音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

 音量と音質、そしてヴォリューム位置

 頭の中を整理するために音量と音質の関係をまとめ書き。

 

1 聴いている音の大きさ

 

 普段は好きな音の大きさで聴いていれば良い。

 

 アンプ側の出力A/Bにそれぞれ繋いだ同じような周波数特性のスピーカーの能率が違うとする。能率の良い方のスピーカーに切り替えたとたんに音が大きくなり低音高音が急に聴こえるようになる、が、音量を調整すると低能率のスピーカーの方も同じように低音も高音も出ている。

 人間の耳の特性は音量が小さくなると中音以外の感度が落ちる。それを補正するためにラウドネスがあるわけだ。

 ラウドネスの効果はメーカーや価格帯で色々。

 凝った物だとヴォリュームが4連で音量を上げるにつれて補正が無くなる物もあり、スピーカーの能率などボリューム以外で音量が変化する条件が上手く合っていればスイッチを入れっぱなしで違和感なく使えたりもする。

 簡易な物だと、フィルターで低音高音のレベルを上げる(実際には中音域を下げるのとゲインを上げるのを一緒に行ってスイッチオン時に中音のレベルが下がらないようにしているように感じる)。こういう単純な物だとワザとらしいドンシャリになるものも多いと思う。トーンコントロールがあるならそちらで好みに調整した方が良い。

 古い物ではローブーストなんてものもあった。小さなスピーカーでソコソコの音量で聴くときに、低音が欲しいと思ってオンにするとボンッと低音が上乗せされる。まあ、自然なバランスではないが、古い音が楽しい時もある。

 常時同じスピーカーを2セット繋いであるなら、それぞれを生かすために自然と音量を変えたり大音量用と小音量用などと使い分ける。充分に音量を上げられない時には補正を使った方が音楽を楽しめる。

 

 ラウドネスもトーンコントロールも周波数特性を補正するために回路を通る。音の鮮度を優先するなら使わない方が良く「バイパススイッチ」などを設けている物も多い。 

 試聴の時はバイパスしておかないと差が解りにくい事もある。

 比較試聴する時には「音量」による聴こえ方の違いを考慮しないといけない、音質評価する時に音量を合わせるのは案外と重要なのだ。

 とはいえ、音量計(今はスマホのアプリでいけるか?)を使って正確に、ではなく耳で中音、ヴォーカルが同じ声の大きさになる様に合わせている。

 試聴音量での周波数特性を計測するなら1kHz、1w出力で1mの距離での値を合わせてから計測とかになるのだろうが、個人的な機材の比較試聴では耳で合わせれば充分だろう。

 

2 元の音の大きさ

 

 考えていると途中であれっ?となることもあり自分でも良くわかっていないような気もする、入力信号レベル、大小どちらが良いのか?

 学生の頃、ライン入力レベル(AUX、チューナー、TAPE等PHONO以外の入力)の信号は0.8V(P-P)程度だった記憶、これが基準値だと思っていた。それに対してアナログレコード再生ではカートリッジ出力電圧に幅があるので音量が変わって面倒だな、と。

 出力が大きいカートリッジの方が元気な音のような気がするが、コイルの巻き数が多い(特性が悪くなるらしい)/マグネットが強い(重い)/動きが大きい(カンチレバーの角度が大きくなるので発電信号のリニアリティは下がる)、概ね低出力の物の方が特性は良い。そうなると、歪率の低いアンプでないと充分なS/Nが得られないことになる。オルトフォンMC30の魅力を引き出して使うにはそれなりの機材が必要だったのは当然の要求だったという事だ。

 

 と、基準値があると思っていたけどしばらくオーディオから離れている間に、ハイアウトプット(で良いのかな?)などといって2V(P-P)の物が出てきていた。信号レベルが大きくなれば相対的に伝送中に乗ってくる雑音の影響が小さくなる。カーオーディオの世界の方が信号レベルが大きくなった時期が早いような記憶だけど、使用環境を考慮すると当然だろう。

 どうやらこの信号レベルには特に決まりはなく、「時代の流れで今はこんな感じ」という事らしい。今回調べてみたら0.3Vの物から3V程のものまで、色々らしい。

 高いレベルの方だと間違えてMMで最大許容入力200-300mVのPHONOに繋いだらヤバそう。MCだと最大許容入力10mV程度なので、一巻の終わり!かな?

 

 新旧混在して使っていると不思議なことも起こる。

 

 新しい機材、私の場合サブシステムでCD兼用で使っているDVDプレーヤーがそうなのだが信号レベルが高いので他の機材よりも音が大きくなる、当然その分ボリュームを絞る。

 最新のアンプのイコライザーならそういうレベルを基準にゲインを上げてあるのかもしれないが、私の使っている古めのアンプだとアナログレコードとCDを聴き比べるときなど、ヴォリュームの位置が3時間(90度)も違う事もある、そしてそういう時に音量を合わせるとアナログの方が音が生き生きしているなと感じる。アナログの方がS/Nでは不利な筈だが音質はS/Nで決まるものじゃない。

 けどね?

 アナログレコードの音源をそのままCD化した古いCDならそれも当たり前かも。

 しかし元々CDで結構な高音質で出ていたものを試聴用に使っているのに、最近のブームに乗ってアナログ化したものがレコーディング時の音造りをアナログに最適化したとはいっても、そんなにも差が出るものだろうか?

