音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

パイオニア S-UK5-LR サブシステムに追加

 2ウェイのシンプルなスピーカー、このシリーズの最上級モデル、1994年にセットで10万円。

 

S-UK5-LR 写真はネットで拾ってきたもの

 音が面白いので考察。今回(も)妄想含む蘊蓄多めです。

 

 UKはUnited Kingdom、イギリス王国ですな。普段使いの言葉として「The UK」(ユーケー)と略称で呼ぶので、UKを品番に付けて英国風をアピール。

 デザインは欧州調のシンプルな2ウェイ。UKにはイングランドウェールズスコットランド北アイルランド 全部含む、イギリスってのはイングランド時代にできた日本での呼び名、グレートブリテンにはアイルランドは含まない。英語で話すときはイングランドではなくUKと呼ぶのが当り障りなさそう。

 現在の英国は移民も多く人種が雑多な国でもある、英国出身のアーティストも多いけど、エンヤはケルト音楽の人でアイルランドの歌手、アイリッシュウイスキーとか、スコッチウイスキーとか、今も地方色を大切にしている。

 大きく脱線。私は「あー、そうなんだな」程度の知識で満足してますが、興味を持った人は深く調べて追及しましょう。

 

 UK3/5は14Cmウーファーの2ウェイ、いまだに1980年前後の感覚の私からすると、1990年ごろに増えてきた14、15Cmというのは16Cmの進化型と思っている。なので、バランスの良いお手頃サイズスピーカー、という感覚。

 S-UK3が話題になったので、高級バージョンのS-UK5を追加発売。ユニットサイズは共通でキープコンセプト。エンクロージャーの仕上げは綺麗で価格が倍以上のテクニクスSB-MX100D同等。どちらも大阪の会社、テクニクスの仕事が減った会社にパイオニアが外注したのか?なんにしても高級なら嬉しいし、それによる音質の「精神補正」が期待できる。騙されないと身構えてはいけない、この価格帯ならプラシーボも楽しむオーディオの方が心地よい。

 耐入力、再生帯域は少し仕様が違うが、UK3より箱を一回り大きく高級仕上げにして4万円差と考えるとUK5は割高かも?(笑)

 

 このシンプルなシリーズにはアンプ(A-UK3、45000円、1993年)やCDプレーヤーなどもあったが、皆シンプルな顔つきでアンプはトーンコントロールも無い。価格はまとめて買っても20万円以下で、安く複雑になっていったミニコンポよりも、上質でおしゃれで高品質、という家庭用オーディオのお手本みたいな、、、褒め過ぎ?

 まあ、アンプは日本仕様と英国仕様で味付けが違ったらしい。

 確かに英国の一般市民はシンプルで無駄使いしないお国柄だと思う。でも、オーディオを少しかじっているとイメージは高級から超高級じゃないかなぁ、安い物を売っていたメーカーは生き残っていない、今の日本もだけど。他の国のJAMOとかELACとかBOSEとかJBLとか、安く大量に売るメーカーが英国狙いの製品を売ればそれで充分。

 で、パイオニア、、、という事で日本の物作りの安く高品質なところがこの時期にはまだ世界で需要が有った、という事だな。

 

 オーディオは元々庶民の物ではなくお金持ちの新しい物好きの自慢合戦から始まっている、日本のオーディオ界では欧米信奉は根強い。今でも聞いたことない新進気鋭のメーカーの小さな欧州製スピーカーが数十万円で売られたりしている。きっとすごく音が良いに違いない!買えない!

 もう少し早い時期にドイツで音決めして日本で作ったオンキョーのSC-670/770(個人的には好きな音です)は商業的には失敗作かな、中古相場はレア物なのでソコソコ。

 テクニクスは90年代後半には儲からないスピーカー造りはスペインに移してそれまでのイメージと販売力で製造継続したが、スペイン製の中古相場は現在では悲惨な状況だ。

 パイオニアはイメージだけ使って日本生産。元々UKシリーズはオーディオ好きに売るものではなく、家庭用の小洒落たものとして売っている。現在の中古相場が比較的高い事を考えると最も成功している、ような気がする。

 同時期までパイオニアの主力だった「バーチカルツイン」は小さくすることには意味がないと思う。単なる上位モデルのイメージコスプレだ。小型スピーカーの「ピュアモルト」中心への移行はこのUKシリーズがソコソコ評判が良かったからだろう。

 

