音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

テクニクス EPC-205C/270C/100C/310C等々 カートリッジの話 その7

 EPC-205Cはなんて不細工なんだ、これ、買う人いるの?と思っていた。

 

 今では音が気に入っているのでブルトーザーかよ!と思う外観も嫌いじゃないから不思議だ。

 

 200系の一方の雄、205C。

 60年代終わりの200をベースにして、1970年代に入ってから205系として以後2年ごとくらいのペースで改良がされていく。別格扱いの100系を除けば高級モデルでアナログ全盛期のテクニクスの音。

 205Cから205CⅡ、CMK3、CMK4まで進化していく。どれも針圧1.25g程と軽針圧だが極端なハイコンプライアンスではなく使いやすい。

 気に入っているけれどCⅡは解り難い。

 基本モデルCⅡ(出力電圧3mV)は聴いた事がない、オーディオに興味がなかった子供の頃のモデルだ。CⅡL/Hは昔のオーディオ誌で評価が高かったような記憶、で、カッコ悪いな、と。中学生には高価だったし。

 Ⅱ(出力電圧3mV)を元にコイル巻き線を減らして特性を改善し、軽量な針(カンチレバーはテーパードチタン、205CⅡXの銘板)を付けたのがⅡL(出力電圧2mV)、これは良い音だと思う、やや線が細い感じはあるがフラットできれいな音で、リファレンス的につかえる。

 この針を以前のボディに付けたのがⅡH(出力電圧7mV)、鳴りっぷりが良く元気な音で他のテクニクスの音ではなく異端児だと思う、特性の良いⅡLを作って針をこれまでのボディに付けてみたらそれはそれで良いのでHという事にした、かな?

 グレースF-8シリーズならF-8M、このⅡx針はこちらの音の方が好きだ。

 ボディは共通で針でキャラクター分けするのが一般的だと思うけど、ボディを一新したというのは珍しいケースだと思う。別の型番にしても良いと思うんだが。針だけで3mVから7mVに出力が上がるということだから、カンチレバーが「速く大きく」動いているってことで、軽量化のためか見るからに細い。

 

 次のMK3から改めて一本化し、高音質追及路線で正統進化。出力電圧は2mV、MK4で2.5mVなので、特性の良いⅡLのボディが基本になっているのだと思う。音はⅡLよりも少し明るく華やかで線の細さは感じなくなり余韻が増える。

 MK3からはボロンカンチレバー、MK3は持っていてMMのお気に入りだ。

 けれど、残念なのは手持ちの物はシェル一体型なのでストレートパイプアームに付かない事。単体モデルもあるのだが流通が少ない、入手出来たら一体型は手放すと思う。MK4も良さそうだけど高価になりがちで縁がない。

 針はCⅡからMK4まで共通で使える(多分初代も)ので、MK3の針をストレートアームに付けてあるⅡLのボディにさしてみたらMK3の音と決定的な音の差は感じない、ボディよりも針の方が音色への影響が大きいのだろう。

 

 CⅡ系はダンパーが生きている物が多いと思う、MK3も保管状況が良かったのか、手持ちの物は大丈夫だ。

 JICOから今も互換針があるが、仕様は同じではなさそうなので、「とりあえず」かボロンカンチレバーSAS針で「さらなる性能追及」など別の物として楽しむ方がいい。

 

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EPC-205 CⅡLとMK3 やっぱりカッコよくはないと思う。

 200系の普及モデル、270系はテクニクスの「顔」

 70年代に入ってデビューしたテンションワイヤー付の260C(楕円針EPS-53STED)/280C(丸針EPS-52STED)をベースに統一品番にしたような270C系。カンチレバーはアルミで針圧2gほど、コストダウンなのかテンションワイヤーは無し、丈夫で気軽。

 レコードブームで低価格から高価格までラインナップを多数そろえたテクニクス製レコードプレーヤーの中級機までに純正装着して売られたので、この音からオーディオを始めた人は多いと思う。世界一の生産数といわれている。

 ナガオカのOEMだとか、ナガオカが針を作っていたとか、色々と言われているみたいだが、良くわからない、こういうネタも読み物としては面白いけどね。

 

 中古の流通量はすごい数で、いつでも買えるし値段もソコソコ。性能は針で大きく変わるけれど、純正針はさすがに少なくなっていて価格が高めだ。ボディは使いきれないくらい残存していると思うので針さえあれば楽しめる。

 260/270/280の他にシェル一体型の271C、楕円針が標準になった270CⅡ、4チャンネル対応の400系とボディも針も色々とバリエーションがあるが、針の取り付けは互換性があるので中古でどのボディを入手しても苦労することなく使えるカートリッジだと思う。

