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ソニーXL-15(VL-15)カートリッジの話、その5

 XL-15が初めてのカートリッジだった人は1960年代生まれなら案外と多いと思う。テクニクスのEPC-270の2-3割くらいはいるんじゃないかと推測。

 

 これ以外のソニーのカートリッジは当時使ったことが無い。

 

 メーカー別にカートリッジの話を書くのは最初はグレースにしようと思ったけどソニーになりました。

 

 少し蘊蓄。

 1975年ごろから販売されたこのシリーズがソニー自社製の最初のカートリッジシリーズらしい。価格も安く(といっても11000円)、当時DDのクオーツロックを他社よりも安い価格で攻めたソニーの多くのプレーヤーに標準装備された。

 他にXL-14などもっと安いステレオセット用の物もあったようだけど、単品販売したものの中では最安値だったと思う。同時期に主流になったテンションワイヤーは使っていない、上位モデルとして25/35/45とあるが、こちらも円錐ダンパーとなっている。

 ソニーはテンションワイヤーを嫌ったのか?

 

 それ以前のソニーのカートリッジは知らないがOEMが多かったらしい。

 

 1979年にソニーウォークマンを発売する。ラジカセも人気だったし「カセットテープのソニー」のイメージ、カートリッジに力を入れていた印象はない。

 その後シェル一体型のMMを販売したが特に高級志向というほどでもない時代の流れに乗ってみただけという感じの物。

 そして80年代にはお決まりのMC、こちらはかなり攻めた高級機を作っていて、今でもファンがいる。その頃になってもXL-15は定番として残っていたはず。すでに自分では使わなくなっていたけれどカタログの片隅に赤いノブの写真を見るとなんとなく嬉しかった。

 そしてレコードからCDへと移行する中で「レコードもとりあえず聴けますよ」程度になっていき、安いモデルを残して1990年代には消えていく。これは他の多くのメーカーも同様。

 

 最初のカートリッジがXL-15だった。その音は特別に優れていることはない、と、思っていたので数年後には別のカートリッジを使うようになる。

 

 デビューが1975年頃、音色が明るく軽やかな音の記憶だが、当時は10年以上前の「実家のステレオセット」以外には比較するものもなかったので、音質云々ではなく「レコードが自分で聴ける」ことが嬉しかった。

 

 今、XL-15を聴いたらどうなのか。

 備忘録を兼ねて今のシステムでの主観を。参考にする人は自己責任で。

 

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ソニー XL-15

 比較するものが無いと聴いているうちに「まあ、これはこれでいいや」になってくるので、ベンチマークにメインシステムの常用機オルトフォンVMS30。

 同様のMM(テンションワイヤー無し)としてテクニクス270、パイオニア330、東芝260M(ビクター1016同様グランツMG-30のOEM機)を聴いた。どれもソニーよりも古い年代なのだが、これ以降はテンションワイヤー付が主流になってしまう。

 

 純正品のND-15を当時の定価で購入。

 針圧は推奨の1.7g。丸針なので音粒が細かい感じはなくワイドレンジ感もない。厚みのある音ではなくすっきりとクリアーで明るい音色。

 音色としてはグレースのF-8Lをナローレンジにして解像度を落とし明るくした感じかな。

 

 VMS30と比較

 直接対決の様に比べるのは無意味。全体の印象としてXL-15の方ははるかにナローレンジで細かい音が出ないし低音の量感も解像度も、高音の煌びやかさも伸びも、、、でも音はソニーの方が明るい。

 以下、ソニーと比べてどう感じたかを主観で。

 

 テクニクス270と比較

 全体にソニーよりおとなしい音、ややフワッとしてだいぶ暗い音に感じる。音粒は大差ない。低音の量感では少し勝るが切れの良さではソニーの方が良い。中音は少し厚みがあるが余韻はソニーの方がある。高音の伸びやエネルギー感は大差ない。

 ソニーより真面目、聴きやすい音。

 

 パイオニア330と比較

 クリアーさは大差ないけどソニーよりは少し暗いかな、VMS30と同じような感じなのでソニーが明るすぎる。帯域バランスはソニー同様で音色が全体に少し厚く少し重く、という感じ。

 音粒は大差ない。低音の量感は勝り、切れは同じくらい。中音は厚みがあって綺麗、余韻もソニーよりもある。高音はエネルギー感が増すが伸びは大差ない。

 個人的には丸針ならば330がオールマイティで良いと思っている。

 

