入したときに売却してしまう。

 上位機種のMX10も聴いてみたいが、カーボン素材のスピーカーを気に入ったことがないので積極的ではない。機会があれば、だな。

 

 

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MX100D 最初に入手したセットで、外観は一番綺麗だった

 MX-100D

 エッジはラバー。バリバリ。当然エッジ交換。

 これはその後売ったり買ったりで、今3セット目を使っている。なので、友人の依頼でエッジを交換したもの、部品取り含めて5セット聴いたことになる。

 生産時期で多少の変更はあるようで、ネットワークのコイルが違ったりフェルトでなく白い吸音材が使われている物があるけれど、その両方が違うものと比べてもわずかに音が明るくクリアーな感じはあるものの個体差の範囲?と思う程度。

 

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(2020.12 追記)

 当時の単品カタログを読み返していたら、ネットワークコイルはLC-OFCとある。コイルの品番が違うのでロットで違いがあるのかと思ったが、基本的に同じ物の番号違いなのかもしれない。吸音材はその後に分解したものでも白い物があったが、古そうな個体でどちらが新しいのか解らなくなった。いずれにしても音の明確な違いは私の耳では解らない。。。30年も経つと個体差の方が大きい(負け惜しみw)

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 シリアルナンバーで判別できる資料はなさそうだし選べるほど中古流通数がないので、縁のあったものを買うしかないだろう。

 音は状態の良いものならば重低音の入らないソースでボリュームを上げればMX200Dに負けない煌びやかさ、艶やかさが出てきて、緻密な音。MX200よりも煌びやかな音だと思う、MX200Dの方に近い。音量が小さめの時はMX200Dよりも帯域バランスが良いので使いやすい。

 アンプはとにかく良いものを。しっかり差が出る。

 バイアンプ駆動できるのでそれが良いが、そうでなくても魅力は味わえる。

 問題は経年変化による故障が結構ある。

 ユニットは内側からネジ留めなので裏板を外すことになるが、間に挟んであるゴム系のシールが融着してすんなりとは外れない。多くネットで検索するとシンナーを垂らすなどとあったが、これは突板の接着剤に影響があると嫌だし箱の木材は樹脂で固めたタイプなので感心しない。

 私は引っ張って外し丁寧に元に戻す。

 分解にはコツがありエッジ交換は大変なので、自信がない人は気軽に手を出さない方が賢明だと思う。

 高級機なのにがちがちに傷があるものや、ユニットを外さずに前側から無残に自作セームエッジなどを張り付けたものも以前はヤフオクで見かけた。そういうものは部品取りとして淘汰されているのだろう、かれこれ10年くらい使っているし、その良さを知った友人共々気にかけているが、ヤフオクハードオフで悲惨な状態の物を見かけることはなくなった。

 18Cm2ウェイなのに低音がしっかり出るがストロークが大きいためか、ラバーエッジは破損していて当たり前。ここはMX70やMX200のウーファーと同じ材質であってほしいところだけれど、材質を変えているのは理由があるのだろう。

 ツイーターはみたところMX200と同じようだが、2ウェイなので帯域はより中音域まで受け持つ。そのためかボイスコイルが干渉するようになるようで、ツイーターの出力が落ちてボリュームを上げると高音がノイズ交じりになるものがあった。極細い棒で金網越しにエッジのあちこちを軽く押すと、音が大きくなる場所があったりする。

 長期間動かしていないための硬化もあるかと思い、3日くらい小さめの音量で鳴らしっぱなしにしておいたら、片側のツイーターは復活したが、反対側はなんと音が出なくなってしまった。それを直すために部品取りを購入する羽目になる。

 2.5KHzがクロスオーバー周波数なので、ボーカルの定位では少々わかりにくく、左右チャンネルが同じように劣化していると「音が重たいな」という感じの評価になるかもしれない。ショップで視聴して購入するなら聴きなれた音楽で帯域バランスをチェックした方がよい。

 最初の1セットは他メーカーのスピーカー購入時に売却、2セット目はMX200D購入時に売却、その後2年程してまた欲しくなって3セット目を使ったが少し使ってしばらく保管、友人の物を修理したときに改めて使い始めたらツィーターが劣化していた。部品取り(これが4セット目、安くはない、予算内で買うために1年弱かかった)を購入し直して使っている。

 こう考えると最初の2セットは状態が良かったな、今では外観と機能を両立した良いものが入手できればいいけれど、流通数も減っているので故障したときの部品探しに苦労する。それも気長に楽しめるならお勧め。多くを試聴したわけではないが私が手が届きそうな最新モデルは1本10万円クラス、同じ価格帯なら古いこのスピーカーの方がはるかに良い音がすると思っている。

 

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MX200D 綺麗なものを入手、運び込んで音出し確認時 

 SB-MX200D

 カタログや当時の記事を読んでいたら欲しくなった。

 欲しくなった理由。第1期に使っていて今も時々聴くオンキョーFRX-20のボーカルのの広がりはオーバルコーンのせいかな? と思っていたのでオーバルドームという言葉に引っかかってしまった。

