ハーマンカードン 初購入。
召喚!という言葉を使った理由は、最後の方の蘊蓄までたどり着いてください。
偶然見つけて入手。薄汚れた外観だったが機能的には問題なさそう。
外観は掃除でかなりシャキッとした。
樹脂部品がやや色抜けしていたのも軽く磨いて気にならない程度に。この時期に多いペイントがとろけてベタベタする物よりも素材そのままの方が助かる。
セレクターボタンといくつかのスイッチにLEDのインジケーターがある程度でシンプル、そっけないともいえる。存在を強く主張しないこういうデザインも好きだ。
特徴的と思ったのは足。後ろに2個、前はフェイスパネルの下側が横一本の足。設置すると前の下側には隙間が無い、掃除が楽そう(笑)
通風孔は無いので綺麗だろうとは思ったが、入力RCA端子が1カ所グラグラするので修理するために天板取り外し。天板は鉄製で厚みがあり重い、細かい凸凹のペイントはビニール袋コーティングの様にも思える厚めの質感なのでパウダーコートだろう。
底板はサイドパネルと一体で裏蓋はなく、基板の裏側を見るには前後のパネルを外して基盤を底板から外すしかない。特に動作に問題はないので、面倒だからハンダの確認は省略、できるだけ色々とやらないで楽しみたい、基本は怠け者なんです。
中身はとても綺麗でコンデンサーの膨らみなどもない。特に調整か所もない。気休めに軽くエアーで埃を払った。グラグラ端子の原因は樹脂の割れだったので他も観察クラックを3カ所発見。プラリペアで修理と補強をして作業終了。
その後は観察。
入力には「VIDEO」というのがあるがAV対応というわけではなく音声のみ、AUXと同じ。ミュージックビデオが一般的になった頃だからね。
面白いのは「CD Direct」入力、なんとヴォリュームもスルーして入力が出力に直で出て行ってしまう、まさにダイレクト。CDプレーヤー側がリモコンで出力調整できるなら便利とか???あまり使い道がなさそう。
イコライザーはMM/MC切り替え式だが、それぞれに専用アンプの様で入力が別々。使い勝手は2系統のPHONO入力でゲイン切り替え式の方が良いが、音質重視としては仕方ない。カートリッジ遊びには向かないが、そういう使い方は想定外って事だね。
社名の入った赤い樹脂でモジュールになっている、ブラックボックスならぬレッドボックス(笑)同時期のプリメインアンプも同じ?
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追記 2024.01.25
このプリアンプのブロックダイアグラムを見つけて眺めていたら、MC/MMの切替はイコライザー回路の前でスイッチで切り替えている。MMはそのままイコライザーへ、MCはヘッドアンプを通ってからイコライザーへ、だった。それぞれに専用の回路を準備しているわけではない。
という事はこの基板上のレイアウトを見る限りでは、レッドボックスはMCヘッドアンプで、イコライザーはディスクリートという事だな。
その構成なら、PHONO入力は1系統で、MC/MM切り替えする構成でも音質に大差ないだろうに、、、最もレベルの低いMC入力信号をスイッチ切替することを嫌ったんだろうか?
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ヴォリュームはアルプス。3連という事は音量によってバッファのゲインを変化させて音質劣化を抑えている、のかな?
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追記 2024.01.25
3連ヴォリュームはラウドネス用の様だ。
「位相補正ラウドネス回路」と称している。高域の補正は必要ではなく、トーンコントロールとは独立して低域だけを位相ずれをすくなく補正することで素直な響きを持つという。
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オペアンプIC(NEC C4556C)がひとつ。位置的に終段バッファアンプだろう、ヘッドフォン出力用ではない様に思う。これとレッドボックス以外はトーンコントロール等、皆ディスクリートで組んである。
部品の配置はなんとなく左右チャンネルで別けてある程度。基板上に配置されたスイッチ類を樹脂のロッドやコントロールリボンで操作するのだが、特別信号系の距離を短くとかではなく、作りやすいように作った、という感じ。素子の性能も上がっているし、同時期のテクニクスのC7000にも感じた無理のないレイアウトで、これはこれで必要にして充分という事だろう。
基盤は紙エポキシ。テクニクスやトリオのガラスエポキシと比較すると安っぽいが性能に問題はないだろうし価格を考えれば妥当。
あちこちにジャンパー線があるけど、もしかして別機種と共用してる、とか?
「assembled in japan」だけど、どこだろう?なんとなくオンキョーの匂いを感じたけど違うかな?
