音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

ビクター MD-1016 Z-1 カートリッジの話 その14

 ニッパー君は実在したらしい。無くなった飼い主の声のする蓄音機に不思議そうに耳を傾ける、、、悲しみを絵にして音質アピール用に販売した商魂たくましい飼い主の親戚。

 

 ビクターは押し出しの強いメーカーと比べると少し弱気にみえる。超怒級とかプロ用とか、そういう物よりも家庭用で良い物を作っていた。松下電器の顔色を伺っていたのか、技術力はあると思うけど今一つ高級路線に乗り切っていない感じ。

 今もJVCケンウッドとなってメーカーが残る稀有な存在だが、カートリッジは作っていない。

 

 レコードプレーヤーでは大手家電メーカーが本格参入する前、ベルトドライブからFGサーボの頃までのシステムプレーヤーでパイオニアとライバル、というイメージ。

 コンポーネントプレーヤーではテクニクスデンオンの後塵を拝している感はあったけど、今見ると割安感がある。レコードプレーヤー入れ替えた後の1981年にTT-101をトップに新シリーズ発売したときは「こっちを買えば良かったかな」と思った。で、買わないけど買い替えるなら、、、と、妄想して、101よりもTT-801というレコード吸着するターンテーブルの方に興味がいくのだけど、81をベースにしているので101よりも安いというのが気に入らないなと思った。101ベースにしてさらに高価格で発売できなかったのは小さなメーカーの弱気が出たかと思う。

 

MD-1016

 CD-4を提唱したのがビクター。当然自社の「ホームステレオ」にもシステムプレーヤーにもCD-4対応できるカートリッジを用意する。それが4MD-1X。2チャンネル用丸針が付いているとMD-1016。同じ物がプレーヤーに付いてると別の品番。

 丸針で3種類もあって、DT-33H/S/G 今では3種類の針は買えないだろう、元々は音楽に合わせて性格付けしたらしい。

 しらべたところでは33Hは針圧高目で高出力、他は1.5-2.0の針圧とあるが、Hの針圧も1.5-2.0という情報もある。純正もS/Gは統一品番になったとか、社外品では3種類ともにノブの色が違うだけらしいとか、、、まあ、見つけた針で適当に針圧を探りながら聴くしかない。

 

 結構気に入っていて、古いレコードを気軽に聴くときなどに使っている。サブシステムの古いベルトドライブ機で簡単に比べただけだが、そういう時代の物なのである意味正しい使い方。

 針ごとに細かく聴き比べれば面白いとも思うがお気軽針として使っているので総括しての音質を独断で。

 やや暗めの重たい音で音粒は荒いが、柔らかく量感たっぷりなので混じり合った優しい音に感じる。ヴォーカルは厚みがあり柔らかく、低音は出過ぎない程度にボワンと量感がある。

 解像度の高い高音質という物ではないが、音量を小さくしたときにはこういうふくよかな音は聴きやすい。昔の喫茶店で会話を邪魔しない程度に音楽が流れている、そんな音。

 針による音質差は、、、

 おそらくオリジナル針のHは高出力というのは解った、元気に分厚い音が出る。

 オリジナルらしきS針の方が少し音がフラットに聴こえる。社外針のSとの音質差は感じない。Gらしき針は社外品っぽい、やはり音質差は感じない。自分の耳がそんなもんって事かな(笑)

 トーンアームは極普通の物で良いが、ビクターならJL-B33よりはJL-B44。有効長の長い重めのアームの方が合う。軽量ハイコンプライアンス用の80年代の物だと、ぶわんぶわんと単に古臭い音になるかも?同時期の日本製でもマイクロM-2100とは音の傾向が違って面白い。

 

 家庭の音源がチューナー主体から、「レコードでいつでも好きな音楽を!」になった頃のステレオの音。現役では聴いていないのに懐かしさを感じるのは、きっとどこかの店で聴いているから?

 

 この1016はグランツMG-30のOEM。同じ音が日本中のメーカーから、、、「カートリッジの話 その13」に少し書きました。

 

 Z-1

 いくつも使ったがもう手元にない。Z-1Sは特に印象はないがZ-1Eは良い音だった。この時期の物だと各メーカーの同クラスはどれもまとまりが良く付属品としては充分な性能だと思う。

 丸針での音は明るくも暗くもなくニュートラル、帯域バランスもフラット感あるが高音域は伸び感なし、楕円のZ-1Eの方なら魅力的な音になる。

 1016よりも余韻はぐっと少なくこの時期の物としてはテクニクス270C同様コンプライアンスが低め、音も似ていて押しは強くなくおとなしめ、針圧2g程と使いやすい。

 幸運なことに入手したものはオリジナル針が使えるものが多かったが、一度社外の接合丸針が安かった(古い物)ので針折れ品に付けてみたら、やや出力が落ちた感はあるが音質は大差ない。今はJICOに交換針の設定がある、たぶんJICOなら元気な音がするはずだ。でもね、Z1-S用の楕円針とZ-1E用の楕円針が存在するなど当時のオリジナル以上にバリエーション豊富なんだけど、ノブの色を気にしないなら中身は一緒のように思うので楕円なら一番安い価格設定のモデル用で良いんじゃないかと、、、、?

 色々な意味でテクニクスEPC-270Cと同じ優等生、少し明るく聴こえたけど、もしかして同じもの?ではないよなぁ、メタルカバーがそっくりにみえるので双子とするならEPC-207の方だろうな。

 

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社外針付きの Z-1S

 

 X-1

 今もファンが多い高級機だが、一度聴いただけで手放してしまった。Z-1と同時期の高級モデル。

 シバタ針でZ-1よりもややハイコンプライアンス、単品販売主体だったはずだがあまり売れなかったのだろう、後に「Ⅱ」になると楕円針の廉価版も追加される。

 テクニクス205系の様には生き残っていかなかった。

 

 70年代終わりころからMCを発売。エッチングによるコイルを使う独創的なものでファンが多いようだけど聴いた事が無い。

 1986年発売の空芯コイルを使ったMC-L1000というラボラトリーシリーズの高級機があるが、見たことが無い。86000円という価格が通用する時期だったとは思うけれど、突然高級機を販売しても中々受け入れられなかったのではないかと思う。

 

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 古くからレコードも販売しているので60-80年代の目についたアーティスト。ビクターデビューの人だけ。

ビクター

中尾ミエ(1962)青江三奈(1966)アン・ルイス(1971)桜田淳子(1973)仁支川峰子(1974)岩崎宏美(1975)ピンク・レディー(1976)畑中葉子(1978)

RCAレコード 

藤圭子(1969)和田アキ子(1968)西城秀樹(1972) 

フィリップス・レコード

ザ・サベージ(1965)ザ・テンプターズ(1967)他グループサウンズ  森山良子(1967)

 

 一番音楽を聴いていた1980年代前半に聴いていたアーチストが少ない。私が1016しか残していないのは、音の太さ、色気のせいか?アイドル系やニューミュージック系は少なく「歌謡曲」の時代が全盛期に思える。

 ピンク・レディーかぁ、声がキャンディーズより色っぽいからこれはソニーよりビクターだ。

 畑中葉子はZ-1E、森山良子はX-1かな、もうないから他社製の同じようなもので聴こう。カートリッジとレコードのメーカー繋がりというよりは、「レコードの時代のカートリッジで」の方がしっくりくるか。

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 備忘録

 MCは機会があれば。

 MMはもういい、見かけても買わないように!