音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

ついにオーレックス。 ST-420 チューナー

  東芝AurexのチューナーST-420を購入。

 

 オーレックスは造語で由来は「audioとラテン語で王を示すrexを意味」するらしい。

 1970年代に入って東芝のオーディオブランドとして始まったが1980年代からはケンウッドと協業、1989年に設計製造をやめてシャープやケンウッドよりのOEM販売(家電メーカーらしい選択)、そして1990年にはオンキョー(グループ企業だったらしい)に譲渡、そして消滅。。。

 wikiには2016年にブランド復活との情報があったが知らなかった、今(2023年1月現在)どうなっているのかも知らない。

 adresというテープ用のノイズリダクションを作ったり、一部アンプに根強いファンが存在するなど、大メーカーの地力は感じたけど、迷走してたら「オーディオの王様」にはなれないよなぁ。

 私の記憶だと東芝はかわいそうなくらい「負け」を選んでいる印象。

 adresは大きく普及せずdbxとドルビーCが主流に。

 ビデオテープデッキはベータでソニー陣営、25万円くらいの高級機もあってこれはかなり良かった。しかし発売翌年、秋葉原の店頭で旧型として5割以上割引して売っているのを見て、頑張って設計製造した人がかわいそうだな、やる気なくすな、と。パイオニアVX-9(ソニーOEM)を頑張って購入してからまだ1年、も少し待ってこっちを買えば良かった、とも思った。

 ビデオディスクはテープで懲りたのか松下陣営のVHD、結果レーザーディスク程には普及せず。カラオケで少しは利益が出たかな?

 DVDの高画質化ではソニー松下連合の「ブルーレイ」には賛同せず独自規格の「HD DVD」で対抗したが早々に撤退。

 他にココム事件もあったし、原子力発電は企業買収して規模拡大したけど新設は安全基準などの問題で従来の様に採算が取れずどこかから補助金もらわないと作れないし、その赤字埋めに半導体事業を売り払うし、、、デカイ会社ってこんなに失敗してもなんとか倒産しないんだな、と、思っていたけど、今では日本では珍しい過去の経営陣の責任を問うような状況で厳しそう。。。。。

 

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 ここで余談。

 東芝の昔話ですが興味深かったので。

 

 つい最近、1990年頃に新入社員として東芝に入社して、「オーディオ」を希望したという人の話を訊いた。

 当時は既に製品としてのオーディオからは撤退状態で、オーディオ用半導体の開発設計の仕事をしたそうだ。無響室で試聴した後しばらく周囲の音が聴こえないとか、、、そういう面白話と一緒にやるせない話も。

 試作段階で良い物を作っても「特性はこの程度にまで落として良いのでもっと安く」と客先にいわれ、大量受注なので安くするために妥協する、、、まあ色々と。  

 そういうことを繰り返して技術者が諦めることを覚え妥協することが会社の利益になると割り切っていく、、、その人は社会に出た時に希望の仕事に付けたことに感謝しているが今全く別の業種で働いていて未練はない、のだそうだ。

 悲しい事だが、私も元家電メーカー技術者だったのでよくわかる。

 当時、家電系ではなくオーディオメーカーだったらもう少し良かったんだろうけど、今の状況をみると時間の問題だったんだろうな。

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 さて、例によって長い前置きの後で本題。

 今回のチューナー、ST-420は先日入手したLo-Dのチューナーと同時期同クラスで、価格は1976年に47800円。なぜか420という型番も一緒。

 機能的にはエアチェック用のキャリブレーターが付いたのが特徴。

 

オーレックス ST-420

 

  今回は久しぶりにハズレを引いてしまった。

 最初に購入したものは「動作未確認機」

 フェイスパネルは極小さな傷がある程度で綺麗だったし球切れもなかったので、いける!と思ったら受信不良。原因はバリコン上のトリマーの破損。樹脂の安っぽい部品だけど自然に壊れるとは思えないんだよなぁ。。。

 考えても故障は故障、交換部品が入手できない現在ではジャンク品である事は間違いない!もう1台「傷あり動作品」を購入して組み替えることにする。

 動作確認後、例によってF端子を付けて、フェイスパネルを移植しようとしたら、メーターがパネルに接着してある。。。接着を剥がすのは大変そうなので配線のハンダを外してメーターごと移植。

 清掃しながら綺麗な部品を寄せ集めて写真の状態になりました。

 

 デザインは特徴があって面白い。

 アルミの選局ツマミのローレット仕上げ、折り曲げたフェイスパネルの下側に斜め上を向いて位置する周波数スケール、円筒上に出っ張ったメーターなど外観は同時期他社のチューナーと比べると個性的。

 メーターもスケールも視認性はあまり良くない、指針の色とバックの色のコントラストが低いんだよなぁ。選局ツマミの削り出しの質感は良いけど操作感は標準的なもの。スイッチのレバーはアルミの棒に樹脂?キャップなので高級感は感じない。

 

 サブシステムに繋いで試聴してみる。

 先日のテクニクス製の1世代前ST-3400と比べると音場が広くクリアーで帯域の広さがあり、音の古さは感じない。この頃はモデルチェンジの度に進化していったのだろう。

 同時期の機種ではトリオKT-7500程フワッと広がらず、Lo-DのFT-420と似た傾向の音だが、中高音はLo-Dの方が滑らかで耳あたりが良い。クリアーで響きの少ない硬質な音と感じた。

 感度も良く普段使いには充分な音質、シンプルな操作性でPLL付なので使い勝手も良い。

 

 なんとなく欲しいな~と思っていた家電系ブランドはこれで揃った。シャープ/オプトニカが最後になると思ってたんだけどねぇ(笑)

 

 チューナーをまた増やしてしまった、、、気分で入れ替えよう。