 

 270Cの音は70年代にしてはやや暗いかな、余韻は少なく良くバランスの取れたテクニクスらしい音、悪く言えば特徴が無くつまらない。静かさでは205系に劣るのは仕方ないか。テンションワイヤー付の針になると解像度が上がってやや硬い音になるためか暗さは気にならなくなる。

 個人的には楕円針の方が好き。普及機なのであまり高いアームに付けているのを見たことが無いけど、テンションワイヤー付の楕円針をつけて動きの良いアームに付けると良い音がする。

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EPC-441Cボディに52STED

 

 270系は今は偶然手に入れた441Cというボディを使っているが、4チャンネル用は特性の良い物を選別したとか、その程度だと思っている。270Cボディと同じ針を差し替えてみても2チャンネルでは同じ音としか感じない。

 JICOが色々と針を出している、ボロンカンチレバーの無垢ダイヤを付けたら205系以上の音が出る、かなぁ?格安の交換針でも良いけど、4チャンネルモデルも設定がある結構良いカートリッジなので良い針をおごりたい。

 

 200系にはT4P規格の物もある。205C4でも安く買えるかなと思ったら流通が少なく思いのほか高価。

 T4P自体格安品が多く、中級機以上はあまり見かけないがEPC-P23をアダプターを使ってシェルに付けて使用したらすっきりした良い音だった。楕円針、80年代の物なので個性は薄れるが特性は確実に良くなっていると思う。

 

 100系、1976年ごろから始まる205系の上を行く「フラッグシップ」

 最初の100Cがなんと6万円!買えないよなぁ。

 MK2を一つ持っているけどさすがに良い音、クリアーで解像度も申し分なし。

 70年代「MMのテクニクス」のイメージだったので最高のMMを作ったという事だろう。当初のベースは205CⅡLだと思う、その後は100系で使った物を次期205系に採用するようなイメージ。1世代前のクラウンのメカニズムをマークⅡが使う(20世紀のトヨタの車の名前です、知らない世代で興味がある人は検索してみてください)という、販売力があってモデル数の多い大手メーカーならではの商品ラインナップですな。

 針圧はどれも1.25g程と使いやすい。お値段は少々お高くなっておりますが「使いやすい高性能」のために当社の高い技術力で素晴らしい製品を作り上げました、、、という、大企業ならではの良心です。

 めんどくさいアームやめてソコソコのアームにこれを付けた方が音は良いのかも、、、、、楽しいかどうかは別だな。まあ、EPA-100/100MK2に100系カートリッジを付ければ最高峰の音(のひとつ)が約束されます。

 中古の流通は少なく、プレミアム感もあって高値。私の場合は使うなら現実的に205系になる。

 T4P規格の物もあって外観が全く違うので以前は別物扱いだったのか中古が割安だったが今はこれも高値。いずれにしても針が問題。

 

 300系

 世の中がMCブームなんで1980年ごろから仕方なく作り始めたMCのシリーズ。

 予算豊潤、マーケットリサーチのレベルも高い、そして確実に売る販売力、ならば作るからには良い物が出来ちゃうのが大メーカーというものです。

 どうしても聴きたくて一つ買いました。普通のモデルでは予算オーバーするのでT4Pの物ですけど。

 音は良いです。クリアー、フラット、艶もある。

 205CMK3と比べても遜色がなく、低音はMCの良さか解像度が少し高くクリアーで切れが良い、全体にテクニクスらしい上質な音。方式が違うのにここまで「メーカーの音」を作れるって凄いなと思う。

 じゃあ205CMK3で良いかも?

 MCは他に気に入っているのがあるのでテクニクスでなければ!とはならないんだよなぁ。MM/MC関係なしに80年代になってからの3万円以上は良い物ばかり。

 

 テクニクスのMCは中古で流通少なく入手困難。探してたら海外のサイトで凄い値段が付いてたりする。これは100系もそうだった。テクニクスは日本よりも海外の方が評価が高いと思う。

 

 時々、オーディオマニアでない人からレコードを聴きたいという相談を受けて手軽な機材を見繕う事があるけど、カートリッジは針の入手性の良い270かシュアーM75の丸針で始めてもらいます。

 「何でもない普通の針」って良いんですよ。

 

 カートリッジはボロンカンチレバーテクニクスが最高だ!!!

 

 と、どこかで読んだが、MMに関しては解る気がするな。

 

 新説!

 レコード会社がグループにないグレースやテクニクスは、みんなに使ってもらうために色付けせず「オールマイティ」「優等生」というイメージのバランスよい音色になった。

 根拠なし。でもビクターやパイオニアの時には当時の人気歌手を調べてみよう。