 

3 増幅中に失うもの

 

 ここで音質に影響を与えているのはヴォリューム位置だと思っている。

 経験上、ヴォリューム位置は大きいほど音の鮮度が高く余韻も綺麗だ。

 なので、小音量で聴くときにはミュートスイッチを使って、音を小さくし、その分ヴォリュームをグイッと上げて音量を同じところまで上げてやる。ミュートで多いのは「-20db」だが、古いアンプでは「-15、-30」とか「-10、-20、両方足して-30」など色々あった。

 古いヴォリュームではギャングエラーが大きく、絞った状態で解りやすいので、ミュートを使ってできるだけ大きく回して使った方が良い。

 特にアナログレコードの再生の際には、チューナーやCDの再生時よりもヴォリューム位置に拠る差が大きく感じる。まだ子供の頃に読んだオーディオ誌か本で、「カートリッジの入力に感度切替スイッチがある場合は、感度を下げてその分ヴォリュームを大きく上げて使う方が得てして良い結果になる」とあった。かなり古い時代のことで、そういうスイッチが付いたアンプは1台しか使ったことが無いが、、、

 ミュートを入り口で使うという事だな。レベルの小さなカートリッジからの信号を引き回しスイッチ接点と抵抗を入れるというのは「電線病」な人が眉をしかめそうだけど、ヴォリュームに拠る劣化が大きかった時代、固定抵抗で信号レベルを換える方が音質の劣化が少ないのは確かだと思う。

 

 こうなると、組み合わせるスピーカーの能率が低い方が同じ音量でもヴォリュームを大きく回すので有利という事になる。

 アンプの出力が充分にある前提なら、スピーカーは能率を下げた方が特性の暴れを押さえやすいようなのでウィンウィン、のようだが、能率の低いスピーカーは余韻や音場感が好みとは限らず単純ではない、特性にとらわれて好きじゃない音のスピーカーの使いこなしに四苦八苦する、それが楽しい人もいるだろうけど私は好きな音に時間をかけたい。

 

 この音の鮮度の差はアンプの年代やメーカーに拠って結構違いがある、今一つぼやけた音に感じていたアンプが、ミュートスイッチ一つで別物のように感じることもあるので試してみる価値はある。

 

 ちょいと脱線。

 

 だいぶ前だが、「東京光音」のヴォリュームが音が良いというのをネットの書き込みで見つけて、秋葉原に行ったついでに買ってきて適当なRCAコードを切断して途中に取り付け、これをCDプレーヤーの出力からパワーアンプの入力の間に繋いでみた。

 25mm径の見た目に何の変哲もない、フツーのヴォリュームで確か500円しなかった記憶。鮮度が高く気持ちの良い音がする。一度試してみると面白いですよ。

 

 CDプレーヤーの可変出力があるモデルでもやってみたがプレーヤー内蔵のヴォリュームよりもこちらの方が音が良い。ま、内蔵ヴォリュームは格安品なんだろう。

 当時はCDを主に聴いていたので、CDはプリアンプをバイパスしこのヴォリュームで。パワーアンプを前後逆に設置して、それ以外の音楽ソースをプリアンプ出力から、とRCAを繋ぎ変えて使っていた時期がある。不便だ、けれどバッファアンプを通さなければこんなにも音が良いんだ!

 

 よし!高価なアッテネーター式可変抵抗とセレクターだけのパッシブプリを作ろう!

 アッテネーター チップ抵抗使用の物。

 

 色々調べているとアッテネーターはスイッチの接点の材質が云々、使う抵抗の特性が云々、抵抗の足の材質が云々、、、キリがない。。。

 足は無い方が良いので音響用チップ抵抗を使った注文生産のアッテネーターを購入した。既存のアンプに組み込めるくらい小型で精密、くりくり回してみるとロータリースイッチのクリック感も心地よい。

 なのに、アナログに回帰するうちに、面倒になってやめてしまった。なぜ満足したかというと、盲信から解放されて使い勝手等考慮する大人になったから(笑)

 ボリュームだけでなくバッファーアンプやトーン回路、それに伴う配線の引き回し等々で失われていく音は多い、アンプの最も重要な性能は「減らさない事」だと実感する良い経験だった。

 ま、計画が楽しかったので良し!←←負け惜しみ(笑)

 

 本題に戻る

 

 ミュートの無いアンプも多いとおもう。

 電子ボリューム(金かければ良い物できるのかね?今では高価な機材にも多くなってるけど)を使い始めた時代以降の廉価機なら音量に拠る音の差は無いだろう。スイッチ一つでも減らせばコストダウンにもなる。

 高級機ではヴォリュームが良くなって小音量時の音の劣化が減っている。1980年代中盤からはイコライザーやバッファ等各アンプの性能が上がり差が解りにくくなったのも一因かな。

 今時、デカいスピーカーでオーディオで楽しむ人はそれなりに大きな音を出せる環境も持ったろう。小型スピーカーの能率はどんどん下がっているから小さな音でアナログレコードを聴く人も性能の上がったヴォリュームを大きく回せる、今の機材を今の環境で使うなら特に不満も無いと思う。

 

 メインシステムで使っているプリアンプ、トリオL-07CⅡとテクニクスSU-C7000は両方ともミュートスイッチが無い、で、特に不満は無い、セパレートアンプではヴォリュームの品質含め音量に拠る音の劣化に気を使っているという事だろう。

 一方、サブシステムでは80年代中盤までのプリメインアンプを使っているが、こちらはほとんどにミュートが付いている。

 80年代後半の機種でミュートが「シグナルオフ」になっている物があって、これはねぇ、ミュート表示ではなくして欲しい、最初は壊れているのかと思った(笑)

 

 今はガレージオーディオなので学生の頃のアパートの部屋よりも大きな音を出せる。それでも、古いアンプほどミュートを使った方が良い音になることが多い。

 

 なんとなく音がぼやけてる?ミュートスイッチあるなら使ってみ?

 同じ音の大きさでも印象が変わるかもよ?

 

 

 太字を使うのは今回が多分初めて。

 色々とできるんだろうけど努力不足、元々PCが苦手なので、、、読みにくくてすみません。