音遊び~オーディオのブログ

 ガレージで楽しむ古めのオーディオ

パイオニア PL-380A 修理とメンテ フルオートレコードプレーヤー

 1980年、59800円、フルオートプレーヤーとしては中の上といったところか?

 前年のテクニクスのSL-1301が同価格でほぼ同じ仕様だが、タッチスイッチになっている分未来的な外観だ。

 

PL-380A 設置後

 実は購入は3台目(最初のはPL-370だったような気もするが、、、)以前使っていたのは10年以上前、格安で買ってきて2年ほど使った記憶だがシステムが高級化していく過程で手放してしまった。

 パイオニアにはXLシリーズがありこちらの方が高級でトーンアームも好みなのだが中古流通数が少なく市場価格が高い、サブシステム用なので高級志向は少な目、デザインもPL-380Aの方が好きなので再購入となった。

 好きな機種というのはまた買う羽目になるので、持っていた方が良いのかも?

 

 仕様、性能は普段使いには申し分ないと思う。

 

 380のマイナーチェンジ版が380Aだが、外観は大差なくトーンアームやオート機構は同じ物だろう。

 違いはモーター、SHローターというプラッターの重心に支点を合わせて回転の安定をはかる、エクスクルーシブを筆頭にマニュアル機にも幅広く展開するこの時期のパイオニア自慢のモーター、なのだが、初期モデルと聴き比べていないのでモーターだけでどれほど音質が良くなるのかは解らない。このクラスでは聴いて明かな差が出ることは無いと思う。

 

 アーム実効長237mmというのは中々にまともな長さで、初動感度も7mgとメインシステムのテクニクスのアームと同じ数値。実際のところはパイプの重量があるし、ウエイトも重いので、極端なハイコンプライアンスには付いていけないだろう。

 オーバーハングは15mm、これはメインシステムと同じ数値なのだが、シェル取り付けで3mm程違うのでシビアなカートリッジでの共用は難しいか?ここを考えるとサンスイのFR-3060がサブシステムの理想であることは変わらないので早めに復活させたい。

 純正装着針はPC-200という丸針テンションワイヤー付のMMカートリッジで、今回付いていたのは純正針ではなくナガオカ製社外針だった。

 シュアーM75やテクニクス270Cにテンションワイヤー付の丸針を使うのと同じような物、帯域が広い感じも音粒の細かさも無いが低音がボワボワせずそれなりに良い音。楕円針の設定があれば使いたいが、中々に探すのが難しそう。これまでどおりソニーのXL30等々のサブシステム用カートリッジのいくつかを主に使う事になる。

 PC-200の針圧は2.0±0.3g、適正針圧1.5g程のカートリッジならこのトーンアームで問題なく使えるはず。

 

 操作系は電子式、壊れると困るヤツ、反応は機械式に比べてガチャガチャとレバーを動かしたりせず軽いタッチのボタンを押すだけ、操作できたのかどうかが解かりにくい(信用してればそんなことは無いが、古い物だと接触不良を疑いつつ使ってるから安心感が無いw)。ボタンを押してから音が出るまでの時間が特に早いという印象は無く機械式のレバーを動かす機種と大差ないと思う。

 アームリフター機能(電子式)もついているので、マニュアル機としても使える。電源が入っていればアームをテーブルに近づけると周りだす、これは慣れると案外と使いやすい。

 同時期のテクニクスと全体の雰囲気含めよく似ているが、リピート回数設定は無い。

 筐体の造りもテクニクスに(が、かも?)そっくり、他社はあまり知らないけれど、この時期の定番の構造か?

 低価格の樹脂ばかりの物とは違い、メインフレーム(で、良いのか?)はアルミダイキャスト、足はフレームに付き、モーターとターンテーブル、アームはバネを介して宙吊り。高さ調整は出来ないのだが、宙吊りだからそれほど神経質にならなくても、、、良い訳ではないと思うが、それなりに使えるだろう。

 電源トランスはメインフレーム側にして振動をアームに伝えないように配置基板やスイッチもこちら側。DDモーターの振動を音として拾わないためにはアームを一緒に振動するようにしたほうが良い結果が得られるという当時の音質重視機の常識で吊り下げシャシーの方にモーター含む機械的な部品を実装。後にトリオ/ケンウッドのマニュアル機では強固なフレーム構造にモーターとアームを実装し、それらの機種は今も人気がある。

 

 入手後の確認。

 

