今期2022-23はお手頃中古プリメインアンプの購入が多かった。
確認調整、いやいやながらやった修理のために調べた事などの考察をまとめ。
まだ記事にしていない機種もいくつかあるけど、間があくと忘れてしまう。また寒くなったら続きをやるので備忘録。
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考察してみるその1
信号系のレベル調整
古めのチューナーでは、出力信号がバリアブルとフィックスの2系統あって、アンプに入る他の入力(主にはアナログレコードだな)と音量を合わせられるものが多かった。ソース切り替え時にヴォリュームをいじらなくても音量が同じというのは便利といえば便利だ。が、音が悪くなるような気がするから使ってない。
同じような事の出来るアンプがある。ボリュームをPHONO2入力やスピーカーB出力に加えてレベル調整できるようにしてある。それによって、入力レベルの違うカートリッジ、能率の違うスピーカーで音量をそろえることにより比較しやすい、という事らしい。チョイチョイ比較視聴する私には確かに便利だ。
が、ちょっと待て!どう考えてもボリューム通さない方が音が良いんじゃないか?小音量時にミュートしてメインボリュームを大きく回して音質劣化させないアンプが多いのに、入力でこれをやるのはなんだかなぁ。
あ、自社製品のスピーカーの能率を下げて特性を良くした場合、直の出力に繋いでやれば、他社との比較試聴で売れる、、、
ダメかね、こういうひねくれた考察は(笑)
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考察してみるその2
入力にDCレベルが入ってくると出力に増幅されたDCが出てスピーカー壊したりして困ってしまうので入力に直列に入れてDCをカットするためのコンデンサー。
DCアンプなら付いていないけど、その場合はオフセット調整は必須(新しいと自動調整もある)、又は回路上問題ないレベルになるように設計されている。ちなみに、DCアンプじゃなくてもDCは増幅する、だからカップリングコンデンサーが必要となる。
じゃあ、DCアンプとは何かというと、DCを通すアンプという事だと思っている。低域に周波数特性を伸ばし続けた結果、ゼロヘルツまで出せれば最強!って事だ。音が良いとは限らない(笑)
カップリングコンデンサーとその後の抵抗でハイパスフィルターを形成して特性が決まるのだが、アンプ設計するわけではないので、ぼんやり回路図を見る私の場合は容量の大きいのが付いてるから低域まで出るんだな、というざっくりした認識でいる。
信号が通過するところなので当然音への影響は大きい。壊れているなら近年のに交換しても動作するが、まだカップリングコンデンサーが生きているなら良いアンプは古くたって充分に音が良い、できるだけ時代の音を楽しみたい。特性と音質は別の物なので本当のこのアンプの音をが好きなら交換の際には当時の同じ物のデッドストックを探すことになる、広い世界のどこかにはきっとまだ在る!
昔多数いじった球アンプでの経験(記憶なので数値は不正確な可能性あり)
球アンプの場合は最終段のパワー管の入力にカップリングコンデンサーが入っている。もっと手前にも入っているし、最後にはインピーダンスマッチングで出力トランス(ない物もある、OTLアンプとよばれる)でも直流をカットする。スピーカーに安全な優しい設計だ。
LUXKIT、A3500では0.47uF、A3600では0.68uF、A3550では1.5uF、仕様の周波数特性をみると大きいほど低域での減衰が少なくA3500は20Hzで落ちているがA3550は20Hzまでほぼフラット。容量は他の球アンプも概ねこの範囲内だった。経験上単純に大きくしても低域はもっと出るようになったけれどその後に付いている抵抗とでフィルターを形成するので本当は単純ではない。
A3500の古い物ではオイルコンデンサーだった、出力管入力側は発熱が多いので抜けやすい、が、出力トランスが入っているのでスピーカーに直流はいかないため解り難く多少は平気で動いているのだがトランスに直流が入力され続けると発熱するし、そのまま気づかずに使っていると球が壊れたりもする、経験済み(笑)
バイアス調整時に点検してDC漏れがあれば交換すれは良いのだが、フィルムコンデンサーに変えたら音が変わった、容量をでかくしても音が変わった、、、好き嫌いはさておいて、変わったのは確実に解かる。特性が良ければ良い音という物でもない。このオイルコンデンサーのオリジナル中古品を買いあさり良品を集めて本気のLUXトーンを求めている人もいるくらい、音への影響が大きいところだ。
