音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

パイオニア S-1000TA バーチカルツインの高級機

 シリーズ最高級ではないが、1992年に1本なんと24万円!

 

 1989年のS-1000Twin(1本22万円)のマイナーチェンジモデル。

 

 発売時期、マイナーチェンジ時期共にテクニクスSB-MX200/200Dの後追い感は強い。価格は少々安め、大企業ではないパイオニア、お買い得感は市場競争力!

 実際のところは見た目に同クラスだけどこちらは2ウェイで大口径ドームスコーカーとか使ってるわけじゃないから原価安いはず。

 

 概ね、マイナーチェンジモデルは、個性は薄れるが熟成されることが多い。安い物ではないので、検索してみたけど情報量少な目、少々考えて後期モデルを選択。

 パイオニアドンシャリ感が今一つ苦手、S-933/S-955では後期モデルの方が好みに合うと判断した。

 S-1000の後期を選んだのは要するに、なんとなく、勘、だ。

 

otoasobi.hatenablog.com

 

 

 外観では銘板が初期はウッドだけど後期は樹脂になっている程度の違いでしょう、でも本当はこういうのも重要で見た目なら初期モデルなんだけどねぇ、、、、、

 

 

 S-1000TA ホーンみたいなホーンじゃないヤツ、上だけフェルト張り

 入手。重たい。そして埃が多い。

 掃除しながらあちこち観察。

 エンクロージャーは木目を生かした突板オイルステイン仕上げ。

 少々の当たりや擦れ傷は有るが深くえぐれている致命的な傷はない。近似色のオイルステインで擦れを補修、日本で多く流通しているメーカーのオイルステインで色が合うのは楽で良い。仕上げはテカテカではないので補修か所の見た目に違和感もない。綺麗になると気持ちいいね、きっと良い音がする(笑)

 

 リアバスレフのポートの片方には吸音材が上部にだけフワッと張り付けてある。

 ホーンっぽい見た目の「W.F.(ウェイブフロント)ダイレクター」には上部にだけフェルト張。

 スピーカーターミナルの頭にフェルト張り。ここはバナナ対応しておいて欲しかったんだが、、、

 まあ、あちこち作り込んであって高級機としての佇まいは申し分なし。

 

 ウーファーエッジはラバーかと思っていたが、ウレタンだな、これは。

 少し撚れが見られるけど、初期動作確認では音にノイズが混じるようなことは無い、まだ張り替える必要はないと判断。

 動かしていない間に変形したエッジは動かしていると形状が動きやすい形に落ち着いていくことが多い、エッジ保護剤を塗布してしばらく様子見だな。

 おそらく使っているうちに気にならなくなるだろう。というか、撚れがあっても音が問題ないならそれで良いんだけどね、形状は気分的な物。

 

 

S-1000TA 二色織サランネット

 サランネットは二色織。光の加減でキラキラ光る。着物の生地等にもこういうのがあるが、ひとつ間違えると下品だと思う。

 埃っぽいので丸洗い、樹脂フレームになってからのサランネットは気軽に洗える。タオルで水分を吸い取ってからエアコンの風の当たるところで乾燥、より一層キラキラ光るようになった(笑)

 このサランネットを付けたまま音をチューニングしている、いちいち外すのも面倒なので、私にはありがたい。

 

 S-1000TA 高密度パーティクルボードだけど、強度大丈夫?不安の残るスパイク取り付け部

袴の部分は角の小傷や木目剥がれ(ここは突板ではなく樹脂シートに見える)があり、木工ボンドで補修。

 スパイク取り付け用のネジはM6で6か所。しかしパーティクルボードは高密度となっているが、感触は「粗い」。設置する時、動かす時にスパイク1本に全重量を預けると「ぐしゃっ」と崩れるんじゃないかと不安になる。荷重に充分耐えられるようにスパイク取り付け部分からエンクロージャーの底面にまで接する長い金具が埋め込んで、、、無いよなぁ。

 

 当面、大理石のボードの上にべた置き、スパイク無し。

 そのうち10円玉や鉛プレート、スパイクなども試すかもしれない。

 

S-1000TA 設置

 

 試聴用のレコード、CDで音出し。

 

 明るい音。ドンシャリではない、ある意味パイオニアっぽくない(笑)

 OTTO SX-P1 と比較試聴、、、、しても誰にも伝わらないので、現在お休み中の主力機SB-MX200D(の記憶)をベンチマークとして、SB-MX100D、SC-2 を交えて。

 

 低音。

 購入検討時に検索したら低音が弱いのでスーパーウーファーと併用している、という例が有り、どうなんだろうと思っていたが、、、低音が足りないという感じは無い。

 押しの強い低音ではなく、立ち上がりや切れが良くスピード感がある。

 ボワンと出てくる音ではないので音量が小さいと量感不足に感じ、小音量時の量感ではSC-2に劣るかも?人間の耳の特性を考慮してラウドネスかトーンコントロールで補正すればごく普通に低音は出る。