 東芝260M

 一聴してソニーとはだいぶ違う、全体にエネルギー感/量感のある音でやや低音寄りに感じる。やや暗い音だが鳴りっぷりが良いので鈍い感じにはならない。音粒は大差ない。低音は分厚くたっぷりだが切れは甘い。中音は音が太く厚みがあり余韻たっぷり。高音は響きがあって艶っぽいが伸びはない。

 解像度がやや甘い感じだが、このふくよかな暖かい音は魅力だと思う。

 

 

 

 そして社外の楕円針とラインコンタクト針、番外でXL30用の無垢楕円針をXL15のボディで試してみた。

 

 ナガオカの楕円針

 「ELLI」シリーズの古い新品。針圧は純正と同じく1.7gで。

 楕円になると音粒の粗さは気にならなくなる。低音はあまり変わらないが少し解像度が出るかな。ヴォーカルの余韻も出てくる、高音は少し伸びてエネルギー感は変わらないがクリアーに聴こえる。

 他のどの針よりも純正針に音色が近く明るい音。純正よりも細かい音が出て高音が伸びるようになったという感じ。ナガオカは大体純正の音の印象を変えないと感じる。

 

 KOWA PH針(ラインコンタクト)

 「レコードが長持ちする」PH針。針圧は針指定2.0gと純正よりも少し重め。シュアーM75でも使っているお気に入り。

 音色は純正よりも明るさは少し控えめだがその分元気さが増す感じ。低音は切れは変わらないが少し解像度が上がったか?音粒は楕円同様な感じだが、ヴォーカルは少し厚みが増し一番好きかな。高音は伸びるが音量は控えめでエネルギー感はナガオカに劣る。

 ラインコンタクトだからといって特別高級な音じゃないけど、変に無理した感じはないので聴きやすい、これはこれで良いと思う。

 元気なのはカンチレバーが純正より短いからだろう。それなのに音が歪まないのは立派。写真では解り難いけど針先は菱形にみえる。器用なもんだ。

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KOWA PH針 解り難いけど菱形

 番外だが、XL30用

 ND-30E 純正新品

 1世代後のモデル用、ノブは小さくなっているが取り付け可能。コンプライアンスが高く、推奨1.3g指定と軽針圧。カンチレバーが細く長い。

 全体に1ランク上に聴こえる。明るさは少し減るがクリアーさが増す。低音の切れは良いが量感は程々。ボーカルの厚みも丸針同様だがクリアーで余韻が綺麗。高音の伸びとクリアーさ、エネルギー感はこれが一番。

 トータルではVMS30に劣るがクリアーさでは勝るか?。

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ND-15 と ND-30E カンチレバーの長さが違う

 30番台の針は無垢ダイヤの楕円だが、長方形の角柱でオルトフォンのVMS20Eなどと同じように見える。顕微鏡で見ると綺麗で「おーーー」っと思う。

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ND30Eの針先 無垢ダイヤ楕円

 

 どうせなら25/35/45も聴きたいけれど15と比べると極端に流通量が少なく、試しに買うには安くない。

 磁気回路は35からは2重シールド、出力電圧が35/45の方が低いのでコイル巻き数の違う特性の良いものかと思っていたが、今回XL30用でカンチレバーが長く針圧を小さくすると出力も当然下がる。XL35用は針圧1.5gとXL30より重いが、コンプライアンスは低くXL25と同じなので、カンチレバーが長いなら同様に出力が下がるはず。

 そう考えると2重シールド以外、45まで磁気回路は同じだろう。そして、少し後のXL20/30も中身は同じでボディをギリギリ軽量化したものだと思っている。

 

 今では他に色々な音の物を持っているので、今後ソニーの上位機種を買う事はないんじゃないかなぁ。

 

 70年代からのCBSソニーは、天地真理山口百恵キャンディーズ渡辺真知子久保田早紀、80年代に入って松田聖子(デビュー年順、私調べ)と、この辺りまでがレコードの時代、松田聖子の後半はCDに主力が移っている。

 私はこの世代で、小学生で天地真理をテレビで見ていて中学生になる頃には山口百恵がもの凄い人気、渡辺真知子の歌唱力をビリビリ感じ、久保田早紀の世界をユラユラ味わい、松田聖子の頃は明菜派だった(笑)

 涙を誘う歌詞の演歌には似合わない音だが「当時のソニーの音」のイメージだと思う。歌謡曲からニューミュージック、アイドル全盛期へと移っていく中で、XL-15の音は「若者の音」だった。

 

 好き嫌いでいったらもちろん好き。思い出バイアスが深いからね。

 

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 追記

 

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