音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

テクニクス 88A(SU-8088)プリメインアンプ 点検修理

 テクニクス88A、1979年に98000円、当時の中級機のてっぺん。

 

 国内メーカーの上から2番目のモデルはお買い得品が多いので期待できる。

 そろそろオーディオの季節も終わりが近い、今シーズンの弄り納めがこのアンプだな、きっと。

 

 出っぱなしらしき物を見つけ、片チャンネル音が出ないとの事だが、、、オーディオ仲間が一緒にいたので手伝ってもらい簡単に動作確認すると酷い接触不良はあるが音は出るので購入。「外見が結構綺麗だよ」と少し背中を押されたのもある。

 まあ、テクニクスのアンプは丈夫なので接触不良を直せはOKだろう。

 SU-8088 元気に動作中

 先ずは修理後の試聴から。音質は「直したので嬉しいバイアス」込みの高評価(笑)

 先日の99Aとは使っているパワトラも同じ、で音の印象のよく似たパワフルで元気の良い音。88Aの方がややドンシャリ感が強いと思う、低音は量感があるが歯切れはこの時期の標準的なもので99Aよりもやや劣る。ヴォーカルは88Aの方が軽快でクリアー感が強く口が小さく聴こえ、高音は99A同様で少し強めにでる。中音域の音が若干細身な事がドンシャリ感を強くしているのかもしれない。

 DCストレートにしてトーン系は使わず、MUTEで20db下げてヴォリュームを大きく回して聴くとドンシャリが少し抑えられヴォーカルの透明感が増し良い音だ。

 先日のシャープオプトニカもラックスキットA802も今になって聴いても好感触、今は私の耳がシングルP-Pアンプに寄っているんだろうか?

SHARP OPTONICA オプトニカ SM-4000MkⅡ - 音遊び~オーディオのブログ

LUXKIT A802 パワーアンプ 高校時代の音 - 音遊び~オーディオのブログ

 99Aの方が音の厚みも余韻もあり帯域バランスが良い、大き目のスピーカーではパワーの余裕も感じる、99Aの方が全体的に上回る点が多い(上級機だから当然か)がその差はわずかだと感じる。

 能率の低いスピーカーとの組み合わせだと99Aの方が余裕あるが、88Aでも同時代の30センチクラス3ウェイは能率が高めなので充分なパワーはある。艶っぽさは足りないが痩せて貧弱な音とはならない、こういう軽快で元気な音も魅力的だ。

 PHONOはMCも使えるが内蔵ヘッドアンプは音場が狭く音が痩せて聴こえるので、99AやV10同様オマケ程度。特にローインピーダンス低出力の物では音痩せが大きく感じるのでMCメインで使うなら昇圧トランスを使った方が良い。MMでは特に不満は無い。

 トーンコントロールのターンオーバー周波数の設定数の違い、EQ回路基板のシールドの有無など機能や造り込みの差はあると感じるけどプリ部は基本的に99Aと同じなのだろう。

 

 入手後の動作確認から修理の流れを。

 テクニクスSU-8088初期動作確認中

 

 持ち帰っての初期動作確認。

 当初右から音が出なかったがDCストレートの切替レバースイッチ(スライド接点のスイッチ)をガチャガチャやったら出音、一通りの機能は問題なく元気に音が出る。ボリューム、トーン、バランス、セレクターなどは問題となるようなガリは無く優秀。

 レバースイッチの接触不良が最大の問題で何度も切り替えると時々右が出ない、ま、ここの修理は慣れてる(笑)

 DC漏れも0.02Vと0.025V、そのまま使える。良い買い物だった。少し音出ししていたら天板がなんとなく普通よりも暖かい?かな?両チャンネル同じくらいって事はこれが普通?ま、調整時に要確認。