 なが~い前置きを終えて本題。

 S-UK5 ユニットの割に箱がデカイ古き良き時代の雰囲気

  入手後軽く掃除して仮接続、音が出る事、どんな音かを簡単に確認してからサブシステムのスピーカーのひとつとして4組の制限の中で設置。

 どれの替わりでも良かったんだけど、JAMOは気に入ったヴォーカルなので残す、インフィニティは明るめで静かな音、JBLはキンキンと暑苦しく感じる事もあるけど夏向きといえば夏向き、オーディオテクニカは癖の無い音で先日設置したばかり。それぞれ一長一短あるけど、一番長く使っているインフィニティに変わってもらうことにした。

 UK5は軽くさわやか、夏の重たい空気の中でちょうどいい。

 

 UK5の特徴はヴォーカルの余韻が華やかに響く事。 

 極普通の2ウェイネットワークにはハイパスフィルターとローパスフィルターを使うけど、一般的にフィルターはハイパスにはコイル、ローパスにはコンデンサーを負荷(スピーカー)と並列に入れて通り抜けてきた不要な周波数帯域を直前でターミネイトする。信号を捨てているという事で、通り抜けてきたごくわずか、問題にならない程度、ノイズに埋もれてしまうのかもしれない量、だとしても、捨てている。その方がウーファーやツィーターの動作には良い、という事でもある。

 UK5はウーファーは直結でツィーターにコンデンサー1個かまして繋いだだけ。アンプから来た信号を捨てない。って事は情報量が多い。本当かな?間違ってるかな?

 まあ、私はフルレンジスピーカーの良さの秘密はここら辺にもあると思っている。自作スピーカー時代にはコンデンサー1個でフルレンジにツィーターを追加し、容量やメーカーを替えて音が変わるのを楽しんだ。

 UKシリーズではそれをメーカーが製品レベルにまで真面目に作り込んだという事、けっして手抜きやコストダウンではない(笑)

 だいぶ前に使っていたオンキョーのD-77RX(なぜか同じく1994年)は3ウェイだがウーファーにはネットワーク無しだった。当時オンキョーのこのシリーズはウーファーエッジ切れが格安でゴロゴロ出回っていて、シリーズの何モデルかを使って修理して使いRXが一番好きだったのだが、色々と調べた時に歴代のモデルで直結ウーファーとそうでない物があり、ネットワークの有無ではなく音決めの為の手段のひとつ、と、いう事で使い分けていた。音が決まれば何でもあり、って事だな。

 パイオニアのスピーカーを考察するのにオンキョーを引っ張り出す、クロスオーバーうんちく(笑)

 

 UK5のカットオフ周波数は5KHzと結構高い周波数だ。カットオフといっても実際には5KHz以下がツィーターから出るし、それ以上がウーファーからも出る、ちょうどこの辺りがヴォーカルの倍音域。

 直結ウーファーだと高音はターミネイトされないので倍音もある程度は出る、そこにツィーターの音が乗っかってくる。ネットワークの素子を変えると音が変わるが、そもそも低域にはネットワークが無いので音はとっても素直。

 声が前に出てくるタイプの音ではないのに存在感が大きい。定位の良い口の小さいヴォーカルだけど、余韻の響きの空間は大きい、、、上手く表現できてるかなぁ。オーディオ的に聴くと、ある意味へんな音です。

 

 低音はバスレフらしい歯切れよさ、中音は前述の華やかさ、高音は良く伸びる。パイオニアは基本ドンシャリと思っているけど、UK5は中音にエネルギー感があるので高音が目立ちすぎずフラット感がある。ユニットの大きさの割にエンクロージャー容積が大きいのは古き良き欧州製スピーカーを思わせる、低域の再生帯域がUK3より下に伸びているのは大きな箱の効果もあるかも。無理やり絞り出すような音でなく鮮度の高い素直な音。

 まだ色々と試してないけどアンプはあまり選ばないだろう。元々このシリーズのアンプは超弩級とかでなく手軽な物だったので、中級プリメインアンプで過不足なく音が出るはず。

 

 音色は程よい艶気がある明るく軽快な音、夏向きだね、明るい音楽を気持ち良く聴ける。ボサノバでも聴いてみるか?と、考えつつ、最近再販された椎名林檎(明るい音楽じゃないなw)のレコードを聴いてみたら良かった。ガチガチのオーディオじゃない、こういうのはいいね。

 オーディオ購入の相談をされたときに、UK5を聴いてもらって気に入るのならUK3をお勧めできるな、エンクロージャーの仕上げよりも音を重視するならピュアモルトよりUK3は割安だ。インフィニティ、オンキョーA-202A2LTD、JBLの家庭用シリーズとはまた違うお勧め品。

 

 こういう音は安っぽく感じる事も多いんだけど、全体に上質、良いスピーカーですよ。