トランジスタのアンプでは通電時間が耐用時間を超えなければそうそう壊れないし、耐用時間はタイマー内蔵ではない(ソニータイマーとかトヨタタイマーとか、色々あるらしいけど)から時間経過でいきなり壊れるわけではない。経年変化でも瞬間的に壊れることは無いはずで、点検してDC漏れが始まった事が判ったら交換すればいい。電解コンデンサーは経年で壊れるという意見が多いけれど、1070年代から1980年代までの日本製は丈夫で通電時間による劣化の方が大きいと思っている。
耐電圧を超えたなどの理由で一気に壊れた場合は周辺が故障しているのでコンデンサーを替えてもアンプは直らない。これも経験済み(笑)
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考察してみるその3
アンプ自身のノイズ。
熱ノイズなどといわれていて、部品から発生するらしい。
ホワイトノイズ(サーという音)で、静かな環境でスピーカーに耳を当てると聴こえる。ボリュームを上げてもやっと聴こえる程度なら、実用上は音楽信号にかき消されて聴こえないので、ノイズがあること自体は普通なのだが少ない方が良いのは間違いない。
他に電源を伝わってきて入ってきてしまうノイズ(デジタル機器が増え、スイッチング電源が増えた現在は電気が汚いといわれている)や、ブーンというアンプ自身の電源系からくるハムノイズ(PHONOではカートリッジやケーブルが拾ってくる場合も多いが、アースの取り方で改善する事多し)など、色々とある。
本気でココを深く掘り下げるなら歪計やらスペアナやらが欲しくなっちゃう、、、
で、買ったら使うのか?1-2回使ったらもう使わないだろ?
なので、使っていてノイズが気にならなければそれで良い。
バリバリいう音など故障を示唆する物では問題だけど、ノイズは多かれ少なかれあるもの
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考察してみるその4
半固定抵抗と可変抵抗
両方とも抵抗値を可変するもので、同じといえば同じ。
可変抵抗はヴォリューム、バランスヴォリュームなどで、ちょいちょいいじって調整する物。半固定抵抗の場合は回路上のばらつきを合わせる等の物で、調整後は普通はいじらない物と思っている。
で、この半固定抵抗が曲者で、そのまま使っている間はまあまあ良いのだが調整したら接触不良が酷くて実質故障状態になったりする。
小さくて、金属製で、真っ黒に腐食して、、、というのは古いアンプでは見るからにヤバい。今でも使われる部品だが小型化が進んでいる(表面実装の部品もある、触りたくないなぁw)ので同じサイズの適合品を見つけることが難しく、抵抗値が適合して取り付け可能なら形状は妥協。
知っている限りではLUXKITの球のアンプA3500では普通の25mm径のヴォリュームをバイアス調整に使っていた、でかくて丈夫だから?調整はし易かった。金属の薄っぺらい半固定抵抗は使われてなくて、その後のA3550では良く見る丸い樹脂カバー付きに変わる。
そして基板取り付けの物はどれも入手難、今入手しやすいのは四角い樹脂の塊の物、概ね元の物よりも小さい。
ただね、金属の古いタイプが今壊れているとしても、40年以上ですよ、今入手して交換に使っている樹脂の塊が40年後にどうなってるかは、、、解らん。けど、他に無いからこれで直す。
抵抗値の誤差は案外と大きく10-20%、調整して合わせる物なので誤差はあまり重要ではない。
今回色々と調べていたら可動子を電源側に設計する方が良い、という記述をみた。オープンで壊れた時に電気が流れない方向の方が安全、という事かな。
バイアス調整用はオープンでは直列に入った抵抗との合算抵抗になり流れない方向に故障となる、こういうアンプが良く考えられている真面目なメーカー設計。
1990年に近い中級プリメインアンプでは、バイアス調整もDC調整も自動調整するように回路が組まれているようで半固定抵抗自体が基板上になかった、、、
球アンプをいじっていた頃、自己バイアスに改造すると出力が下がるし、なんとなく音も悪いんじゃないかと思っていたけど、これはこれで良い事なんだろう。
ただし、サービスマニュアルにはシリアル番号で一部の部品が変更されるというのが3-4回書いてある機種も。長期安定動作は難しいのかも?自動調整が経年変化でずれ始めたら壊れやすい?
