グレースF-8は日本の音の元祖ですよ。持ってなくてもいいけど、聴いておけば日本のカートリッジの楽しみが増える事間違いなし。
まずは脱線。
私はグレースはF-8シリーズしか買わないことにしていて、その理由はテレビ番組なのです。オーディオから離れていた多分2000年過ぎのある日、なんとなく見ていたテレビ番組で品川無線(グレースの製造元)に散歩番組で訪れた芸能人とカートリッジや交換針の話をしていて、F-8が売れたのでその交換針を今も供給している、F-8が良すぎたのでそれ以降のモデルはあまり売れなかった、これが一番良いんだよね、、、と、店の人(多分社長)がしみじみ話していた。ような記憶があるから。
番組は次のどちらかで、「タモリ倶楽部」「モヤモヤさまーず」。なんとなくモヤさまのような気がするんだけど、なにも記録がないし、夢か?妄想なのか?
ただ、この放送を見ていて、アナログの方が音が良かったなぁ、引っ張り出してまた聴こう。と思ったような、、、記憶が、、、、、
録画してあればなぁ、今みたら当時以上に嬉しいと思う。
蘊蓄。
世界的に見てもMMの老舗。
初期の品川無線には、FR/IKEDAの創始者とか、ソニーのXLシリーズの設計者とか、多くの人が在籍していたらしく、日本でのレコード再生を遡るとグレースは避けられない、らしい。私は「そうかぁ」程度にしか知らないので、興味ある人は詳しく書いている人のURLとかWikiとかで調べてください。
F-5/6/7を経て、1966年(DL-103と同じ)にF-8Lがデビュー、NHK放送技術研究所と共同開発だそうだ。針先は「ルミナルトレース」という事だが、今顕微鏡で確認すると無垢楕円に見える。カンチレバーは普通にアルミ、極端に細くもないので使いやすい。針圧はシリーズ通して1.5gが基本と使いやすいのもあり、基本モデルのLのオールマイティさは誰にでも薦められる。
トーンアームも作っていて、カートリッジとアームを合わせて開発するのはメーカー側にとっては理想といえる。
その後MMではF-9/21/12/LEVELⅡ、MCではF-10/11、と展開し、不遇の1990年代を乗り越え2009年に交換針をだすというところまで情報があった。残念ながら今は休業?実質廃業?「レコードを聴くため」の会社です、残ってほしいなぁ。
F-8系のネタとしては。
1966年発売だが、後年、1978年にF-8V(カンチレバーに拘り)、1987年にF-8L/LC(コイル巻き線に拘り)、78年はまだ解かるけれど、87年には大手メーカーは交換針でさえ見て見ぬふりを始めた頃。
「針を持っているご愛用者の皆様へ。こんなボディ作ったので良かったらどうぞ?」ですよ、、、まだまだ楽しめる!!!という良心的な提案。
さらに2009年に創立60周年記念として従来の登録ユーザー向け限定でF-8/14/LEVELⅡ用の交換針US-8シリーズというのを販売したとWikiに書いてある。
グレースは偉い!
そういうことを知ると、その分音が良く聴こえる、聴く人間の精神的コンディションも音質のウチですよ。
音質を主観で。
F-8シリーズの音はタイプごとにきちんと違う。共通する音質は明るくクリアーな事、高音域に伸びやかである事(E、Fは特に。丸針のD、Hは使った事ないので除外)。
テンションワイヤー無しの針の時代のトップクラスの音だと思っている。丸針ならグランツMG30系、楕円針ならパイオニアPC-330E/550E、ソニーXL-35も魅力はあるけれどみな1970年代。1966年からの音が聴き劣りしない、グレースの凄さが良くわかる。
個人的には、Eが好き、だが、Fを聴いてみたらこちらはEの中高音にエネルギー感を足した感じで捨てがたい、Mの元気さはいいなぁ(欧州で高評価だったらしい)、CはLより解像度が高く少しクリアーなのが良いし、L’10は音が現代的になって歯切れも良い。
最近は一時期ほど聴いていないのでどれか残して手放してしまおうと思いながら今でも色々と持っている。一時期ハマったのでオリジナル交換針も新品中古含めていくつか買った。もしかするとFECMLを残して、他のテンションワイヤー無しのMMを全部手放すのが正解なのか???
ロングセラー、大ヒットモデルなので、ヤフオクでも流通は多く人気があるが、針は要注意。酷いのになるとカンチレバーごと取り替えられているものもある。綺麗で状態が良いという売り文句を信じて「3種類の交換針のセット」を買ってみたらカンチレバーが曲がった物だったり、、、カートリッジをそれなりの価格で大量出品している人、安値スタートで大量出品している人、たくさん売っているから安心とは限らない、勉強させていただきました!!!
そういう胡散臭い過去もあるので、皆さん用心するし敬遠もするのだろう、最近は以前よりも相場の平均は下がっていると思う。
今から(2022年)買うなら顕微鏡で針先を確認してある個体を買うのが高価でも安心、でも、動作未確認を安値で狙ってみるのも楽しい、、、私のグレース失敗率は金額で3割程かな、使えるけれど状態が悪い等もあるので、音出しだけで言えば失敗は1割程度だろう。
C、E、Fはダンパーの状態が不安だが、保管状態が良ければオリジナルがまだ使える。Lは元々無垢ダイヤ針だが後年の交換針では接合針らしい。
備忘録
タイプ名 発売年 価格(改定年と価格) 針圧 ノブの色 ボディ/ベース
L 1966 12500円(1975-15500円)1.5g クリアー 金/黒
M 1968 14500円(1975-17500円)1.7g ウイスキーブラウン 金/アイボリー
C 1969 16500円(1975-19500円)1.5g クリアー(小) 黒/メッキ
E 1972 20000円(1975-21500円)1.5g 黄緑 金/メッキ
F 1972 22000円(1975-23500円)1.5g 青 金/メッキ
L’10 1976 18000円 1.5g クリアー 専用ボディらしいが見たことない
他に丸針のD(2.5g、緑、プロ用、0.7MIL)、H(2.0g、赤、0.5MIL、ジュークボックス等)、丸針は興味ないので持っていない。
F-8L/LCのボディは一時期欲しかったが、デンオンの103Rを聴いて要らないかなと。理由はデンオンのカートリッジのところでたぶん書きます。
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デンオンの記事、書きました。
DENON DL-103 DL-301 DL-303 などなど カートリッジの話 その12 - 音遊び~オーディオのブログ