 インジケーターランプ切れは無いので通電時間は充分に短く、まだ寿命の残っている状態と判断。

 SU-8088 安心感あふれる適度に埃まみれな中身

 例によって埃掃除と、外観磨き。

 先ずは天板と底板を外して水洗い。メーカー修理のシールはどこにもなく、天板を外すのに張り付きを剥がすのに気を使ったので最近開けられた様子はない。

 安心の埃だらけ、だが、それほど酷くはない。

 埃をエアーで飛ばしてから基盤を点検しつつ刷毛で掃除。はんだの状態は良く問題なし、膨らんだコンデンサーも液漏れの形跡もなく全体に綺麗で部品交換歴無しと断定。

 

 99Aと同じパワトラを使ったシングルP-P構成で基板の配置も良く似ているが、調整用半固定抵抗の位置が違うなど、基盤は当然別物。88Aでは基板むき出しでスピーカーA/Bの切替はプロテクターリレー後にリモートスライドスイッチでの切替なのに対し、99Aではプリ基板にシールドが付いていて出力リレーがA/Bそれぞれに設けられプロテクトリレーを兼ねるなどクラスが違うので作り込みの差はある。

新旧対決! テクニクス 99A(SU-8099) VS SU-V10 - 音遊び~オーディオのブログ

 

 サービスマニュアルを見つけたので、調整か所を確認。

 んー、電源電圧の調整もあるのか。

 99AもV10もなかった記憶なので安定化電源の回路が安いのかな?電源電圧調整の有るアンプはメーカー製ではほとんど経験が無いので少数派だと思う、固定回路だとばらつきや経年変化でさえ危ないくらいにギリギリ高い電圧で動作させてるんだろうか?

 掃除してから電源を入れて、まずは電源電圧を確認、少し低かったので調整。

 

 数分経過後にアイドル電流を測ったら規定値の7倍くらい!

 テスターのレンジを間違えているのかと思った(笑)ココの調整用半固定抵抗はグリグリやっても5倍くらいまでしか下がらず調整不能

 バイアスガンガン流してやたらと元気!ビンビンの音が出る、って喜んでる場合じゃない。多分時間経過すると温度上昇でプロテクタかかるな。ギリギリかからないかな?

 使ってりゃ直る、、、はずはない。

 両チャンネルほとんど同じ状態かぁ、テクニクスの品質のばらつきの少なさは流石だ(笑)

 バイアス調整の半固定抵抗は99A、V10、21A、ラックスキットのA802では交換の必要が無かったが、、、使い方が違うのかな?偶然かな?気が向いたら回路図眺めて考察、、、老後の楽しみか?

 

 私は頻繁にオーディオ修理する人ではない、むしろ修理はやりたくない人なので適合する半固定抵抗を持っているはずもない、パーツリストを確認して部品手配。通販は便利だわ~。

 

 その間にノブやRCA端子を磨きガリの出ているスイッチの分解清掃を済ませておく。

 フロントパネルを外し、最低限の部品外しで基板からスイッチを外し、、、

 磨いて楽しむオーディオ。

 

 スライドスイッチの清掃

 何回やったかねぇ、このタイプのスイッチの接点修理。金属ケースなので修理はやりやすいと思う、爪が折れても何とかなりそうだし。樹脂に変わってからの物はできれば触りたくない、パキッとなったら嫌だからね。隣に有るミュートスイッチも問題ない程度だがガリが有ったのでついでに清掃。

 他の軽いガリの接点は洗浄剤でメンテナンス、密閉型でないこの時期の物は簡単で良い。

 

 スイッチ類のメンテナンスが終わったら、ノブを磨いて、フロント部分は組んでおく。

 

 清掃、フロントパネル組付け後

 綺麗になると直す気力が湧いてくる!早く来い、半固定抵抗!!!

 

 半固定抵抗到着。

 DCオフセットは調整可能だったが、ややクリティカルだったので、同時に交換。

 調整後、10時間程音出ししてから、バイアスとオフセットを再計測、安定していることを確認して天板を取り付け。

 

 放置期間が長かっただけのようで、全体的には中々の良品でした。