 私の普段の音量なら低音も充分に聴こえる。余韻はやや控えめ、制動が効いていて箱鳴りの少ない印象、すっきりと解像度が高い。

 

 中音。

 明るくクリヤーで定位が良い、余韻も艶っぽく綺麗だ。艶のしっとり感はMX200Dの方があるけど艶の艶々感は1000TAの方がある。なんというか、柔らかな艶とカチッとした艶の差。

 が、ツィーターの高さに耳の高さを合わせるとさらに口が小さくなりヴォーカルの位置が下がり解像度が上がる。

 

 高音。

 伸びやかで綺麗な音でエネルギー感もある。サランネットを外すと鮮度は上がるが少々耳に当たる感じが出る、サランネットつけたままで音のチューニングしているというのは本当だな。

 以前SB-MX200Dと聴感の帯域バランスを合わせたOTTOのSX-P1、ツイーターのアッテネーターを少し下げてあったのだが、1000TAに合わせるとちょうど0の位置。

 

 音の形

 MX200Dが気に入っているので、自分好みの帯域バランスよりは少し高音が強めという事になる。少しの時間聴いていれば耳が慣れる程度の差なので大きな問題じゃないけどね。重厚感は少ないが歯切れが良い低音で全体に明るい、夏はこういう爽やかな音が気持ちいい。

 傾向が違う良い音の機材が増えるというのは楽しい事だ。

 

 ヴォーカル好きな私としては中音をメインに使いこなす設置が良いとは思う。

 現在は御影石の高さ分上に上がっているが、いつのも場所で耳の高さにツィーターを合わせるなら、もう少し上げたい。

 前をわずかに上げて上向き設置にする、さらに左右の向きも合わせこんで、、、、、そういうことしなくてもかなり良い音。あまり神経質にならなくてもこういう音が出てくるというのは完成度が高いのだと感じる。

 全体のフォーカスを少しぼかしておけば、ある一点のフォーカスがぼやけるのを必要以上に気にしないで済むので良い←面倒なだけ(笑)

 オーディオ的に音を分析するような聴き方の時には人間の方が椅子に浅く腰かけて耳の高さを合わせればそれで済む。

 

 以前、S-HE10で感じたヴォーカルが決まらない感じは気にならない程度になっている。より小径なウーファー間の距離が近いのが大きな理由と思うけど、聴く位置が以前よりもスピーカーから遠いのも理由だろう。1000TAに近い場所で頭の位置を上下に変えると同じような症状は感じる事が出来る。

パイオニア S-HE10 ウーファー上下2個の高能率機 - 音遊び~オーディオのブログ

 

 興味深かったのは能率が仕様より高く感じアンプの差が少ない事。

 

 仕様では91.5dBと細かい数字。OTTO SX-P1の93㏈と比べると切り替えても音が小さくなった感じは無い。たいていのスピーカーは仕様の能率どうりに聴いて差が解るのだが、1.5dBなんて私の駄耳では解らないんだろうか?

 そのせいか、パワーアンプをサブに使っている小出力の物に切り替えても案外と良く鳴る。繊細な音とか、滑らかさなど、差はもちろん出るのだがひどくショボい音だなぁとはならない。

 これがMX100D(86dB)/200D(88dB)だとアンプの駆動力の差がハッキリわかる。能率が高いからという事で片づけたいが、SX-P1でもやはり差が出る。能率が高いからアンプの差が出にくいという事ではないのだろう。

 30CmウーファーのP1と20Cm2個の1000TAを比較すると、直径からの単純計算でウーファーの面積はP1が1000TAの1.12倍となる。100Dはもちろん小さい面積だが27Cmウーファーの200Dでも1000TAより1割程面積が小さい。が、1000TAはボイスコイルが2個、マグネットも2個、アンプのパワーがソコソコでも動かすのにそれほど無理が無いという事かな?これこそがバーチカルツインのメリットってことか?

 考察を楽しむオーディオ。

 

 良いアンプで良い音が出るし、使いこなしで絶対もっと良くなる。

 が、ポンとおいてアンプもソコソコだとしても音質の目減りが少ない。様々な組み合わせで比較試聴したらアベレージが最も高いのはこういうスピーカーだろう。

 アンプが合わないと全然やる気が無い音しか出さず、名声だけで多くの人を悩ませてきたスピーカーとは対極の存在だな。サランネット付けて音決めというのはそういう姿勢の表れだ。いい仕事してるなぁ、パイオニア

 

 任せて!できるだけ良い音出すから!優秀だけど偉そうじゃない良いヤツだ。