ハーマンインターナショナル扱いでは、上位にマークレビンソンが在る筈なので、位置づけとしてはオーディオのハイエンドではなく家庭用上級機。組み合わせるスピーカーはJBLの民生用やインフィニティを想定、かな。
サブシステムをさりげないセパレートで組みたくなったらベストチョイス。
音質は、、、、、まだ聴きこんでない。
聴くに堪えないような物ではないだろう。後々のお楽しみ、という事で。
ココからはダラダラと蘊蓄。とりとめ無し。
ハーマンカードンというブランドは、私がオーディオに興味を持ち始めた頃にマッキントッシュ、マランツ、ダイナコと並んでアメリカの有名アンプブランドの一角だった。
会社の歴史はWiki日本版にはほとんど情報が無い。
興味がある方は、カナダ在住の日本人の方が凄く良く調べてブログに日本語でUPしているので検索して読んでください。 私程度の英語力ならこの方の意訳の方が良いと思うし、残念なことに英語の原文はメーカーURLから既に削除されているらしいので、お早めに。
ざっくりした歴史。
第2次世界大戦後にハーマンさんとカードンさんがハーマンカードンを作り、その後カードンさんが定年でリタイア、ハーマンさんは自分が営業向きという事で「ハーマンインターナショナル」という商社を作り、その中のブランドがハーマンカードン、という事になる。
カーター大統領時代に政治に絡んだハーマンさんが会社を売り払い、政治から離れて買い戻し、、、、、ハーマンさん健在の時は「ハーマンカードン」のブランドは意地でも自分の物にするという感じ。
きっとカードンさんと会社を興した頃が一番楽しかったんだろう、「ハーマンインターナショナル」はハーマンカードンを所有しなければならない、という事だな。
ハーマンインターナショナルは商社ゆえ、JBL、infinity、マークレビンソンといった時代遅れや小規模で販売力がイマイチ、が、しかし、製品は良い!というブランドを傘下に入れて扱っていく、いわば「日本製品に押されて上手くいかなくなったアメリカンブランドを救って、その孤高の精神にユーザー主体のサービスを付加して市場競争力を持たせ、バブリーな日本には高級ブランドとして高く売る!」というビジネスモデル。
日本のハーマンインターナショナルは、1980年代にJBLのコントロール1を修理してもらった時の対応が良かったので「良い会社」のイメージが強い。高級ブランドを扱っているからこそ丁寧な対応、車でいうならメルセデスベンツをヤナセで買う、かな、良い物を最高のサービスと共に、だ。
21世紀になってからはデザインで目を引く透明な筐体のお洒落なスピーカーで話題になったが、、、、、2016年からは韓国大手家電メーカーに売却され、高齢になったハーマンさんが引き継がせた経営者も抜けてしまった。今はカーオーディオで頑張っている。
今回調べていて面白いと思ったのは「オーディオの足跡」ではマランツが日本メーカーとして記載されているのにハーマンカードンは海外メーカーだ。後ろ側の銘板にはassembled in japan とあり made in japan ではない。
さて、今回購入したCitation、ハーマンカードンブランドの中でセパレートアンプを中心とする高級なシリーズに代々受け継がれる名称で、パイオニアの中のエクスクルーシブみたいな「名前」
日本語表記ではサイテーション。「サイテー」「ション」あまり良くない印象に感じるのは私だけ???
翻訳ソフトで、意味を知ろうとする。「引用」だった。
最初期の製品は解らないが有る時期からは自社開発生産ではなく企画が米国で生産は日本、、、、、OEM品が主体となれば「引用」は間違ってないけど、日本語では好印象でないと思う。
さらに調べてみると「召喚」の意味がある。なるほど、引用と共通点の有る意味だ。
裁判所への「召喚」など、命令の為の強い言葉だ。これをオーディオに当てはめてみるのも難しいけど「良い音を楽しむために見つけた(造った)物を目の前に」みたいな事かな。
小説漫画アニメで「異世界もの」が多い現代日本人的には「召喚」の方がカッコイイと思う。ので、そんな感じで今回のタイトルは「召喚!」
でも、本機の1990年頃や、citationが使われ出した1970年代だと、そういう感じでもないんじゃないか?
で、さらにあれこれ気が向くままに検索、インターネットは便利だ。
しかし、それ以上良さそうな意味は無かった。
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追記 2024.01.28
他の機材をいじっていたら、ふと、Citationの意味を得心。
音を召喚する。オーケストラを召喚する。歌手を召喚する。
これだろ!目の前に音楽そのものを持ってくる機材という意味なのではなかろうか?
これさえあれば素晴らしい音楽を召喚できる「魔法陣」。
購入して1週間なんとなくモヤモヤしていたが、ファンタジーなこれが自分には一番しっくりくる解釈となった。
どんな言語でも母国語にする人が単語から感じるものは、私が単純な翻訳で思う物とは深さが違うだろう。
別分野だけど英語版のサービスマニュアルを辞書を傍らに置いて夜な夜な翻訳していた時は、「あ、英語の言い回しだとこうなるのか」等、雰囲気を感じることが出来たのだが、それももう30年前、今はもう外国語の文章を訳す事はない。
洋画は字幕で見る派だが娯楽映画の会話というのは短い文のやりとりばかり。
童話や小説の原語版をじっくり読み込むのは語学の世界にいる人には良い勉強だと思うが、しかたなく外国語に絡んでいる私は語学の理解を深めるための語学学習は好きじゃない。
が、英語版のオーディオ製品のカタログを入手出来たら「この商品は素晴らしい!画期的な回路構成!」の長い文章を辞書片手に読むのは楽しいかも?
翻訳するオーディオ(笑)
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うーん???と、ウダウダ考えているうちに、ハーマンさんがカナダ出身という情報を思い出して確認、カナダのケベック州出身でした。
と、なればフランス語で「citation」を翻訳、結果は英語と同じく「引用」元の言語は英語との情報もあった。
ここまで進展なし。
そして、フランス語の熟語が検索に引っかかる。
「citation du jour」カタカナ読みだと「シタシオン デュ ジュール」かな、意味は「今日の名言」この熟語ではcitationは名言となる。
そういう事か、ハーマンカードンの意図に、やっとたどり着いた、と、思う(独断)
今日の名言。名言。既に存在している良い言葉。名曲。今日の名曲。名品。。。。
バシッとハマる日本語は私の語彙に無いけど、少なくとも「引用」ではないイメージを持てる。
昔の日本のオーディオ誌でもカタカナで単にサイテーションと書くのではなく、その意味するところも(好印象に)伝えれば、B&O並に日本市場でのオシャレ高級イメージを作れたのかもしれない。
オーディオブランドを調べて楽しむ、音を聴かないオーディオ趣味、でした。