 今も高価なのでジャンクを掴むと被害甚大(笑)できるだけ良いものを買おうと2年くらいかけて良さそうなものを購入した。

 音質はおおむね想像したとおり。

 MX200は緻密で解像度が高く、アンプやカートリッジの差がよく出て凄いのだが、組み合わせるアンプによっては定位が良すぎて頭の位置が少しずれただけで、ボーカルの位置が寄ってしまう。その当時の設置場所なども原因だとは思うけれど、使いこなしが少々神経質。

 その点、MX200Dはもう少しおおらかだ。解像度はあるし定位も良いのだが、音の輝きや艶っぽさが程よく音をぼやけさせて神経質すぎることはない。

 低音はMX200とはだいぶ違い周波数特性が少し下に伸びているが、特性云々ではなく、十分な量感とともに解像度もある。

 アンプはできる限り良いものを。

 解像度とスピード感を味わうには手持ちの物ではトランジスタのアンプがベストマッチ。FETのアンプよりもキリっとしまった音がする。

 能率がそこそこあるので球のアンプでユルユル鳴らすこともある。

 比較的最近の「いかにもな音のするコンデンサー」で音を「調整」したアンプよりも、できるだけ音の色付けがないものの方が、アンプの良さもスピーカーの良さも味わえると思う。

 入手後MX200と並行して使用していたのでそれぞれを色々なアンプにつないでマッチングをあれこれ模索した。

 

 設置はしっかりしたところに。台に乗せると低音が甘くなる傾向を感じた。

 フロア型なのでがたつき防止に最小限何かを敷く程度が良いと思う。私は石板の上に置いている。リアバスレフなので背面壁からの距離をあまり離すと低音の量感が変わるから設置スペースに余裕は欲しい。重いので一度設置すると動かすのが大変だが、前後に動かしたり後ろに板を置くとかで好みのバランスにするといいと思う。

 

 

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MX70 ユニット取り付けは前面からの普通な構造

 SB-MX70

 MX100Dのツイーター探しをしている時に、サブシステム用にレコードプレーヤーの使えるそこそこのプリメインアンプとセットで買った。分解してツイータだけとりあえずMX100Dにつけてしまおうかと思ったが、手元に来たら思いのほか状態が良い。

 ウーファーエッジは200D同様の物で問題ないし、そのままサブシステムとして使うことにする。

 MX100Dとはウーファーコーン紙の質感も違うし、ツイーター周りのフェルトの色も違うので外観では雰囲気がだいぶ違う。

 MX100Dが直って聴き比べると、半額とは思えないくらい良い音だと思う。

 MX70は俗にいう「ポップス向きの軽快な」って奴です。けれど安っぽくはない。セパレートの良いアンプで比べればそりゃMX100Dの方が高級な音がする。

 しかしプリメインアンプだと軽やかな低音と明るいボーカルが良いなと思う。

 MX200DがあるならMX100Dを売却してMX70を残そうかとも思ったけれど、ほかの小型スピーカーを入手したときに結局売却。

 

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MX30 エッジ交換後、美品だった。

 

 SB-MX30

 これはパナソニックブランド。MX70が思いのほか良くて部品取りにしなかったので、惜しげもなく部品取りにしようと思って購入したが手元に届いたらこれもとても綺麗、困ったもんだ。

 エッジはMX100Dと共通。バリバリに硬化してひび割れだらけ。ネットで検索すると自作エッジで乱暴に修理したり、テープを張ってみたりと、かわいそうな扱いだ。が、1本24000円ですよ、格安モデルではない、パナソニックブランドのせいかなぁ。

 なんとなく、きちんと聴こうと思ってしまい、MX100Dと同じくエッジ交換してしまう。中古相場を考えると修理にお金かけすぎなんだが、、、

 音は明るいが高級感はなく、低音は出てはいるけれど解像度は甘い。しかしMX33よりも音が良いと思う。わざとらしく強調した部分はなく素直な音で、MX33がミニコンポや高級ラジカセの音ならばMX30はオーディオの音。コストダウンのはじまった外国製テクニクスよりも、パナソニックでも日本製の方が真面目か。

 しばらくサブシステムでMX70と一緒にBGM用に使った。

MX100Dの部品取りを購入して修理に取り掛かるときに売却、購入した方には綺麗さも含めて喜んでもらえた。

 

 MX30、1991年発売 24000円/1台

 MX70、1992年発売 66000円/1台

 MX100D、1992年発売 125000円/1台

 

 どれも18Cmコーン型ウーファー、2.5Cmドームツイーター。

 クロスオーバー周波数はMX30は2KHz、他2機種は2.5KHz、どれも素材としてはマイカが売り、エンクロージャーはセパレートバッフルが売り。

 音の違いは価格の違い。この時代に見た目に大差ないスピーカーをこれだけ違ったものとして作り分けし、そしてこの価格差で売る。凄いことだと思う。

 

 テクニクスのスピーカーはリニアフェイズ時代、その後の平面時代と長い事音が好みとは思えなかった。この後のシリーズはオーディオ全盛期を過ぎてからとなり、コストダウンが進んだのか、特性はいいはずなのに音は好みでなくなっている。何故かこのシリーズだけ好きな音だ。

 

 現在、SB-MX200Dがリファレンス、SB-MX100Dは気に入っているので残してあり時々聴いている。

 どちらか片方選べ、と言われたらその時の部屋の大きさで選ぶだろう。今は贅沢に両方楽しんでおく。