音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

オルトフォンの「じゃない方」 VMS-30MKⅡ VMSシリーズ カートリッジの話 その8

オルトフォンといえばMC、だけど「じゃない方」も良いんだ、これが。

 

 オルトフォンはOEMも多く、そのためには使いやすい出力の物が良いのだろう。日本ではトリオにVMS型のF15(実家の古いステレオセットがこれでした)がOEMされてたはずだし、最近ではテクニクスにMMの赤い奴(最近の型番は覚えてない)が付いてる。

 M、MF、F、FF、VMSと型名は変わるけどMI型、オルトフォンではVMS型と呼ぶ。型番にVMSと入ったこのモデルは1975年頃からで、1980年に10/30を加えてシーリーズ化して85年ごろから続々生産終了し、知っている限りでは後継モデルは出ていない、日本で販売していないだけかもしれないけど。85年ごろからはOEM需要もなくなってしまいDJ用でお茶を濁しながらオーディオ用は高出力MCのXシリーズに力を入れてMC専業化していたのかも。

 今ではMMを作ってるが特許が切れたらMM作るって事は、VMSよりもMMの方が良い。ではなく、物作りは一度途切れると再出発できないからMMにした。と、思いたい。

 

 VMSを知ったきっかけは初代コンコルド

 斬新な形状、超軽量軽針圧、欲しかった、買えなかった、使えるアーム持ってなかった、、、これがVMS型を知るきっかけ。

 MC20からのハイコンプライアンス軽針圧MCのオルトフォンが、MI型で思い切ったことをやったので、他のMMメーカーに衝撃を与え、、、たはず。

 ソニーはXL-35の本体も針のノブも小型軽量化してXL-30を作ったし、同じようなことをいくつものメーカーがやってたような記憶がある。

 ユーザー側にとってはトーンアームへの要求が厳しくなるので良い事ばかりじゃないんだけどねぇ。

 後年、針先が見やすいという理由でDJ用として自重を増やし太いカンチレバーを付けてローコンプライアンス化して重い針圧にして生き残る。どんどん針折って消費してくれるユーザーへの正しい対応なんだけど、「昔のあなたが好きでした」。

 聴いてみたいけどコンコルドは縁がないなぁ。

 

 構造的にMI型はマグネットが付いてないのでハイコンプライアンス化では有利なためかADCやエムパイアなども軽針圧の物が多い、MMはやや不利だしオーディオテクニカはマグネット2個付けなきゃなんで、ここは確実に不利。

 

 たまたま入手したADCを使っていてIM型のハイコンプライアンスモデル、良いなぁ、という事でコンコルドを思い出したのだが、なかなかのレア物。

 で、調べていくうちにVMS-20EMK2の針折れを見つけ格安で、ついでに10EMK2も格安で買ってしまう。

 

 音質は20が一番「高音質感」が強いが針はオリジナルに限る。針折れを入手した頃、それほどこだわってほしかったモデルじゃなく聴いてみたかっただけなので交換針は社外で、と、探したらJICOから出ていた。確か数千円、安いなと思いつつJICOの通販サイトでポチっとする前に「接合丸針」という事に気づいて(あっぶねー)、調べたら接合楕円針の物が在庫なしになっていた。これが何故かアマゾンで売ってる人がいたので購入。音は出る、とっても元気、解像度はそれほどでもないが厚みのある音で高音は粒が細かい感じはないがエネルギー感もある。そうかぁ、こういう音かぁ。

 

 で、10Eを聴いたら帯域バランスはややカマボコだけど高音に刺激的な音のない柔らかい印象でヴォーカルは適度に厚みも余韻もあって聴きやすい。やるなぁ、安いのに。と思いながら調べてたら30MK2は無垢ダイヤのファインライン。

 当時MC20/30が気に入っていたので、少々相場が高いなと思いながらも購入。これが良い。少しフワッと音場が広い、ファインラインだけどMC30の解像度が高く綺麗な音という印象ではなく優しさを感じる音。針圧は1.3gと軽めだが極端なハイコンプライアンスでなく組み合わせるアームをそれほど選ばない使いやすい高性能、こういう音はオーディオいじりじゃなく音楽鑑賞しましょう。

 

 そうなると、20EMK2がおかしいなと思う。オリジナル針が間違いなさそうな程度の良い物を購入。もー、音はJICOの針とは全然違いますよ。押し出しの強さはなくなりフラットできれいな高音が出る。

 

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VMS20EMK2用オリジナル針 角柱ダイヤの楕円

 オリジナル針は長方形の角柱ダイヤ、軽針圧なのでトーンアームが付いていかないとイマイチな音だけど、上手くマッチングすると30MK2よりもやや薄い音だが解像度は高い印象、特に低音は30MK2よりすっきりしていて、こちらの方が好みの人も多いだろう。

 

 中古購入時の注意点は経験をふまえて針、社外品でも銘板だけ張り替えると見わけが付かない、ファインラインが接合楕円になっていたら、、、、、

 他にこのシリーズの難点は作りがよろしくない事。樹脂モールドの質が良くないのか出力ピンが本体の中に押し込まれて短くなっている物があり、断線している確率大。

 メッキのボディに錆が浮いている物も多い、高音多湿な日本の夏でごめんなさい。逆手に取ると綺麗なものはダンパーの状態が良いのかも?

 30には金色の物があるが、「30MK2ゴールド」として第一家電で大量販売(安売り)したものらしい。こちらは錆が浮いている物は見たことが無いので、メッキの質が違うのかな?

 

 10EMK2はフルオートプレーヤーで知人にも使ってもらっている。音も気に入ってもらっているし針も当分大丈夫そうだけど、折ってしまったら交換針が、、、次は楕円針付けたシュアーかテクニクスで聴き比べて選んでもらおう。

 

 忘備録

 

 社外針多し、顕微鏡持参で針を確認してから購入すること。

 出力ピンの長さが不揃いなら買っちゃダメ。

 未使用純正交換針見つけたら確保。