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考察してみるその5
DCオフセット(DC漏れ)
オフセットは0が理想。
現実には温度変化でも変わるので実用上どこまで許容するかという事になる。
今でも調整のない物はあるし、DCアンプ以前は無い物が多かったんじゃないかと思う。
今回のHA-1100は調整なし、素子のばらつきで出る程度は問題なしという事。
元々0.1V以下なら気にしないけど、みんなどうなんだろうと検索したら、修理する人はゼロを目指す、私も調整できる物を調整する時はゼロを目指す。が、新し目のアンプでは調子が良く音が出てると、測らないので調整も当然しない物もいくつか持っている(笑)
メーカーのマニュアルは全部確認したわけじゃないけど調整値「0V」という物(無理、目指して合わせろって事、努力義務だね)と「80mV以下」等と目安があるもの、さらに調整値は「10mV」だけど、完成品の検査としては100mV以下なら良いというのも。様々だ。
バイアスもだけど調整しても時間が経って温まると少し変わる、夏と冬でも変化は出るだろうな。さらに経年変化でも変わる。
私は使用過程中の物は「点検時500mVを超えていたら調整できる物は調整しましょう」ってくらいで良いと思う。500mVだと能率の高いスピーカーだとはっきりとボツノイズが聞こえるけど、通常音量で音楽を聴いていておかしな感じは無い。
具体的な漏れ電圧を考えてみた。検索中に「1Vなら片目をつぶって許容範囲」「ヘッドフォンならその半分で」という記述を見つけた、良い表現だと思う。
で、自分なりの使用過程中での基準を決めておく。
1.0V
片目つぶって使うけど、調整できないものなら製品寿命が近いのか?
0.5V
別に気にしないけど気が向いたら調整(できない物は諦めてそのまま使う)
0.1V以下
優秀、気づいても調整は面倒だからやらない。購入時に開けた時、簡単に半固定抵抗が解れば一応0を目指して調整
ヤバい漏れが出た場合はプロテクターが外れません、本当に故障してます。
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考察してみるその6
半導体の寿命
半永久的だと思っている。
真空管では真空度の低下によりヒーターの酸化消耗が進むとか、一応寿命があると思うが小さい球はかなり長持ちする、で、パワー管も音がショボくなるとかバイアス流せなくなってくるとか、要するに壊れるまで使っている。
定期交換するなんて、大昔の電話交換機とか、軍用とか?
ドイツ軍放出品とのテレフンケン球をヤフオクで見たが本当かねぇ?富士通の交換機用高信頼感のデッドストック(12〇〇7あたりの双3極管)なんてのも見かけたけど今も出回ったりするんだろうか?
さて、半導体、石と石の接点を一方向に電気が流れるだけなのにどこが壊れるの?
まずは電気的な故障。パワトラなら大音量時に出力ショートしてプロテクタも間に合わないような過負荷になったとか、指定の電圧や電流を超えて電気流して壊れたもの。逆方向の耐電圧を超えるというのもあるな。
この壊れ方は単純なら良いが周辺を巻き込んで壊れている事があるので要注意。再発を繰り返す可能性が高く、メーカー修理品でもシールがいくつも貼ってあるなら敬遠する。手持ちの物がこうなったら直すのが面倒だからジャンクとして処分する。
次には機械的な故障、これは足と半導体本体を繋ぐボンディングが振動や温度変化の繰り返しで切れるとか、だけど、モールドの中なのでこんな事滅多におきない。おきたら交換するしかない。古い名機を治すためにオリジナルパワトラにこだわってメタル缶のパワトラを開けて断線を繋いでいる記事を見たような記憶があるけど、できるんだろうか?やってるんだからできるんだろう。そこまでやるかね、マニアは凄い。
小電力トランジスタで足が黒くなっていると、それがどんどん進んでケース内まで入り込んで断線してしまうとか、腐食から髭の様に錆が伸びて隣と軽く接触するとか、そういう事があるらしい。こちらは現状で動作に問題ないなら交換の必要なし、気になるなら足を磨いて掃除しておく程度。そのまま寿命まで使えるし、掃除と酸化防止で充分延命(と、いう事は半永久的w)可能。
本当は各社こだわりの回路構成などを考察するべきなんだろうけど、メーカーの設計した回路にあーだこーだいえるほど回路を熟知していない。素直に出てくる音を楽しんでます。