音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

トリオ/ケンウッド L-01A プリメインアンプ MM入力修理

 しばらく使っていたらレコードを聴くときに右チャンネルが出なくなる症状が出てきた。カートリッジ交換すると出なくなったり、一度AUXやチューナーにしてからフォノに戻したら出なくなったり。

 

 アンプのRCA入力をグリグリ、MCトランスのRCAをグリグリ、レコードプレーヤーの出力RCAをグリグリ、シェルを脱着、シェルリードをグリグリ、カートリッジまるごと交換(これは、正常時でもしょっちゅうやってる)
 なんやかやでまた音が出るので「接触不良ならそのうち直るだろ、長期保管品だし」と、そのまま使っていたのだが徐々に多発するようになり、とうとう音楽再生中に急に右の音が無くなるという「もう、ダメだな」という症状に。

 これくらい症状がはっきり出るとトラブルシュートはやりやすい(負け惜しみw)

 症状が出ている時に原因を特定、途中で直っちゃうとしばらく安定してしまうのが面倒。どうやらプレーヤーやトランスではなくアンプの問題というところまでは確定。問題なかった機材の皆様、疑ってごめんなさい。アンプ以外は今までも使っていたので可能性は低いのだが、できればアンプでなければ楽で良いなという、怠け者の気持ちが有らぬ疑いをかける原因でした。。。

 

 アンプの問題とはいえ、どこかで信号が途切れているだけなので電子回路の故障でないのは少し気楽。

 

 仕方なく修理することにする。

 回路図であたりを付けていると、DCアンプだけど、MC入力はカップリングコンデンサーが入っている。ここはDCアンプじゃないんだな。。。

 

 まあいいや。

 

 MM/MC切り替えに1個、入力切替に1個とフォノ回路には2個のリレーを通過。このどちらかと推測。

 そのほかにレコードを聴くときにストレートDCでなくするとリレー1個通過、その場合サブソニックモードになるのだがこれのカットオフ周波数切り替えもリレー、バランスボリュームONにするのもリレー、と、信号系の取り回しの長さをできるだけ短くするためにスイッチではなくリレーを多用している。

 入力でのAUX、チューナー、TAPE1、TAPE2、モード切替のストレートDC、サブソニックでは接触不良の症状はない、バランスは使い初めに接触不良があったが(これも右チャンネルだった)何度かON/OFFしたら直った。

 ボリューム本体はメイン、バランス共にガリはなく状態は良好。

 

 これ、金メッキ接点のリレーだから換えたくないしなぁ。と、ラックから出す前に最終確認。MMでは症状が出るけど、MCでは出ない。???

 MM側のリレー接点だけ不良か?単にRCA端子?

 

 イコライザー通過後の信号レベルで使う入力切替のフォノリレーの問題と考えるよりも、MCヘッドアンプ通過後の信号とMMカートリッジからの信号、せいぜい数mVを切り替えているMM/MC切り替えリレーの方が怪しい。2段の基盤の下側、、、面倒だな。と、思ったけど下側から外せるのでさほど大変ではない。

 



はんだクラック、赤いテスター棒の先

 

 テスターで導通を見ると導通してる、けれど、入力側をぐりっとやるとテスターの針がピクッ。ルーペではんだ付け部分を見るとクラックあり。しっかりはんだは盛られてるけど端子盤が樹脂で対角線の2点しかネジ止めしていないので長年の抜き差しなどでクラック入ったんだろう。私も接触不良が出るたびにグリグリやってたし、症状を悪化させたのは間違いない。ここは、はんだを盛りなおして終了。

 

 そしてリレーも点検。

 イコライザー基盤を外して透明なカバー越しに目視、では判る筈もない。一度外してテスターで導通確認したら当然正常。カバーを壊さないよう丁寧に開け接点を見ると金メッキだけあって焼損は見当たらない。無水アルコールを適当な紙に付けて接点を掃除したが、特に汚れが付いてくることもなかった。

 オムロン製の部品だが、現在は同じものは入手できない、オムロン製の金メッキでない物も簡単に調べた限りでは今は欠品になっていた。同じピン配置の他社製は流通していて安価だ。ネットで検索した修理記事ではこういった部品にどんどん交換しているけど、長持ちするのかね?

