アンプを買ってくるとまずは音出し。壊れても後悔しない安物スピーカーを繋いで簡単に確認する。
聴いて正常ならそれでよし、中が汚れているようならカバーを開けて埃を掃除して使い始める。
なのだが、本当は古い物は点検確認して必要なら調整するのが望ましいと考えている。
球のアンプでは新品球を使い始めて最初は変化するけれど、50時間経過後はほとんど変化が無い。球の安定期に入ったという事で、ここから劣化して壊れるまでが「本調子」だ。その後も200時間目安でバイアスを確認していた、安心できるし好調を維持したい。
半導体アンプだと、最初に調整すれば、ほとんど狂わない、とは思っているけれど、通電時間が長くなれば、半導体その物は変わらなくとも抵抗やコンデンサーの経年変化はわずかながら出てくる。
調整はほとんどのアンプがパワーアンプ部分のオフセット調整(DC漏れを無くす)、アイドル電流調整(バイアス調整)だけだろう。真空管アンプの頃から考え方は同じ、調整するためのボリュームとテストポイントと規定値が解ればさほど難しくない。
アンプによってはプリアンプ部分のオフセット調整やメーター付きの場合はメーターの感度やスケール調整などもある。
いずれにしてもマニュアルがあれば調整は簡単。
私が主に使っている1970年代後半以降では、プリアンプ(プリメインのプリ部も)は高級機以外では調整が無い物が多い。設計の手法が確立され、温度による抵抗やコンデンサーの値変化を勘案して回路を組んであり、経年変化含めて許容範囲に入るので実質無調整という事なのだろう。
セパレートアンプの入門機だが、1979年に59800円と中級プリメイン並の価格なので中身はしっかりしている。
かなり綺麗な状態だったが、お決まりの埃掃除。ついでにDC漏れを測ったら右チャンネルで50mVオーバーと少し大きいかな?という程度。このくらいなら本当は問題なし、100mV以下なら実用上まったく問題ないと思う。
調整は電源を入れて数分経過し動作が安定してから行う。
資料もないままに部品のレイアウトをみながら当りを付けて調整していたら、「DC」モードと「DCじゃない」モードで、それぞれにオフセット調整が必要、めんどくさいなぁ。バイアスも「感」で左右そろえておいた。
その後、オーディオ仲間が情報を教えてくれたのでオフセット、バイアスを再調整。
オフセットのずれも少なかったけど、バイアスは規定値のまま、優秀です。
こういう調整には変化が解り易いアナログテスターのほうが使いやすい。
温度変化でもふらふらと小さな変化は残る。デジタルテスターだと数字がパラパラ変わるので「ゼロ」を目指すと不可能になってしまう。
そしてメーター調整。テストCDなどでも左右は合わせられるけど、オーディオ帯域のオシレーターがあれば便利。
メーターは気にするとわずかに右の振れが少なく見えたけれど、調整後はきっちり揃いました。ま、使用中にそこまでしっかりメーター見ないんで問題なしだったけど、資料があるなら確認調整しておこう、ってだけです(笑)
音は、最初の確認時の良かった音がそのまま出てくる、要するに変化なし(笑)
けれど、調整済みの安心感が少し良い音に感じさせてくれます。
こうやって文章にしていたら、以前某メーカーのアンプは調整目標値はもちろんゼロだが、製品としては100mVはOK。これはその通りだと思う。
また、経年変化後で1Vまでは許容できるとどこかに書いてあった事も思い出した。確かに電源投入時の「ブッ」という音がスピーカーから出るが、普通に音は出る。
そのうち、オフセットをずらして検証してみるのも面白そうだ。