 外観は綺麗、以前の物よりもスイッチの腐食など少なく状態が良い。なので、回転が正常な事とインサイドフォースキャンセラーが動作していることを確認して購入してきた。

 

 持ち帰っての動作確認ではリードインがずれている。アームの動きがギクシャクする。

 

 リードイン調整できない。動くべき部品が動いていないのが原因、固着していた機構を動くようにして調整。

 ギクシャクした動きは駆動ベルトが劣化してゆるゆるになりプーリーにも黒いゴムの汚れが付着しているのが原因だった。プーリーを掃除してなぜか持っていたベルトセットから適合サイズを見つけて交換し、正常動作。

PL-380A オート機構

 各ギアのグリースはまだべたついていた、鉱物系ではなくシリコーン系なのかな?シリコーン系オイルを軽く塗布。

 オート機構には樹脂部品が多い。こういうところは古いサンスイの方が安心感がある。

 

 電子回路の基板は綺麗、コンデンサーも新品の様で内部の埃もほとんどなく過去に分解したような様子は無いので放置品だろう、リードイン調整の固着やベルトの劣化は経年変化だな。

 

 吊バネの周囲には埃混入防止なのかゴムカバーが付いているのだが劣化してボロボロ。インシューレーターとしての機能はなさそうなので足取り付けのスペーサーになっている部分を残して除去し、気休めにゴムで簡単にカバーしておく。

プラッター裏側を防振塗装

 

 こういうことをやるあいだに、爪で弾いてカーンと響くターンテーブルの裏側には防振塗装をしておいた。やらなくても良いかと思ったけど、サンスイで効果ありだったので。やや大きめの音量でもやかましくならない、普段使いには充分なハウリングマージンは得られた。

 

 操作感は良い、というか、好き。

 モーターの立ち上がりが良く、回り出してから定速になったことを示すクォーツロックのランプ点灯はマニュアル操作でもアームが下りる前に点灯する。回転させておいてレコードクリーナーを軽く当てる程度では減速しないトルクもある。こういうところはベルトドライブ機やFGサーボ時代よりも気を遣わなくて済むので楽ちん。

 ストップ時はブレーキが無いのだが、マニュアル操作時でもオートリターンするので、視聴位置から歩いて行く間には止まっている。

 

 音質はというと、、、カートリッジで決まる(笑) 

 純正装着のPC-200の性能は充分に引き出していると思う。同時期でもテンションワイヤー無しのテクニクスEPC-270(こちらは楕円針も見つけやすいんだけど)よりも解像度の高い音で、この音が悪いわけではないが、もう少し広帯域で繊細な音の物を使いたい。

 適合範囲は前述のように超ハイコンプライアンスでなければ問題なさそう。サブウエイトが着くようになっているけど、見たことが無いのでオプションだったのか?

 どれくらいのシェル込み重量範囲に対応できるのか、ざっくり検証。純正のPC-200はシェル込み重量で16.8g、針圧1.5gで写真の位置、2.0±0.3には当然対応できる。

 純正カートリッジでウエイトが針圧調整後にこのあたりというのは解っている良い設定だね、流石オーディーメーカー老舗の一角。

 純正カートリッジでのウエイト位置

 目盛りを見ながら対応範囲を検証、針圧1.5gの設定でシェル込み14.8-23.5gに対応といったところか。ローコンプライアンスの自重の重いカートリッジは使わないのでサブウエイトは今後も不要だろう。メインシステムで使っているS字アームならサブウエイトを使わないと無理な範囲を1個のウエイトでカバーしている。

 案外と対応範囲が広いので使い勝手は良い。

 これはバランスウエイトの重量が重いから。便利だけど、本当は軽量/重量の2種類のウエイトで対応するか、2分割ウエイトにしてあればより一層カートリッジの魅力を発揮できて良いんだが、、、って、このクラスのアームにそれを求めるな!(笑)

 主な使用カートリッジはシェル含めて15g程にしてあり、18g超えは自重の重い時代になってのカートリッジ(なるべく買わないw)で手持ちの軽量シェルでは充分に軽く出来ず、仕方なくメインシステムでサブウエイト使って無理やりバランスとる時だけ。使っている物のほとんどはウエイト位置が前の方に来るはずだし、重めの物でもそのまま付けて使えるはず、サブシステム用としては申し分なし。

 

 ポンとおいて使うつもりだったのに掃除しながら分解し、掃除しながら組み立て調整。遊んじゃったなぁ。