 そもそも、こだわりの金メッキ接点リレーを換えてしまうのはL-01Aに失礼じゃないかと思う。高級機なんだから安い部品付けちゃだめ。壊れたらしょうがないけどまだ生きているリレーを交換してしまうのは良くないと思うけどなぁ。

 

リレー接点、目視では焼損は見当たらず。

 良い機会なのでリレーを考察

 

 ロータリースイッチやトグルスイッチのようなスライド接点なら切り替えるたびに擦り合わせるので使っていれば接触不良は出にくい、摩耗して使えなくなる頃には他の部品も寿命だろう。

 現在入手できる同形状のリレーのスペックでは接点定格で1A125VAC/2A30VDCだったけれど、日本のメーカーのリレーの使い方ガイドによると

 

「接点電流に余裕のある選択が求められるわけですが、余裕があるからといって大電流用のリレーで小信号を扱うことは好ましくありません。接点の構造や材質が電流容量毎に最適化されているからです。」

 

 とある。仮にカートリッジ出力を3mV交流なのでACとすると、40000倍で120Vなので、100V電源の切り替えに400万Vに対応したリレーを使うという事になるかな。凄い数字になってるけど、計算合ってるよな。

 「好ましくありません」ように感じる。

 

 トリオはこういう問題点もきちんと認識していて、信号切り替えリレーには「接点の材質」として金メッキを採用した(上の写真で見ると接点も小さくしてある)けれど、チューナーやAUXといった1V-PPくらいの信号ではなく、その1パーセント以下のフォノレベルには「最適化」ではないんじゃないか。

 まあ、新品時は問題なかっただろうし、40年も経ってから問題視するものでもないな。音質重視の代償として敬意を持って受け入れよう。

 リレーは接点なので長い目で見れば消耗品だが寿命は長い、使いこんで寿命を迎えた状態ではないウチの個体ではまだまだいける!はずだ!金メッキだし!!!

 

 今信号系を最短距離でと考えて作るなら半導体リレーになるのかなぁ、1個半導体を通るという事はオーディオ的にはどうなんだろうか?高音質な半導体リレーが存在するんだろうか?

 

 貴重な純正リレーは交換しないで組み立て。

 今のところ問題なく音は出ている。

 

 2022.04.26 追記

 

 ざっと検索してみたら半導体リレーでもFETを使った物をスピーカーリレーとして使う例はあった。けれど結構回路が複雑、シグナル漏れが問題であるとも記述が。無接点であることのメリットはあるけれどオーディオの小信号用としては機械式の方が現実的なようだ。

 

 L-01Aの小信号リレーはC接点型、ONでA、OFFでBに接続。

 プリアンプ部分にはMM/MC切替、入力切替、モード切替で計9個使っている。

 

 アンプ本体の電源を切っている時には常時B接点側という事になる。解放された接点は酸化や汚れが出やすい、金メッキなので酸化は無いと考えていいけど。

 先日分解したときに接点の形状を見たが、B接点の方が小さ目だった。そして「磁力」で接点を押し付けるA接点よりも常時接触しているB接点の方が安定性は高いように感じる。

 

 さて、このアンプのジレンマ。トランス別体、木や樹脂の筐体、を使い徹底的に磁性体を排除したアンプの中に電磁石がある。使わなければ漏れ磁束は無いという事になるけれど、少なくともスピーカーリレーは使用時ONなので、プリアンプ基盤からは遠くに設置、解ってらっしゃる。

 

 まだ、回路図を良く見ていないけれど、信号系はフォノMCで全部のB接点を使うようになっているようだ。古いオーディオ誌の評論家の音質評価ではMCの音が良いとあったが、素子や回路構成に加えてこれも理由のひとつだろう。

 モード切替はストレートDCモード、バランスOFF、だけどサブソニックのカットオフ周波数切り替えはどっちだろう?これは調べないと。

 

 MM/MC切り替えスイッチをMMにしてもAUX使用時にMCの方になっているかどうかもまだ未確認。なので、これからはフォノ使っていないときはスイッチをMCのモードにしておくことにする、面倒だけど。今はトランスを使っているのでMC入力はショートピンを入れてあるからノイズが出ることもない。

 

 いかんなぁ、仕様とか回路図とか、資料だけで音を聴かないで考察すると脳内で音質の良し悪しを判断しようとしてしまう。気にしなくても問題なく音は良い、音の粗探しをするような事をすると、、、

 次からはプラシーボでMCが一番良い音に聴こえる、本当はカートリッジの音なのに(笑)